化粧品のレビュー記事を書くうえで重要な信頼性を高めるためにできること
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先輩メディア:市川 ゆみさん
30~40代の敏感肌にお悩みを抱えた女性に向けて、ウェブメディア「すはだナビ」を通じて、化粧品のレビュー記事を制作。
2018年3月の立ち上げから現在まで、情報収集・記事執筆・写真撮影に至るまでをすべて一人で行っている。・運営サイト
すはだナビ
レビュー記事を書くために、どれくらいの時間をかけられますか?
ウェブメディアで記事が重要であることにもはや疑問の余地はありません。
しかし記事にも、いろいろな形があります。
今回の先輩メディアインタビューに登場いただくのは、化粧品のレビュー記事をメインで運営している「すはだナビ」の市川ゆみさんです。市川さんは、化粧品のレビュー記事を作るため、資格を取得してみたり、雑誌からレビューの書き方を勉強したり、オリジナルの写真にこだわってみたり、とにかくレビュー記事を書くための努力に時間を惜しみません。
そのレビュー記事へのこだわりは、どこからきているのでしょうか。
もくじ
きっかけは「A8Woman」の課題だった
まずは「すはだナビ」立ち上げのきっかけについて教えていただけますか?
A8.netが企画・運営している、「A8Woman」に参加したことがきっかけでした。
A8Womanは、ウェブサイトを本気で運営したい女性を対象にしたプロジェクトで、A8のOBや広告代理店の方などが講師をつとめる講義が全部で6回あります。
毎回の講義で課題が出されるんですが、レビューサイトの制作も課題のひとつで、せっかくなら腰を据えてやろうかなと思って立ち上げて今に至ります。
テーマは「ダイエット」か「美容」、「子育て」の3択だったのですが、商材を「敏感肌の方向けの化粧品」に絞ったのは、私自身が化粧品を塗ったときに肌荒れしやすい敏感肌だったのが理由です。
それまでサイトを立ち上げられた経験はお持ちだったんですか?
すこしブログを立ち上げたりはしていたのですが、A8のランクもブロンズ(初級)でしたし、スキルも知識もほとんどありませんでした。
PPCやSEOの知識もさらっとなぞった程度だったので、もう一度勉強し直すつもりで立ち上げたかたちです。
ただ、ほぼ未経験で一人でやっているので運営は大変ですね。
凝ろうと思えばどこまででも時間をかけられてしまいますし、特に写真撮影を一人でこなすのはひと苦労です。最初のころは月に30記事更新していたので大変でした。
月に30記事! どんなスケジュールで取り組まれていたんですか?
日にちごとに作業を分けていました。1週間のうち、撮影の日を1日とって、2日で1週間分の記事をまとめて書いていました。
残りの日も情報収集や勉強、Instagramの投稿などに充てていたので、毎日かかりきりのような感覚でしたね。
差し支えなければ、現在のサイトのPV数などを教えていただけますか?
調子の良かったときは1日1,000PVペース、月間にして30,000PVくらいでしたね。
コンバージョン数は記事によりますが、多いときで10PVあれば1回コンバージョンしていたと思います。
いまは記事数もかなり増えましたし、新しく立ち上げたサイトなどに注力したかったので、現在は更新を止めています。
依頼があればたまに更新する程度です。
10PVで1コンバージョンは、かなり高い数字ではないですか?
私はおもに化粧品のレビューを書いていたので、商標キーワードでアクセスが集まっていました。
その商品が気になっている人に対してうまく訴求できていたから、コンバージョン率も上げられたのではないかなと思います。
本当のところはわかりませんが、特に信頼性とリアリティにこだわって書いていたので、読者の人に伝わった結果だと考えています。
信頼を得るために「自分の使ったものしか紹介しない」
事前にお話を聞いた感じですと、すはだナビでは「信頼」を重要視しているように思えます。具体的に信頼とは一体どう定義されていて、信頼性にこだわる理由はなんでしょう?
読んだ人がレビューの内容を信じてくれることですね。
これはあくまで主観なのですが、大手の口コミサイトの中には「これって本当かな?」という口コミも混じっていて、信頼できないなと感じることが多かったんです。
広告を貼っているサイトは口コミサイト以上に疑われやすいと思うので、だからこそ読み手の方が情報を信じてくれるような発信は心がけているつもりです。
自分の使ったものしか紹介しないのは大前提ですが、広告プログラムの対象にならない化粧品なども、使っていいと思ったものは紹介するように心がけています。
自分が使ったものの中でよかったものだけ紹介する、ということですか?
