ポッドキャストは、インターネットを通じて、音声コンテンツを聴くことができるサービスとして、日本でも普及しつつあります。また、広告出稿先の音声メディアとしても注目されています。
今回は、ポッドキャスト広告の基本・メリット・ユーザーの特徴をはじめ、ポッドキャスト広告を出稿できるサービスなどもご紹介します。
ポッドキャスト広告とは
ポッドキャスト広告とは、ポッドキャストを通じた音声CMのことです。
そもそもポッドキャストとは、インターネットを通じて視聴できるオンデマンド音声コンテンツのことを指します。つまり、インターネットで聴けるラジオ番組のようなものです。
ポッドキャストは主に、スマートフォンアプリを介して提供されています。音楽・お笑い・英会話・ニュース・ドラマ・ビジネスなど、さまざまなコンテンツが配信されており、近年、ポッドキャスト市場は拡大しています。
広告活用においても、モバイルデバイスの利用ユーザーに届ける新たなオーディオアドとして、大きく注目されています。
ラジオとポッドキャストの違い
ラジオは電波に乗せて番組を放送するものです。テレビと同様、放送局や放送時間が決まっており、放送時間になると特定の番組が流れるしくみです。インターネットラジオで後追いで聞くことも可能ですが、基本的には車やCDラジカセ、災害時のポータブルラジオなど、リアルタイム視聴がベースとなっています。
ラジオが始まったのは大正時代であり、放送技術が豊富に蓄積されています。災害時の情報源にも活用されるほど情報の質が高く、テレビや新聞のように広告出稿先として社会的信頼性が高いことがラジオのメリットと言えます。
一方のポッドキャストは、アプリ上でコンテンツを配信する仕組みであるため、ユーザーは好きなタイミングで音声を聴くことができます。ストリーミング再生のみならず、スマートフォンなどの端末にダウンロードして楽しめるのも特徴です。個人や企業が自由に制作でき、放送時間の長さも自由です。
ポッドキャスト広告の国内市場
ポッドキャストは、日本国内でどれくらいの市場なのでしょうか。また、ポッドキャスト広告には、どのような可能性があるのでしょうか。
国内の6人に1人がポッドキャスト利用
日本におけるポッドキャストの月間利用率は15.7%だというリサーチ結果があります。具体的な人数としては、約1,680万人がポッドキャストのリスナーだと推測されています。
15.7%と聞くとあまり多くないように見えるかもしれませんが、だいたい6人に1人がポッドキャストユーザーであるということです。
また、アメリカではポッドキャストの月間利用率は42%にのぼります。すでに利用率の高い国があるということは、それに倣って市場を開拓できるとも考えられます。日本でも、まだまだ利用者が増える可能性があるでしょう。
日本のポッドキャストユーザー全体のうち、約50%のユーザーが定期的に3番組以上を聴いているというデータもあります。
引用元:株式会社オトナル『マーケターが知っておきたいポッドキャストの利用実態2023。国内外の音声コンテンツ動向の解説』(参照 2024-09-25)
ラジオデジタル広告市場規模は、前年比120%越えの拡大
2023年、ラジオデジタル広告費は28億円でした。前年比は127.3%です。ラジオデジタル広告費には、ポッドキャスト以外のサービスも含まれますが、市場が拡大していることは明らかです。
インターネットを介するラジオやポッドキャストは、従来のラジオよりも精密にターゲティングをすることができます。そのため、広告も、よりパーソナライズした各ユーザーに届きやすいものを配信することができます。
そのため、高い効果が期待できるとして、オーディオアドとして取り入れる企業が増えているのです。
引用元:株式会社Voicy『電通が「2023年 日本の広告費」を発表。ラジオデジタル広告費は前年比127.3%と大きく伸長』(参照 2024-09-25)
ポッドキャスト広告のメリットとデメリット
ここからは、ポッドキャスト広告のメリットとデメリットをご紹介します。
ポッドキャスト広告のメリット
ユーザーの能動性が高いため、広告にも耳を傾けやすい
スイッチを入れれば何らかの番組が流れる従来のラジオやテレビなどと違い、ポッドキャストは、スマートフォンなどでユーザーが自ら番組を選んで聴くものです。そのため、ユーザーの能動性が高いことがポッドキャスト広告を利用するメリットです。
ユーザーは関心が高いからこそ、その番組を聴いています。何かをしながら聴くことができるとはいえ、集中して聴いている可能性が高いでしょう。そのため、ポッドキャスト広告にも耳を傾けやすいと言えます。
