
SNSを効果的に運用するには、エンゲージメントについての理解とエンゲージメント率の向上が欠かせません。いいねやフォローなどの反応だけでなく、その先にあるユーザーの関心や信頼を高めることで、SNSからの売上や利益にもつなげることができます。
このコラムでは、主要なSNSプラットフォームごとのエンゲージメントの計算方法や目標値、実際に成功している企業の事例などを通じて、SNSにおけるエンゲージメントの効果的な高め方について詳しく解説します。
SNSにおけるエンゲージメントとは
エンゲージメントが重視される理由
各SNSにおけるエンゲージメント率の計算方法と目標値
ここからは、X(旧Twitter)・Instagram・Facebook・YouTubeのエンゲージメント率を計算する方法と目標値について解説していきます。
X(旧:Twitter)のエンゲージメントと確認方法
Xにおいてエンゲージメントとして確認すべき項目は次の通りです。
- ポスト(旧ツイート)の閲覧数
- いいね数
- コメント数
- リポスト(旧ツイート)数
- リプライ数
- 各投稿を経由したフォロワー数
- 画像や動画のクリック数
- ポストに掲載したURLのクリック数
- プロフィールのクリック数 など
これらの項目を確認するには、各投稿の右下にある三本バーをクリックしましょう。
さらに詳細なデータを把握するには、左画面メニューから「もっと見る」を押し、「アナリティクス」で確認してください。
Xのエンゲージメント率を算出する方法
Xにおけるエンゲージメントを算出する際は、まずエンゲージメント数を導き出します。エンゲージメント数は、いいね・リポスト・リプライ・投稿保存などを合わせた数です。次にご紹介するInstagramやFacebookのように、どの投稿の、どのアクションをエンゲージメントと定義するか目的に応じて決定してもよいでしょう。
- エンゲージメント率の計算式
-
Xのエンゲージメント率=(エンゲージメント数÷インプレッション数)×100
Xの目標エンゲージメント率
Xの全ユーザーのエンゲージメント率は、5%程度だとされています。そのため、5%以上を目指して運用するのがよいでしょう。
Instagramのエンゲージメントと確認方法
Instagramにおいてエンゲージメントとして確認すべき項目は次の通りです。
- 投稿の閲覧数
- いいね数
- コメント数
- シェア数
- 投稿が保存された数 など
Instagramは通常の記事投稿・ストーリーズ・リール動画・動画・ライブ配信などさまざまな投稿が可能です。
そのため、どれを計測するのかを絞って分析し、改善していくのもよいでしょう。ストーリーズよりもリール動画のエンゲージメントが高いのであれば、リール動画に注力するなど施策を見直すことができます。
Instagramのエンゲージメントを確認するには、Instagramの公式アプリ『Instagramインサイト』を活用しましょう。Instagramインサイトは、スマートフォンでプロアカウントに切り替えると利用できます。Instagramインサイトを導入すれば、プロフィールページとメニューから確認できるようになります。それぞれの投稿にも「インサイトを見る」という表示が出てくるため、投稿ごとのエンゲージメントも確認可能です。
Instagramのエンゲージメント率を算出する方法
記事・ストーリーズ・リール動画など、どの投稿のどのエンゲージメントを使うかによって「エンゲージメント数」を決定し、次の計算式でエンゲージメント率を算出します。
- エンゲージメント率の計算式
Instagramのエンゲージメント率=(エンゲージメント数÷インプレッション数)×100
Instagramの目標エンゲージメント率
Instagram の全ユーザーのエンゲージメント率は、1.22%程度です。人気のあるインフルエンサーのアカウントであれば1.67%程度であるとも言われます。また、ニッチな投稿でファンが多いアカウントなどでは、3%以上のものもあります。
エンゲージメント率1%以上をキープすることで、一定効果が期待できます。
Facebookのエンゲージメントと確認方法
Facebookにおいてエンゲージメントとして確認すべき項目は次の通りです。
- 投稿の閲覧数
- いいね数
- コメント数
- シェア数
- 投稿に掲載した写真のクリック数
- 投稿に掲載したURLのクリック数 など
Facebookのエンゲージメントを確認するには、トップ画面の左側にある「インサイト」をクリックすると、過去記事のエンゲージメントを一覧で参照できます。確認したい投稿をクリックすれば、詳細なエンゲージメントがわかります。
Facebookのエンゲージメント率を算出する方法
どの投稿のどのエンゲージメントを使うかによって「エンゲージメント数」を決定し、次の計算式でエンゲージメント率を算出します。
