近年、ポッドキャストやインターネットラジオの普及により、ラジオCMへの注目が再び高まっています。
ラジオCMは、スマートフォンなどに音声をダウンロードできることや、ターゲティングしやすいことなどから、費用対効果の高い広告媒体だと言われています。実際、広告市場は、製品やサービスの訴求に有効な手段として、年々成長を続けています。
このコラムでは、ラジオCMの概要・メリット・種類・料金などについて解説します。また、ラジオCMを活用した企業の成功事例もご紹介します。
ラジオCMとは
ラジオCMとは、ラジオ放送のなかで流される音声広告のことです。ラジオ広告とも呼ばれます。
ラジオは、新聞・雑誌・テレビとともにマスコミ4媒体の1つとして、重要な役割を果たしてきました。インターネットの普及などによって衰退した時期もありましたが、近年、再び注目を集めています。
その理由は、ラジオがスマートフォンやパソコンから聴けるようになったことに加え、コロナ禍をきっかけに在宅で過ごす人が増え、時間を問わずアクセスしやすくなったことだとされています。
ラジオは音声のみのメディアであり、写真・画像・映像などを使えません。そのため、広告訴求力が低いと考える方もいます。しかし、ラジオには独自の強みがあり、適切に活用すれば大きな成果につながります。
ラジオCMの国内市場
近年、ラジオCMの市場は世界的に拡大しています。日本においても大きく成長しつつあります。
日本のラジオCMの市場規模
出典元:株式会社デジタルインファクト『デジタル音声広告の市場規模は2020年に16億円、2025年には420億円に』(参照 2024-09-05)
日本国内におけるデジタル音声広告の市場規模は、2020年時点で約16億円規模だとされています。これは、前年比230%程度もの増加です。急速な成長が見込まれ、2025年には420億円規模になると予測されています。
デジタル音声広告には、ラジオ配信サービスだけでなく音楽配信サービスも含まれていますが、ラジオが大きな市場であることには変わりありません。
アメリカにおいても、ラジオの広告収入が2016年で11億ドル、2022年で55億ドルというデータがあり、ラジオ市場が拡大していることがわかります。ラジオCM市場は、海外同様、日本でもますます伸びていくでしょう。
ラジオCM市場で、成長している業種
デジタル音声の広告市場において、著しく成長しているのが、ファッション業界や外食産業などのサービス業です。在宅でラジオを聴く人が増えていたなか、コロナ禍が落ち着き、外出する人びとが増えたことが要因だとされています。
また、近年、お笑い×ラジオの熱量が高まっています。お笑い芸人がラジオ番組をきっかけに東京ドームや横浜アリーナで関連イベントを行うなど、大きなムーブメントにつながっています。
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ラジオCMのメリットとデメリットを紹介
ラジオCMには、メリットとデメリットがあります。
ラジオCMのメリット
視聴者に届きやすい“ながら聴き”で、高い効果が期待できる
ラジオCMは、出稿した広告がリスナーに届きやすいメリットがあります。
ラジオは、映像が中心であるテレビや動画プラットフォームと違い、“ながら聴き”ができる媒体です。別のことをしながら聴いている方が多いため、CM中にチャンネルを変える可能性が低いとされています。
また、実際のラジオCM放送時はパーソナリティーの合図などが入り、唐突感がないことから、CMが番組を妨げているような不快感を感じにくいのも特長です。自然と広告が耳に入るため、スキップしたいと考えるリスナーは少ないでしょう。
違和感のない広告を繰り返し聴くことで、リスナーへの刷り込み効果も期待できます。刷り込み効果は長期記憶に強いとされているため、違和感なく無意識に何度も聴いてもらうことで、広告効果を高められます。
映像広告に比べて、製作費が安い
テレビや動画などの、映像広告よりも製作費が安い点も、ラジオCMのメリットです。