ポッドキャスト広告の完全聴取率が高い
オーディオコンテンツの広告はスキップされにくく、完全聴取率が非常に高いのが大きな特徴です。
動画コンテンツでは、ユーザーは映像を中心に視聴しているため、広告はスキップされやすいものです。しかし、オーディオコンテンツは、何かをしながら聴く「ながら視聴」がメインだと言われています。そのため、わざわざ飛ばし聴きすることがあまりありません。
広告メッセージを最初から最後まで聴いてもらえる可能性が高く、伝えるべきことがしっかり伝わりやすいため、非常に効果的です。
広告を届けるユーザーを、詳細にターゲティングできる
ポッドキャストは、ユーザーデータを活用して、性別・年齢・地域・聴取コンテンツなど詳細にターゲティングすることができます。
従来のラジオでは、誰もがスイッチを入れると番組を聴くことができました。しかし、ポッドキャストはアプリなどを介するため、通常、利用登録が必要です。そのため、ポッドキャストサービス事業者や配信者は、どんなユーザーがどんな番組を聴いているのかを把握しています。
広告出稿においても、より細かくパーソナライズした内容で広告を制作・配信できるため、非常に効率的に、届けたいユーザーに届けたい広告を届けられるのです。
ポッドキャスト広告のデメリット
少なからず広告がスキップされることもある
ポッドキャスト広告においても、多少なりとも広告がスキップされる可能性はあります。
ながら視聴をするユーザーが多いポッドキャストは、動画広告よりもスキップされづらい媒体だと言われています。そうは言っても、スキップボタン自体はついているアプリも多いため、広告がスキップされてしまう可能性はあります。また、スキップしないまでも広告について「本編を邪魔される」と感じる方もいるでしょう。
このような傾向の対策として、例えば、お笑いラジオアプリ「GERA」では、お笑い芸人が製品とコラボしながら宣伝を行う仕組みを採用しています。このように、パーソナリティが製品を説明するようなポッドキャスト広告であれば、スキップされづらく高い効果が期待できます。
ポッドキャスト広告経由の効果計測が難しい
ポッドキャスト広告は、リンクをクリックして企業サイトに飛ばす、といったアクションの効果計測が難しい側面があります。
問い合わせの際にアンケートを設置する、特定のハッシュタグでの投稿を促すなど、ポッドキャスト広告経由のユーザーが計測しやすいような設計が重要です。
ただし、プラットフォームによっては、アプリ内にリンクを設置可能な場合や、独自の計測方法を用意している場合もあるので、一度プラットフォームに問い合わせしてみるのもよいでしょう。
ポッドキャストユーザーの特徴
ポッドキャストを聴いているのは、どのようなユーザーなのでしょうか。ここからは、ユーザーの特徴について見てみましょう。
10代・20代を中心に、学生の利用率が高い
ポッドキャストはパソコンのブラウザでも聴くことができますが、スマートフォンアプリで聴くのが主流です。そのため、若年層の利用率が高い傾向にあります。15〜19歳の約3人に1人がポッドキャストを聴いているという調査結果があります。また、20代でも4人に1人が利用しています。これは、TikTokと同じ程度の利用率です。
10代はエンターテイメントとしてポッドキャストを聴いている傾向が強く、お笑い番組や音楽番組を好む方が多いとされています。一方で、20代のユーザーは、推し活の一環として、配信者との距離の近さを楽しむ傾向があり、テレビなどの情報以上に配信者の情報を信頼するという特徴が報告されています。
経営層・資格業を含む、ビジネスパーソンも利用
ポッドキャストユーザーは非ユーザーに比べて、経営層・管理職を含めた会社員・資格業・公務員の利用率が高いことも報告されています。通勤途中や資料作成などをしながら聴いている方が多いのではないかと予想できます。ビジネス向けのコンテンツも増えており、情報収集手段としても利用されています。
非ユーザーと回答を比較すると、 ポッドキャストユーザーであるビジネスパーソンたちは、年収が高く可処分所得が多いこともわかっています。このことから、いっそう広告効果が期待できることがわかります。
引用元:株式会社 朝日新聞社『ポッドキャスト 国内利用実態調査 2021』(参照 2024-09-25)
ポッドキャスト広告の種類
ポッドキャスト広告には、主に、プレロール広告・ミッドロール広告・ポストロール広告の3種類があります。それぞれのタイミングが異なり、予算に応じて音声広告が差し込まれる仕組みです。
プレロール広告
プレロール広告とは、番組のスタート時に配信される広告です。