- エンゲージメント率の計算式
Facebookのエンゲージメント率=(エンゲージメント数÷リーチ数)×100
Facebookの目標エンゲージメント率
Facebookの全ユーザーのエンゲージメント率は、0.5〜2%程度とされており、ほかのSNSと比べて低めです。
1%以上を目指せば効果が期待できるでしょう。
YouTubeのエンゲージメントと確認方法
YouTubeにおいてエンゲージメントとして確認すべき項目は次の通りです。
- 視聴回数
- 視聴時間
- 高評価数
- チャンネル登録数
- コメント数
- シェア数
YouTubeのエンゲージメントを確認するには、YouTubeの公式アプリ『YouTube Studio』を活用しましょう。
YouTube Studioを開き、下部のメニューで 「アナリティクス」 をタップすれば、エンゲージメントを確認できます。下部メニューから「コンテンツ」を選べば、投稿ごとのエンゲージメントも確認可能です。
YouTubeのエンゲージメント率を算出する方法
YouTubeにおけるエンゲージメント数は、通常、高評価数とコメント数を合わせた数です。目的に応じてInstagram やFacebookのように、どの投稿の、どのエンゲージメントを使うかによって「エンゲージメント数」を決定してもよいでしょう。
- エンゲージメント率の計算式
YouTubeのエンゲージメント率=(エンゲージメント数÷再生回数)×100
YouTubeの目標エンゲージメント率
YouTubeの全ユーザーのエンゲージメント率は、2%程度だと言われています。そのため、2%以上をキープすることで、効果が期待できそうです。
エンゲージメントの高い企業SNSの事例
SNSのエンゲージメントが高い企業では、どのような方針でSNS運用をして、どんな施策を行っているのでしょうか。3つの事例をご紹介します。
化粧品メーカー「株式会社コーセー」のSNS活用事例
コスメは、SNSとの相性が非常によい商品だと言われています。モデルやタレントなどがコスメやメイク方法を投稿することも多く、ユーザーがSNSで情報をチェックするのは一般的になりました。
ECでの購入も増加し続けるなか、もはやコスメ業界では自社製品を広めるにはSNS活用が欠かせません。コーセーは公式のXとInstagramに注力し、商品の認知や理解を促進しています。
特にエンゲージメントが高まったポイントは、コミュニケーション重視の運用に切り替えたことです。
以前はフォローを促すために、プレゼントキャンペーンや広告出稿をしていたものの、一時的なフォロワー増にはつながっても、継続やファン化にはつながりにくい状況でした。しかし、フォロワーに「ぜひコメントしてください」と語りかけるような投稿や、ユーザーに「ぜひ感想を投稿してください」とアクションを促す投稿を増やしました。
ユーザーによるSNSでの情報拡散を起こすようになったことで口コミや新規ユーザーが増え、新規ユーザーが情報拡散や口コミを促し、好循環につなげています。
引用元:ホットリンク『【事例】目指すのは、長期的なファン化。コーセーが実践するコミュニケーション重視のInstagram・Twitter活用』(参照 2025-01-27)
洋菓子メーカー「シャトレーゼ」のSNS活用事例
シャトレーゼは全国に店舗を持つ洋菓子メーカーで、特にX活用に非常に長けた企業です。公式アカウントがスタートしたのは2017年ですが、そこから約2年でフォロワーは19万人まで増え、2024年には62万人ものフォロワーがいます。
フォロワーが激増したと聞くと、一般的にキャンペーンや広告などの施策に力を入れたケースが多いですが、シャトレーゼは、スタート時から本当にファンである質のいいフォロワー増加に注力したのです。
それによって、競合他社に比べてフォロワー数が圧倒的に少ない状況でもリポスト(旧リツイート)数は約3倍という状態が形成されました。
ファンが喜ぶコンテンツはどんなものかを追求し、文字などを入れ込んだり飾ったりしていない宣伝感がない画像を使い、リポストしたくなるように工夫しました。さらに、アイスクリームを使ったカクテルの作り方など、実際に作って報告したくなるような提案も投稿しています。
また、フォロワーの投稿に目を通し、厳選した投稿を公式アカウントでリポストし、より愛着を持ってもらうよう努めています。
引用元:プレジデントオンライン『シャトレーゼの口コミ数が2年で8倍になった訳』(参照 2025-01-27)
片付けサービス「片付けトントン」のSNS活用事例
片付けトントンは、ゴミ屋敷などを中心に片付けを代行するサービスです。YouTubeのエンゲージメントが高く、2024年時点で23万人のチャンネル登録者数を抱えています。
2015年に始めたYouTubeですが、最初の約半年間はほとんど再生数もチャンネル登録者数も増えていません。しかし、1年ほど経って運用方針を変更したことから急成長しました。