ラジオCMの制作に必要なのは、原稿制作と録音だけです。そのため、映像広告を制作する費用の5分の1〜10分の1程度に制作費を抑えることができます。
ユーザー層がわかりやすく、ターゲティングしやすい
通勤・通学の時間帯ならビジネスパーソンや学生が聴きやすく、日中なら主婦や高齢の方が聴きやすいなど、リスナーの年代や職業や性別を想像しやすいのも、ラジオの特長です。
近年のラジオ配信サービスでは、アプリの利用登録によって住んでいる地域や年齢など細かく把握でき、どのような属性の人がどんなラジオ番組を聴いているのかはラジオ配信サービスが把握しています。出稿先を考える際には、ラジオ配信サービスに相談し、より自社のターゲットに合うリスナーがよく聴いているラジオ番組でCMを流すのがよいでしょう。
ラジオCMのデメリット
視覚的な情報は、伝わりづらい
ラジオCMのデメリットとして、耳で聴く媒体であるため視覚情報が伝わりづらい点があげられます。
特にリスナーに馴染みのない商品の場合、音声だけで特徴を説明するのは容易ではありません。どのような描写をすれば伝わるのかを社員やプランナーと検討したり、表現力の高いパーソナリティーを起用したりすることが大切です。
ラジオCMを出稿する際の広告料金の相場
では、ラジオCMを流すには、どのような種類のCMに、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。相場をご紹介します。
広告配信料:ラジオCMを流すための料金
ずは、広告配信料について見てみましょう。配信のタイプは主にスポットCMとタイムCMの2つです。
スポットCM:2万〜30万円(20秒)
スポットCMとは、1回ごとの料金を支払って配信するタイプのラジオCMです。アナウンサーが読み上げるようなシンプルなアプローチの場合、CM時間20秒で2万円程度から配信できます。
例えば、関東のメジャーなラジオ局であれば、1回のスポットCMで6万円程度が一般的です。関西のメジャーなラジオ局では、4万円程度の金額が多くなっています。
タイムCM: 10万〜200万円以上(20秒)
タイムCMとは、一般的に3か月単位で契約するタイプのラジオCMです。CM時間20秒で10万円程度からの契約が可能なラジオ局もあれば、人気局かつ人気番組なら200万円以上となるケースもあります。
ターゲットにきちんと届けることができ、製品・サービスの認知向上や売上につながるのであれば、200万円以上をかける価値はあるでしょう。反対に、数万円であっても効果がなければ意味がありません。問い合わせなどによって、きちんと費用対効果を見極めることが大切です。
広告制作費:ラジオCMを作るための料金
ラジオCMを配信するには、広告制作費も必要です。相場としては、生放送で流すCMの場合は5万円〜、収録型の場合は15万~50万円程度と考えるとよいでしょう。アナウンサーが1人で読み、BGMを流すラジオCMであれば15万円程度から制作可能です。
ただし、広告制作費は依頼する制作会社によって大きく異なります。また、収録時間やパーソナリティの出演料によっても変動します。
品質・見込まれる効果・費用・予算などのバランスを考え、 信頼できる制作会社に依頼しましょう。
ラジオCMを活用した企業の成功事例
ここからは、ラジオCMを活用した企業の成功事例をご紹介します。
株式会社不二家:チョコレートのプロモーション
お菓子や洋菓子の製造販売や卸売を行う不二家は、チョコレートのプロモーションにおいて、ラジオCM活用に成功しています。
不二家のメインユーザーは、ファミリー層やシニア層です。新たに10代後半〜30代の女性にアプローチするため、同社はターゲット層から圧倒的支持があるアイドルがパーソナリティを務めるラジオ番組にて、ラジオCMを展開しました。
収録したラジオCMを流すだけでなく、番組内で出演者が製品を試食してリポートすることで、X(旧Twitter)でハッシュタグが5週連続でトレンド1位になりました。