自分が使って合わなかったものを紹介することもあります。
ただ、そのときは正直に合わなかったと書きますね。
悪いことも書いたほうが読者の方にとってメリットになるので。嘘を書かないことも大事です。
また、「これを使えば白くなる」という大げさな触れ込みのものは特に慎重に試すようにしています。
30代〜40代女性の気持ちを知るために生の声をチェック
とにかく自分の手で試して正直に書く、ということですね。レビュー記事を書くうえで何か参考にされている媒体などはありますか?
参考にしているのは「LDKビューティー」ですね。他の美容雑誌よりもレビューが具体的で客観的に書かれているなと。
たとえば、ランキング特集でも「長持ちする」「うるおい」といった同じ基準で点数を付けて比べているのでわかりやすいんです。
雑誌ほど大掛かりな実験はできませんが、自分でもスキンチェッカーを使って肌の乾燥度を測るなど、客観的な数字を書くようにしています。 商品の紹介の仕方では、「カバー力が高い」ではなく、「パウダーファンデーションだけど、リキッドファンデーション並み」など、具体性があるところも参考にしていますね。
それ以外に意識して実践されていることはありますか?
「スキンケアアドバイザー」という美容の資格を取りました。
課題に取り組んで提出すれば取れる資格ではあるのですが、肌を構造から学んでいくのでけっこう骨が折れました。
あとは、「コスメコンシェルジュ(日本化粧品検定)」のテキストを読んで知識を付けています。
スキンケアだけでなく、メイクやシャンプーなど幅広くカバーしているので勉強になりますね。
信頼性を保つためにというのはもちろんですが、記事を読んで化粧品を購入してくれる方がいると考えると、自ずと責任感が湧いてきた感じですね。
オリジナルの写真にこだわって信用度を高める
信頼という観点で、ビジュアル面で気を付けていることはありますか?
写真にはかなり気を遣っています。撮影はiPhoneなのですが、必ずオリジナルの写真を心がけています。
撮影に使う小物は、100均などで買ってきた壁紙などを駆使して。
また、自宅の日当たりが良くないので、照明機材を組み立てて小さなスタジオのような環境をつくって撮影しています。
構図や写真の撮り方は「A8Woman」の方やカメラマンの知人にいろいろと習いましたが、基本的には「できるだけ近くわかりやすく」を意識しています。
化粧品の背景には壁紙を敷き、小物に花を添えることで女性らしさを演出している
写真にかなりこだわられていますね。サイトのデザイン面についてはどうでしょう?
「デザイン面では、スマホでの読みやすさを特に意識しています。線で囲ったり短くしたり、文字量は多くても写真数を多くして読み手に負担をかけないようにしたり。
デザインの参考にしているのは、30~40代の女性向けの雑誌「CLASSY.」や「VERY」の公式サイトでした。
今見るとちょっと変わっている部分もあったのですが、当時は白背景でシンプルなのに、おしゃれで大人っぽい感じだったんです。大人の女性を引きつけるデザインかつ読みやすい感じが気に入りました。
サイトのデザインもすべて自分でやっていたので、これなら取り入れやすいかなと思い参考にしました。
あとは、サイトのトーンが崩れるのでアドセンスは貼らないようにしています。
サイトを制作するときに使っているツールはありますか?
サイト制作をするうえで使っているツールは「Canva」のオンラインツールです。
文字だけ打てばロゴになるので初心者の方にもおすすめです。テンプレートは「Diver」を使用しています。
SEO的に有利とかそういうのは正直わからないのですが、記事を装飾するのがワンクリックで楽なのが個人的に気に入っています。
広告主に会いに行って一次情報を得る
記事を作るために広告主の方にも直接会いに行かれているんですよね?どういったきっかけで始められたんですか?
勉強会で知り合ったA8.netの代理店の方に「こういう記事を書いたらどう?」と広告主の方の商品を勧められたのがきっかけですね。
そのときに「直接お話を聞いた方がいいんじゃない?」と言われて、お話を聞きに行きました。
お話を伺っていて、信頼を得るために多大なインプットをされているなという印象でした。今後の目標などがあれば教えてください。
私自身が敏感肌に悩んでいたときに口コミサイトの情報に惑わされた経験があったことが「読者の信頼を得たい」という強いモチベーションにつながっている気がします。
あまり具体的ではない目標なのですが、読者の方が「このサイトが良いっていうなら信じられる」と絶対の信頼を置いて購入できる。
そんな存在になれたらうれしいなと思っています。