確実に耳に入るメリットがある一方、番組が終わるころまで記憶に残りにくいデメリットもあります。
ミッドロール広告
ミッドロール広告とは、番組のエピソードとエピソードの間に配信される広告です。
最初に配信されるよりは覚えておいてもらえやすく、最後に配信されるよりも確実に聴かれる可能性が高いメリットがあります。ただし、広告は番組の妨害になると考えるリスナーもいるため、いかに不自然さや不快感を与えずに、好感や興味を持たれる広告にするか、広告の質が重要です。
ポストロール広告
ポストロール広告とは、エピソードの最後に配信される広告です。最後に配信することで、記憶に新しく残り、すぐに検索やシェアなどをしてもらいやすいメリットがあります。
しかし、エピソードを聴き終わった時点で視聴を終えるユーザーもいるため、そもそも聴かれないかもしれないというデメリットもあります。
ポッドキャスト広告を出稿できるおすすめサービス
ここからは、ポッドキャスト広告を出稿できるサービスをご紹介します。ターゲットや目的に応じて、適した出稿先を探しましょう。
radiko(ラジコ):有料会員100万人以上のインターネットラジオ
radikoは、スマートフォンやパソコンでラジオが聴ける無料のインターネットラジオです。ラジオとポッドキャストを掛け合わせたような特徴を持ち、インターネットを使いユーザーがいる地域のラジオを、ほぼリアルタイムで聴くことができます。
さらに、radikoが従来のラジオと異なるのは、配信から1週間以内の番組であれば、いつでも遡って聴けることです。有料会員になれば在住エリア外の日本全国のラジオ放送も聴くことができ、有料会員は2022年に100万人を突破しています。
radikoは「radikoオーディオアド」という広告サービスを展開しています。会員データ・位置情報・過去に聴いた番組の履歴などを活用し、独自のDMPを構築してユーザーごとに合わせた個別の広告配信が可能です。
ラジオ局が配信している信頼性の高い番組のなかで、確実にターゲット層に届く広告が配信できる点で、高い効果が期待できます。
Apple Podcast:世界170以上の国と地域で配信
Apple PodcastはAppleが展開する、無料で利用できるポッドキャストです。世界170以上の国と地域が配信対象で、200万以上の番組が公開される規模の大きさが特徴です。
スマートフォンに限らず、すべてのApple製品のほか、Windowsなどでも再生できます。
広告が入らない番組もありますが、人気番組には広告配信がなされます。例えば、日本のApple Podcastのエンタメニュースカテゴリ1位を獲得した番組や、医学カテゴリで1位を獲得した番組などで広告配信できます。
Apple Podcastの広告はプレロール広告が主流で、番組が始まる前に流れ、スキップできないため、完全視聴率は96%だとされています。最大30秒までのポッドキャスト広告の配信が可能です。
GERA:お笑い芸人がパーソナリティを務めるラジオアプリ
お笑いラジオアプリ「GERA」もポッドキャストの一種です。M-1グランプリやキングオブコントなどで活躍する芸人や注目の若手芸人などがパーソナリティーの番組を配信しています。
GERAは2020年にサービスを開始し、総レギュラー番組数は約30作品、6000本以上のエピソードが揃っています。
GERAでは、リスナーが番組スポンサーとなる権利を購入したり、番組グッズを販売することでマネタイズされています。番組内で名前を呼んでもらえる権利など、ユニークなメニューも人気です。
広告枠としては、番組再生中に押すと広告が流れる「応援ボタン」が設置されています。しかし、広告が流れている間も番組がバックグラウンド再生されるため、音声が途切れず、ユーザーの不快感を最小限に抑えた運用がなされています。
また、音声広告としては、ほかのサービスとは異なり、ユーザーのために出稿企業がGERAとコラボレーションしてコンテンツを制作する形で展開されています。従来のコンテンツに差し込まれるポッドキャスト広告とも異なる、ユーザーファーストな独自の広告展開を行っています。
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ポッドキャスト広告は、詳細なターゲティングや完全視聴率の高さなど、メリットが多く、費用対効果の高い広告だと言えます。一方で、ポッドキャスト市場は成長段階という側面もあり、ポッドキャスト広告の種類や仕組みは、さらに充実していくでしょう。
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