サイト運営初心者が陥りやすい失敗とは?365日×10時間を費やした から気づいたこと
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先輩メディア:北村康之さん
初めて立ち上げたサイトは大事に育てたい。
そんなサイトへの思い入れはわかりますが、成果がでなければ作り直す勇気も必要です。
失敗こそ経験になると話すアフィリエイターは、格安SIM特化サイト「SIMっちゃお!」を運営する北村康之さん。知識ゼロからサイトを立ち上げ、何度もサイトを作り直して成果を上げられるようになったといいます。今回の先輩メディアインタビューでは、北村さんが失敗から学んだサイト運営初心者が避けるべき考え方と、記事改善のポイントをお伺いしました。
もくじ
諦めずにサイト運営したら収益化できた
まず、サイト運営を始めた時期やきっかけについてお聞かせいただけますか?
サイトに広告を貼って収益を得られることを知ったのは2012年ごろで、率直に言うと生活費を稼ぐために始めました。本業は書店経営ですが、業界全体の売り上げが落ち込んでいることもあり、アルバイトをして収入を補っているような状態でした。でも、アルバイトだと稼げる金額や労働時間に限りがありますし、年を重ねていくと体力的にも厳しくなると思い、一念発起してサイト運営を始めました。
2012年当時は情報も少なかったので稼げるのか半信半疑でしたが、実際にサイトで広告収入を得ている方に会って地道に情報を集めました。2014年くらいから育毛や洗顔、英会話教材など色々な商材のサイトを運営しましたね。2015年には格安スマホの総合サイト「格安スマホ解体新書」を立ち上げました。そこからはサイト運営に毎日10時間費やす生活を1年間続けて、月に数百万円の収益が出たこともありました。
毎日10時間!? やっぱり、成果の裏にはものすごい努力があるんですね。
そうですね。とにかく必死でした。あとは失敗してもあきらめませんでしたね。鳴かず飛ばずのサイトでもなぜ失敗したのかを分析して、また新しいサイトを立ち上げていました。1つ目より2つ目、2つ目より3つ目のほうが知識やスキルがついて、いいサイトになります。
初心者の方は特に1個のサイトで利益を出そうとしてしまう傾向にあるのですが、最初のサイトを大事にしすぎて、成果が出ないと心が折れてしまいますよね。精神論になっちゃうんですけど、「ダメだったらまたやろう」くらいの気持ちで取り組んでいます。
いまメインで運営している「SIMっちゃお!」も、「格安スマホ解体新書」の数字が落ちてきたので立ち上げました。
結果が出なかったら次へ、切り替えの早さとパワーを見習いたいです。
新しくサイトを立ち上げるのは骨が折れますが、最初からうまくいく人なんて一握りですからね。今振り返ると、「格安スマホ解体新書」に移行するまではノウハウを得るための実験に近かったなと思います。無料商材やオンラインサロンで勉強したり、コンサルティングを受けたり、ABテストとデータ分析を繰り返したりしたので、自分なりの方法が確立できてきました。記事で取り上げる端末は必ず実機を利用することもこだわりのひとつです。
すべて実機を利用しているんですか? 費用がかなり嵩むと思うのですが、そこまで実機にこだわる理由を教えてください。
効果を実感しないまま紹介するのが嫌だったからですね。英会話教材などのサイトを運営しているときも、レビュー記事を中心に書いていました。でも、途中からリサーチをしたとしても自分が使ったことのないものを読者にすすめることに罪悪感を覚えてしまって。
それもあって、半年ほどサイトの運営を休んでいたのですが、その後、ASPの方に「格安スマホ」という商材を教えてもらったことを機にサイト運営を再開しました。その時に実機を購入して記事を書こうと決めました。
格安スマホのジャンルにはすでに競合がいたんですけど、実機を使用したレビュー記事が少なかったということも実機を使うことにこだわる理由のひとつです。後から始める自分が差をつけられるのは何かと考えましたね。記事を書くための端末は、サイトを運営しながら少しずつ買い足していったものの、実機購入の初期投資としては100万円ほどかかりました。
▲実機を購入してレビュー記事を書いた「格安スマホ解体新書」
(引用:格安スマホ解体新書)
100万円ですか!?
