近年あらゆるサービスで大きなトレンドとなっているサブスク(サブスクリプション)。
現在も日夜バラエティに富んだ様々なサブスクサービスが生まれ、私達の生活をさらに便利に、豊かにしています。
そんなサブスクサービスも、まずはユーザーにその存在を認知してもらう必要があり、広告を活用していくことが重要になります。
本コラムでは、
「サブスクでどんな広告を打てばいいか分からない」
「サブスクを成功させるコツを知りたい」
といったEC担当者向けにサブスクサービスでおすすめの広告をご紹介しています。マーケティングのポイントや注意すべき点も解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
サブスクの基本情報
サブスクとは
まずサブスクの基本的なポイントを改めて確認しておきましょう。
サブスクとは(サブスクリプション)の略語で、月額課金、年額課金など一定期間分の製品やサービス利用に対して、代金を支払うビジネスモデルを指します。
製品やサービスを直接買い切りで購入する通常の形式とは異なるため、ユーザーは低価格で申込みできたり、気軽に解約ができるといった特徴があり、よりユーザーのニーズに沿って柔軟な利用が可能となっています。
近年では音楽や動画視聴といったインターネットコンテンツの利用はもちろん、カーシェアやファッションレンタル、おもちゃレンタルなど様々なサービスがサブスク化されており、「持たざる暮らし」の裾野が大きく広がっています。あらゆる業界、ジャンルで流用できるビジネスモデルのため、今後も次々と新たなサブスクサービスが台頭してくることでしょう。
サブスクの2大サービス形態
サブスクには大きく分けて「購入型」「サービス利用型」の2種類が存在します。2つを分ける点はものを所有するか、そうでないかという点です。一般的な定期購入のスタイルから、レンタルや配信など、業種によってユーザーとの接点は多様化しています。
- 購入型:ものを購入し、所有するサービス形態
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- 食材の宅配サービス
- 新聞の定期購読
- コンタクトレンズの定期便 など
- サービス利用型:ものを所有せず、一定期間利用する形態
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- 動画配信サービス
- カーシェアリング
- ファッションレンタル など
サブスクの市場規模
引用元:株式会社矢野経済研究所「サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2022年)」 (参照 2022-08-10)
サブスクの市場規模は年々成長しており、今後も右肩上がりの伸長が推測されています。
元々サブスクの業態自体はウォーターサーバーや携帯電話の定額プランなどで日本で利用されていましたが、インターネット技術の発達、スマートフォンの普及が後押しとなり動画配信サービスを皮切りに一気に日本人の生活にも浸透していきました。
近年ではコロナ禍での在宅時間が増え、「巣ごもり消費」という生活スタイルが生まれたことにより、サブスクサービスの利用シーンも拡大。実際に使用することで多くのユーザーがサブスク型サービスのメリットを体験する流れが生まれています。
コロナ禍は企業側にも大きな影響を与え、これまでオフラインのみをチャネルとしていたサービスもサブスクへの転換を行うことで業績を保つケースも見られるようになりました。定額型で購入するため、サブスクは企業にとっても中長期的に収益を得ることができるのです。これからも様々な企業がサブスク市場に参入し活況していくことは想像に難くありません。
サブスクにおすすめな広告
多くのユーザーへ普及させていくために、サービス内容の魅力ももちろんですが、どのように認知拡大を進めていくかも重要です。この章ではサブスクにおすすめな広告として、認知拡大に役立つインターネット広告をご紹介します。
サブスク×リスティング広告の効果
リスティング広告はユーザーの検索キーワードに対して表示内容が変更されるため、例えば「◯◯ サブスク」のように課題が明確な顕在層にリーチできることが特徴です。顕在層は潜在層よりも購入見込みが高いユーザーになるので、検索意図に合致した回答をリスティング広告で返せることができれば効果的な認知拡大・集客が期待できます。
- Google広告
- Googleの検索結果に表示される / 若年層のシェアが高い
- Yahoo!広告
- Yahoo!の検索結果に表示される / 高年層のシェアが高い
引用元:株式会社ヴァリューズ「ネット検索で Google を使う人、Yahoo! を使う人の特徴を分析してみた」 (参照 2022-08-10)
サブスク×SNS広告の効果
SNS広告とは、その名の通りInstagram、Facebook、X(旧Twitter)といったSNSのプラットフォーム内で配信する広告です。課金方式はクリック課金、インプレッション課金、アプリのインストール課金などSNSによって多岐に分かれています。
SNSはユーザーの年齢や性別、趣味嗜好といったデータが蓄積されているため、広告のターゲティング精度が高いことが特徴です。SNSには投稿内容をシェアする機能がついているため、商材とターゲットがうまく噛み合えば、瞬発的に多くのユーザーに拡散される可能性も秘めています。
SNS広告は、サブスクのターゲットとなるユーザーに向けて、年齢や性別などのセグメントを絞って広告を配信できるため、他の広告よりも配信精度を上げやすくなっています。また、会員数が増えるほど既存顧客に対する解像度が上がることで、より好循環にSNS広告を運用しやすくなります。