また、店舗とも連携し、売場ではラジオで紹介されたことをPOPで伝えました。メディアで紹介された信頼性から商品を購入するユーザーも増え、大きな反響を得ました。
株式会社トンボ鉛筆:受験生からの第一想起が狙い
1913年創立の総合文具メーカーである株式会社トンボ鉛筆は、さまざまな商品を取り扱っているため、特定のターゲットを設けていません。そんななか、主力製品である同社の鉛筆を、受験生に第一想起してもらいたいという主旨からラジオCMが活用されました。
CMを出稿したラジオ局では、毎年12月〜1月の受験シーズンに、受験生を応援する番組を1日中放送しています。リスナーは中学生から若手社会人まで、幅広い年齢層の受験生です。
パーソナリティやタレントが受験生に対して応援メッセージを発信するなどに加え、スピンオフ番組を全国の高校にて校内放送限定で放送し、広告予算を上回る効果が得られました。
テレビCMに比べて導入しやすい金額感であることも、トンボ鉛筆がラジオCMを利用した決め手だとされています。
ラジオCMが放送されるまでの流れ
ラジオCMを出稿すると、放送までにどのような手順が必要なのでしょうか。ラジオCMが放送されるまでの流れをご紹介します。
1.CMを制作する
まずは、放送するラジオCMを制作します。生コマーシャルを利用する場合は原稿が必要です。収録型を利用する場合は、原稿に加え、音源自体を事前に制作する必要があります。
ラジオCMは、放送局や番組によって、独自の審査があります。そのため、審査基準などを知らずに作ってしまうと、費用を払ったからと言って必ずしも放送できるとは限りません。
そのため、ラジオの放送局に制作を依頼するか、広告代理店に制作を依頼するのが一般的です。ラジオ局に制作を依頼する場合、アナウンサーが原稿を読み上げるパターンが多く、キャスティング費用を抑えられる傾向にあります。ただし、契約によっては、ほかのラジオ局で同じCMを使用できないこともあるので、注意が必要です。
広告代理店に制作を依頼する場合、同じCMを複数のラジオ局に配信できることが多いでしょう。広告代理店は広告のプロであり、どのようなCMを作れば効果が出やすいのかをしっかり分析したうえで制作してもらえます。
ただし、人気のある出演者をナレーターとして起用するなどの場合、費用は高くなります。
2.ラジオCMを出稿する
ラジオCMの出稿は、ラジオ局に直接依頼するか、広告代理店経由で依頼をすることもできます。
ラジオ局に直接依頼する場合、次のような傾向があります。
- 仲介料などがかからず、出稿費用は安くなる
- 他局で流した音声や原稿を使用できない
- 放送局ごとに審査が必要
一方、広告代理店経由で依頼する場合、次のような傾向があります。
- 出稿費用が高くなる
- 放送局の審査を代行してくれる
- 音源の調整をしてくれる
なお、すべての場合で上記の違いがあるわけではありません。ラジオ局や広告代理店によって、依頼できる内容や費用は異なるので、まずは問い合わせてみましょう。
3.ラジオCMが流れる
審査に通過したら、制作した原稿や音声をラジオ局に送付します。決まった日時に、ラジオCMが実際に放送されます。
4. CMの効果測定をする
CM出稿を代理店に依頼した場合は、広告の効果測定をしてくれるケースが多い傾向にあります。
ラジオ広告の効果測定は、延べ聴取率(GRP)という単位で測定するのが一般的です。GRPは「平均視聴率×放送回数」で計算されます。GRPが高いほど、効果的であったと考えられます。
効果測定ができれば、今後のCM戦略を立てやすくなります。そのため、継続してラジオCMでの成果を上げたい場合は、効果測定をして改善点を示してくれる代理店に依頼するのがおすすめです。
まとめ
ラジオCMは、アメリカを筆頭に日本国内でも市場が拡大している、注目の広告媒体です。
ラジオCMの種類も、番組の最初に流れるものや最後に流れるもの、録音したものを放送するタイプや番組とコラボレーションしてパーソナリティーが紹介するタイプなど、多岐に渡ります。
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