当初は片付け方法や掃除の技を紹介するコント動画ばかりを更新していました。しかし、ユーザーが本当に見たいのはゴミを片付けている仕事風景ではないかと考え、ゴミ屋敷を片付ける動画を投稿したところ、200万回再生を達成。15,000件以上の高評価や1,500件のコメントにつながりました。
依頼者を傷つけないか、片付けられずに悩んでいる人に追い打ちをかけてしまわないかなど葛藤があったそうですが、コメント欄には自分も片付けをしようと決意するユーザーが溢れ、よい効果が生まれています。また、スタッフの個性を出す動画を増やしたことで、徐々に視聴者がスタッフ個人個人を応援してくれるようにもなりました。
普段なかなか見ることのできない、事業の裏側や実態を見せるコンテンツは、ユーザーの興味関心を高めています。
引用元:片付けトントン公式note『YouTubeのファンが育ててくれた!ゴミ屋敷の片付けサービス|片付けトントン』(参照 2025-01-27)
SNSでエンゲージメントを高める4つの方法
実際にエンゲージメントを高めるには、どのようなことができるのでしょうか。ここからはエンゲージメント率を上げるためにやるべきことを解説します。
ユーザー目線のコンテンツを発信する
マーケティングにおいてはユーザー目線のコンテンツ発信が欠かせません。オウンドメディアやメールマガジンなどでも同じですが、SNSにおいても、もちろん重要です。
ターゲットにとって、どんなコンテンツがベストなのかをよく考えましょう。例えば、次のようなことを考慮してコンテンツを作ります。
- どんな悩みを抱えているか
- どのような情報を欲しているのか
- どんな言葉遣いなら親近感が湧くか
- 何時ごろにその情報を見たいか など
特にSNSは通常プライベートで気軽に使用する感覚を持つユーザーが多いため、堅苦しい言葉遣いよりも少し砕けた言葉遣いのほうが好まれるという傾向があります。
例えば「〇〇致します」よりも「〇〇しますね」などです。発信内容によっても異なりますが、ターゲットに届きやすいようさまざまな工夫ができます。
ユーザーとコミュニケーションをとる
ユーザーとのコミュニケーションは、SNSだからこそできる、エンゲージメント向上のための重要な施策です。
テレビ・ラジオ・新聞などのマスメディアや、オウンドメディア・メルマガ・ホワイトペーパーなどのWEB施策では、相互のコミュニケーションを取ることはできません。一方、SNSならユーザーと相互にコミュニケーションができます。
コメントやシェアに対して返信コメントやお礼を伝えることで、信頼関係が構築されていきます。企業が反応を返すほど、ユーザーは「またコメントやシェアをしよう」と思い、ますます口コミが広がることにもつながります。
ユーザーとのコミュニケーションは、継続的にエンゲージメント率を高めることができるのです。
投稿日時を意識する
投稿日時を意識することも大切です。テレビやオウンドメディアなどと違い、ユーザーは通勤・通学・休憩時間などにもSNSに多くの時間を費やす傾向にあります。だからこそ、ユーザーの目に留まる機会は多いと言えますが、一方でフォローしている情報が多いためにスルーされてしまう可能性も高いと言えます。
そのため、ターゲットユーザーにできるだけ見てもらいやすい時間に投稿することがエンゲージメントを高める秘訣です。
平日であれば朝7~10時などの通勤・通学時間、12~13時の昼休み、夜20~24時などの夜にスマートフォンを触る時間帯など、ターゲットとなるユーザーがその情報を目にしやすく、かつ見たいと思う時間を意識しましょう。
過去の投稿に対する反応を分析する
エンゲージメントを高めるには、本記事内の「各SNSでエンゲージメント率を計算する方法と目標値」でも紹介したように、各SNSの機能を使って分析し、過去の投稿を活かすことが重要です。
エンゲージメント率が高かった投稿をチェックし、投稿内容や投稿時間などの特徴を把握しましょう。また、反応がよかった投稿に対して、ユーザーがそのアクションに至った動機を分析することも大切です。
それらを次からの投稿に取り入れることで、エンゲージメント率の高いコンテンツが増えていき、製品やサービスの購入にもつながるでしょう。
まとめ
SNSのエンゲージメントを高めるには、ご紹介したようなさまざまな方法があります。
エンゲージメントとはユーザーから企業に対する愛着・思い入れ・絆などを指します。これらを一朝一夕に作り上げるのは簡単なことではありません。
最初はインフルエンサー活用などによって、自社のSNSの認知やファン化を促進することが大切です。
インフルエンサー活用術については、下記の無料お役立ち資料にて詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。