サブスク×インフルエンサー広告の効果
インフルエンサー広告はSNS広告と近いものになりますが、配信対象や配信方法などに違いがあります。
- SNS広告
- 広告主のアカウントから投稿。フォロワー以外にリーチ。広告感あり。
各プラットフォームの広告配信ネットワークを利用する。
- インフルエンサー広告
- インフルエンサー自身のアカウントから投稿。フォロワーにリーチ。広告感薄め。
広告配信ネットワークではなくインフルエンサー自身に投稿してもらう。
インフルエンサー広告はインフルエンサー自身が第三者視点を交えた上で投稿を行うため、「広告感」を軽減することができます。もちろん各社プラットフォームの規定で投稿内容にハッシュタグ(#PR)をつけたり、タイアップ投稿を行うなど、企業からのPR案件であることを明示する必要はありますが、「信頼しているインフルエンサーが紹介している」という点は広告への嫌悪感を払拭することに大いに役立ちます。
サブスク×アフィリエイト広告の効果
サブスク型サービスでも、アフィリエイト広告を活用できます。
アフィリエイト広告は、掲載やクリックのみでは広告費が発生しないため「成果報酬型広告」と呼ばれています。広告主は無駄な広告費を抑えることで、少ないリスクで始めることが出来ます。そのため知名度の高い大手企業のサービスから、リリースして間もない新サービスまで、幅広い広告主にとって導入しやすい広告といえます。
第三者がユーザー目線でサブスク型サービスを訴求できることに加え、リスティング広告やインフルエンサー広告など様々なチャネルから集客することができます。そのため、サブスク型サービスの認知拡大から情報収集までカバーできることも魅力です。
アフィリエイト広告については下記のコラムで詳しく紹介していますので、メリットや料金など気になる方はぜひご覧ください。
サブスク成功の鍵「ツーステップマーケティング」
ツーステップマーケティングとは
サブスクサービスを成功させるポイントとして、ツーステップマーケティングという考え方があります。
ツーステップマーケティングとは企業が販売している商品やサービスの本申込み前にお試し商品や無料体験などのアクションを設置し、その後本商品へ引き上げるマーケティング方法です。ワンステップマーケティングと比較してみましょう。
ワンステップマーケティングの場合、購入にあたってユーザーが最初に行うアクションが本商品の申込みになります。ユーザーにとっては商品理解が不十分な状態で本申込みをしなくてはならなくなるため、購入ハードルが高くなります。また、企業側としても1回で本商品で申し込ませるために商品やサービスの情報を過剰に伝えるケースがあり、度々問題になっていました。
ツーステップマーケティングでは、本商品申込みの前にお試しのステップが存在するため、手軽に申込みやすくすることができるのです。また、前述していたような商品紹介を過剰にせずとも、「まずはお試し!」といった形で申込み導線を組み立てられることも魅力となっています。
ツーステップマーケティングの効果
ツーステップマーケティングの代表的な効果を紹介します。
①購入ハードルを下げる
ツーステップマーケティングの最も大きなポイントです。本商品の申込みで踏み止まっているユーザーをお試しに誘導することで、購入ハードルを下げる効果があります。
ユーザーにとってサブスクは月額や年額の固定費に繋がる部分になるため、それらに見合うメリットが見出だせるかが特に気になるポイントになります。お試し商品やコースを利用することで具体的な活用イメージを膨らませることができます。
またお試しのステップがあることで、元々サービスを探していた顕在層はもちろん、サービスをこれまで認知していなかった潜在層も取り込めるという強みもあります。サブスクサービスの認知拡大にはぴったりの方法と言えるでしょう。
②ブランドイメージを保つ
ツーステップマーケティングの場合、ユーザーに本商品購入を急がせず、まずは試してもらう心理的な余白を残しているので、ユーザーからの信頼感を高めていく効果があります。
また実際にお試しで商品に触れていく回数が増えていくうちに、商品やブランドに対する理解が深まりポジティブな印象を持つようになります。これを心理用語で単純接触効果といいます。ブランドへの好印象が高まっていけばより本商品の購入に繋がりやすくなるため、お試しは一見遠回りにも見えますが非常に重要なステップとなります。
③LTVを高める
前述した通り、ツーステップマーケティングはブランドイメージ、商品理解を深めた上で本購入に臨めるため、LTVを高める効果も期待できます。
LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」とも呼ばれ、一人当たりの顧客が取引を開始してから終了するまで、企業に生涯どの程度の利益をもたらすかという指標です。ユーザーが商品に納得した上で本購入に踏み切ることで、申込後の解約率を抑え、さらに継続購入や別商品の購入、プレミアム会員などの引上げに繋がりやすくなります。
サブスクは定額制のため継続的な顧客関係が重要となってきます。中長期的な売上を考慮すればLTVの向上は必ず見ておきたいポイントです。実際の活用方法は次の章で紹介します。
ツーステップマーケティングと相性のいいサービス
ツーステップマーケティングを実施するには好相性なサービスとそうでないものがあります。主な特徴は以下となります。
- ツーステップマーケティングと相性のいいサービス