はい。でも、個人が法人サイトに勝つための投資だと思って腹をくくりました。やはり実機を使うといろんな発見があるので、記事を書くネタがどんどん生まれるんですよ。ネタがないなと思ったときは、話題のスマホやタブレットを購入してネタをつくってますね。
あと、あくまで経験上ですが、実機を使ったレビューのほうが滞在時間が長くなるとデータがGoogleアナリティクスで出ています。ポリシーだけでなく、きちんとしたメリットもあるんですよね。
わかりやすい記事のために大切な第三者の目
実機を使う以外で気を付けていることはありますか?
家族に記事を読んでもらってフィードバックはもらうようにしていますね。誤字脱字は自分で気づかないことが多いですし、長いこと記事を書いていると商材に詳しくなりすぎて、読者目線を忘れてしまうんです。例えば、「SIMっちゃお!」の場合、格安SIMにあまり詳しくない読者に対して記事を書いているのですが、知識が増えすぎると「読者のわからないことがわからなくなる」状態に陥ってしまいます。
サイトを立ち上げてしばらくして両親に記事を読んでもらって、「何が書いてあるのか全然わからない」と言われて、内容を変更したこともあります。それに読者の方から、「そこがわからなかったのか!」と気づかされる質問を受けることも多く、そのときは商品を知りすぎることのデメリットを感じました。
ほかには、家電量販店の店員さんと話して初心者の方がわからないポイントの答え合わせをしたこともあります。何もわからない状態の人に「わかりやすかった」と言ってもらえないと記事を書く意味がないので、身近な第三者目線は大切にしていますね。
初心者の方向けにもわかりやすくなるように意識されているんですね。それ以外にも気を付けていることはありますか?
イラストや写真を積極的に入れることですね。僕のサイトでは、写真やイラストを入れた場合と入れなかった場合を比較すると、写真やイラストを入れたほうが滞在時間が延びるというデータが出ています。滞在時間は成果に直結しないんですけど、長ければ読者が記事をしっかり読んでいるということなので、興味を持ってくれている・役立っている指標になります。
ほかには、吹き出しを使って会話形式を採用してテンポよく記事を読んでもらえるようにしています。文章を書くことがあまり好きではないという消極的な理由で始めたのですが、結果的に読みやすさにつながっていると思いますね。
デバイスごとの見やすさも重視しています。「SIMっちゃお!」のユーザーは9割がスマートフォンを利用してサイトを見てくれているので、記事を公開する前にスマホで写真のサイズや位置、行間などを何度も調整してるんです。
▲ページの見やすさを重視して吹き出しや写真を配置している
(引用:SIMっちゃお!)
記事を書いてデータ分析あるのみ
ここまでお話を伺う中で「データ」という言葉が何度か出てきましたが、基本的にデータ分析からサイト運営のヒントを得ているのでしょうか?
そうですね。ただ、データ分析にはある程度のボリュームのアクセスが必要なので、初心者の方がすぐに取り組めることではないのですが……。サイト運営や記事改善には、ABテストの繰り返しは大切だと思います。仮説を立て、期間を決めて効果を見ます。広告リンクの位置やデザインによるコンバージョン数の違いなんかを比べますね。1~2週間くらい様子を見て、また位置やデザインを変えて、どちらが効果があったか比べています。
何かを変更するときは「いつ」「何を変更したか」をメモしておくと、結果の比較やアップデートの後の振り返りに役立ちます。Google Search ConsoleやGoogle Analyticsを使って、ひたすらデータを集める地道な取り組みですね。
どれくらいデータが集まれば改善策が打てる基準にしていますか?