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- 本商品の値段が高額なもの
- 新商品や新業態といった認知度が少ないもの
- ジムやエステといった、モノではなくサービス系のもの
消費者心理には購入した商品やサービスが自分に合わないかもしれないと考える「マッチングリスク意識」というものがあります。これは未経験のサービスや高額な商品ほど強く働きます。
上記に挙げたような要素はお試し要素を設けることで、ある種商品が合わなかったときの保険として機能するのです。逆に言えば、本商品がすでに低価格である場合や再購入されにくい商品などは、あまりツーステップマーケティングの恩恵は得にくいでしょう。自社サービスの特徴と照らし合わせて検討しましょう。
サブスク型サービスの広告で気をつけること
最後にサブスク型サービスの広告での注意点をご紹介します。
以下のポイントを押さえ、広告の効果を引き出していきましょう。
ターゲット層の「生活」を深掘りする
広告効果を最大限に引き出すには、いかに自社サービスを求めているユーザー像を理解しているかという点が重要になります。
例えば、リスティング広告やアフィリエイト広告であればどんな検索キーワードで流入するかがポイントになりますが、新商品や新業態のサブスクなどであれば、認知度が少なく「◯◯ サブスク」といった定番キーワードはあまり検索されないかもしれません。それよりも「〇〇 かんたん」や「〇〇 めんどくさい」といった、まさに今不便を感じているキーワードが刺さる場合もあります。
各広告は出稿する時間帯や性別、学歴など細かくセグメントを指定できるケースも多いです。ターゲット層がどんな人で、どんな時に、どのように、自社サービスを求めるのかを分解して考えていきましょう。
競合分析を行う
自社サービスにすでに競合他社がいたり、別の解決策となるベンチマークがいる場合、他社サービスと比較しどのような点で優れているのか、どのようなデメリットを払拭しているのかを洗い出し、差別化を図っていきます。
このような競合分析でよくあるケースなのが、差別化する点を探した結果、ターゲット層に対してのメリットが少ないポイントを前面に推し出してしまうことです。差別化ポイントを抽出したあとは、それが本当にターゲット層にとって必要なのか、お金を払って使いたいと思えるのかというフィルターを通して考えてみましょう。
競合分析には3C分析(市場を顧客・競合・自社の3点から分析する方法)やユーザーへのアンケート調査などが有効です。ぜひ実施してみてください。
広告の目的と目標を決める
広告を打つ際にまず考えておきたいのが目標設定です。例えば広告出稿の目的が「認知拡大」「情報収集」「比較検討」のうち、どのステージのターゲットに対してなのか、またそのターゲットがどのような年代、性別なのかなどによっても入稿する素材やテキストは自ずと変わってくるはずです。まず目的を決め、その軸から実施する施策を紐解いていきましょう。
また、目的と同時に目標値を決めておくことも重要です。広告を初めて実施する場合、目標件数は希望値で設定し、加えて目標のCPA(顧客獲得単価)を設定しておくとよいでしょう。現状のCPAを把握した上で、許容範囲内のCPA内で運用できているかを見ながら、広告を回していきます。
許容範囲CPAの設計に関しては、前章で紹介したLTV(顧客生涯価値)の指標が役立ちます。LTVは中長期的な利益を考慮することで買い切り商品よりも多くの広告予算が確保できます。本商品の購入後のリピート率が高い商品などに有効です。
- CPA
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- 1件の成果を獲得するために、どの程度の広告コストが掛かったかを表す指標
- 広告費 ÷ 獲得成果数で算出できる
- 例)広告費10万円・獲得成果20件の場合
100,000円 ÷ 20 = CPA 5,000円
- LTV
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- 一人当たりの顧客が、取引開始から終了まで企業に生涯どの程度の利益をもたらすかを表す指標
- 平均顧客単価 × 平均購入回数で算出できる
- 例)月額5000円、原価率20%の商品の場合
- 【LTVを考えない場合】
→ 1人あたり1回購入。粗利4,000円 - 【LTVを考えた場合】
→ 1人あたり3回リピート購入。粗利12,000円
3倍の広告予算を確保できる
- 【LTVを考えない場合】
「引上げ率」と「離脱率」を追っていく
サブスクサービスの場合、無料会員やお試しモニターなどを企業との初期接点とする場合が多いですが、お試しステップのままでは企業の利益は出ておらず、コストのみが掛かっている状態になっています。
特に複数の種類で広告を実施する場合は各施策毎に「引上げ率」と「離脱率」を追っていきましょう。離脱率の高い広告は新たにメルマガやLPの案内を作成して本商品への引上げ施策を用意したり、場合によっては広告を停止するなどして最適化することで、効率的な集客に繋がっていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
サブスクは日々進化し画期的なサービスが数多く生まれている一方、一般認知が進まずクローズしたりと、入れ替わりの激しい世界です。
適切な広告を組み合わせることで、顧客増を狙っていきましょう。
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