明確に基準を設けることは難しいですが、僕の場合はユニークユーザー(UU)が100~150になること目安にしています。UUが100~150あれば、サイト内をユーザーが巡回してくれていると判断できるアクセス数になっているはずです。
なるほど、具体的にはどこを見てどのような改善を行ったか一例を教えていただきたいです。
コンバージョン(CV)につなげるための改善例としては、まずGoogle Analyticsでアクセスが集まっているページを調べます。アクセスが集まっているページがCVのキラーページではない雑記記事の場合、CVページに誘導できるように構成を変更しますね。
では、データを集めるためには、やはり記事数が必要ということですね。
そうですね。「格安スマホ解体新書」では、300記事を目標にしました。データ集めもありますが、それだけ書けば文章の書き方やサイト作成のスキルが少しは上がるのではないかと思い、自分なりの基準を設けました。
300記事!たしかに最初はたくさん記事を書いた方が良いというアドバイスをよく耳にします。
インターネットの記事でも「とにかく100本記事を書く」とか、よくありますよね。でも初心者の方には、インターネットやノウハウ本の情報を鵜呑みにして、そのまま真似しないように気をつけてほしいです。
やみくもに100記事書くのではなく、なぜ100記事必要かを考えることが大切です。そうすると、自分の中にノウハウがたまっていきます。データ集めや文章に慣れるほかに、人によっては、サイトに必要な情報を網羅する意図でたくさん記事が必要だとアドバイスする人もいます。「どうしてその行為が必要なのか」という背景や理由までを考えて行動してほしいですね。
先人の真似をしてもうまくいく保証はない
ほかにインターネットなどの情報を真に受けることのリスクはありますか?
検索エンジンは日々進化しているので、ここで紹介したやり方やネットで調べて出てくる方法はそのときは役立つかもしれませんが、必ずしもうまくいくという保証はできないということです。加えて、真似をしたサイトの順位が下がったときに一緒に引っ張られて順位を落としてしまう可能性も高くなるというデメリットもあります。そういった危険性を初心者の方はわかっていない方が多い気がします。
僕個人の話で言うと、Twitterを削除して外からの情報を絶つようにしています。元々引っ込み思案なこともあって、性に合っているんですよね。あとは単純に二番煎じになってもおもしろくないのも真似をしない理由のひとつです。
意外です! アフィリエイターの方々はSNSで積極的に情報交換しているイメージがありました。
もちろん、交流会などに参加してネットワークを強化していく方法もあるかと思いますが、僕のような人間もいるので、それぞれ合うやり方を採用すれば良いのかなと。
なるほど、ほかに人によってやり方を変えるポイントはありますか?
どのくらい稼ぎたいかを明確にすることも大切ですね。サイト運営を始めたてのときは「とにかく稼ぎたい」という気持ちが先行して、手当たり次第に案件に飛びついてしまうこともあるかと思うのですが、稼ぎたい金額によっては効率性を考えた取捨選択が必要になるので。
たとえば、月に50万円稼ぎたい場合、1件3,000円の案件と1件200円の案件があるとしたら、多少手間がかかったり成果報酬のハードルが高かったりしても、1件3,000円の案件を選んだほうが効率的です。それに対して、月に数千円とか1万円くらい稼ぐなら、成果報酬のハードルが低い1件200円の案件のほうが手間は少なくてすみます。こう話してみると当たり前のことが見えていない初心者の方は多いなと感じています。
個人なら手間が少ない特化型サイトがおすすめ
最後にサイトをこれから立ち上げる方が覚えておくと良いポイントを教えていただけますか?
まずサイトの種類についてですが、特化サイトのほうが運営の手間が少ないという利点はありますね。たとえば、「格安スマホ解体新書」や「SIMっちゃお!」は、いろいろな会社を幅広く見なければいけないうえに、毎月のキャンペーンのフォローアップが大変なんですよ。なので、ひとつの商材に特化したサイトのほうが手間は少ないです。ただ、案件が終了するとサイトが運営できなくなるリスクがあることは覚えておいてください。
手間は少ないほうがいいですもんね。
そうですね。格安SIMの場合、ひとつの会社に絞って実際に契約して記事を書いてみるといいと思います。料金プランや申し込みなど、いろんな切り口で自分が感じたことを書けるので、しばらくはネタに困ることなく記事が書けると思います。商材を決めたら、記事を書いて文章に慣れる。第三者の原稿チェックやABテストを繰り返して、自分なりに成果が出るコツを掴んでいってください。