ビジネスを安定させるためには、顧客コミュニケーションが重要です。その理由は、適切なコミュニケーションをとることで、顧客と信頼関係を築けるためです。
しかし、コミュニケーションのデジタル化によって、適切な顧客コミュニケーションの方法がわからない企業は少なくありません。
顧客コミュニケーションを疎かにすると新規顧客からの支持はもちろん、既存顧客を失ってしまう可能性もあるため、適切なコミュニケーション方法は理解しておきましょう。
今回は、顧客コミュニケーションのメリットや具体的な活用ツール、コミュニケーションで効果を出すポイントなどについて解説します。
顧客コミュニケーションとは?
顧客コミュニケーションをとる3つのメリット
顧客コミュニケーションを成立させることは、企業にとっては大きなメリットになります。顧客とコミュニケーションをとるメリットは、大きく分けると以下の3つです。
- 自社商品やサービスの改善につながる
- 顧客がファンになってくれる可能性がある
- マーケティング戦略の幅が広がる
順番に解説します。
自社商品やサービスの改善につながる
自社の商品やサービスの向上に繋がることは、顧客コミュニケーションの大きなメリットです。
顧客コミュニケーションを継続することで、質の高いフィードバックを期待できます。その内容を参考にすれば、サービス改善に繋がります。
例えば、企業が商品やサービスをリリースする場合、性別や職業などを予め設定した架空のターゲット像「ペルソナ」を作成し、それをもとに製品の方向性を決めることがよくあります。しかし、実際に販売してみると想定よりもターゲット層が違っていた、ということも珍しくありません。
顧客の声から修正を行い製品に反映することで、顧客ニーズとの合致性が高まり、まさにかゆいところに手が届く状態が構築されていきます。特にネガティブな意見には改善のヒントが詰まっているため、見逃さないようにしましょう。
顧客がファンになってくれる可能性がある
顧客がファンになってくれる可能性があることも、顧客コミュニケーションに取り組むメリットです。
適切なコミュニケーションを取れている場合、企業に対する信頼が生まれ、自社のブランドストーリーや企業理念を顧客に伝えられます。
また、人は接触回数が多いものに好意を抱く、ザイオンス効果という心理があります。頻繁にコミュニケーションをとることで、企業への愛着が高まることも期待できます。
顧客がファンになると、SNSで拡散してくれたり、ポジティブな口コミが増えたりと、企業にとっても大きなメリットがあるのです。
マーケティング戦略の幅が広がる
関係性を構築した顧客が多くなると、マーケティング戦略が広がります。
例えば、関係性の深い顧客だけを対象にしたイベントや、一定の基準を満たした会員限定セールなどが挙げられます。そこでは、さらにニーズの深堀りが期待できるでしょう。
企業を信頼している顧客にとっても「限定」イベントは優越感や満足感を抱けるため、参加するユーザーにもメリットがあるのです。
顧客と良好な関係が成立できない場合、広告費に頼ったマーケティング手法に依存する可能性があります。新規顧客を獲得し続けるだけの事業はランニングコストが高くなりがちです。獲得した顧客と信頼関係を築き、戦略の幅を広げることは重要なのです。
顧客コミュニケーションに活用できる6つのツール
ここまでは、顧客コミュニケーションのメリットについて解説しました。
しかし、「顧客とのコミュニケーションには何を使えばいいの?」と考える方も多いでしょう。ここからは、顧客コミュニケーションに活用できる6つのツールを紹介します。それぞれのメリット・デメリットも解説するので、自社にあったツールを活用してください。
SMS
配信単価が高い(1通約20円〜)
文字数制限がある(670文字)
顧客の電話番号を入手する必要がある
SMSとは、電話番号宛にメッセージを送る機能であり、開封率を高めたい時に有効なツールです。
GmailやYahoo!メールなどの一般的なクラウドメールを利用しているユーザーには、通知をOFFにしていたり、受信メールをあまり見ていない人もしばしば見られます。しかし、SMSは重要な連絡が届くことも多く、開封率が高いのです。
その反面、SMSで配信する情報は相応の重要性が必要です。配信単価が比較的高く、文字数制限があるため長文のメッセージにはやや不向きです。
したがって、SMSは、どうしても伝えたい内容がある時だけに限定して活用するとよいでしょう。
電話
電話で顧客と直接会話することも、顧客コミュニケーションの有効な手段です。文章ではなく顧客のリアルな声を聞けるため、話し方や声色などから、企業に対する印象を感じとれるでしょう。
しかし、企業の電話番号を登録している客は少なく、突然電話するのは不快感を与える可能性があります。電話は顧客の時間を奪ってしまう行為でもあります。
顧客に直接連絡する際は、話したい内容と所要時間を簡潔に伝え、通話時間が長くなりすぎないように注意しましょう。
公式SNS
自社の最新情報を手軽に発信できる
コンテンツ作成に時間がかかる
最新情報をいち早くキャッチしたい顧客は、企業の公式SNSを頻繁にチェックしています。
また、顧客の反応が見えやすいことも、企業が公式SNSを運用する理由として大きいでしょう。投稿へのいいねやコメント、アンケートなどの解答率も高く、顧客ニーズ調査にも活用できるツールです。
公式SNSで質の高いコミュニケーションを確立するには、顧客にとって有益な情報をインパクトのあるクリエイティブとともに発信する必要があります。そのため、魅力的なコンテンツの作成には時間がかかります。
発信するジャンルによって求められる内容も異なるため、企業で公式SNSを運用する場合は、競合を調査してから、ニーズのある発信を効率的に行いましょう。
公式LINE
利用者数が多い
登録へのハードルが低い
顧客と密なコミュニケーションを取れる
ブロックされる可能性がある
公式LINEを使った方法は、事業者にとって定番のコミュニケーションツールになりつつあります。理由は、LINEは利用しているユーザー数が多く、登録のハードルが低いためです。
登録者限定クーポンの配布や自社の最新情報を発信でき、企業に関心のある顧客にとってもメリットのあるコミュニケーション方法といえるでしょう。
ただし、公式LINEは簡単にブロックできることから、解約率(LINEブロック)も高い傾向にあります。発信頻度が多かったり、ユーザーが関心を抱かない発信を続けるとブロックされてしまう可能性もあるため、発信内容には細心の注意が必要です。
メールマガジン(メルマガ)
一斉送信が可能
開封率のデータを取得できる
ステップメールを作成できる
迷惑メールに分類される可能性がある
メールを使わないユーザーには不向き
メールマガジンは、クローズドな情報発信に最適のツールです。運用コストも安く一斉送信も可能なため、多くの企業が導入しています。メールの開封率も確認できるため、ニーズ調査や文章改善にも役立つツールです。
(商品告知→発売日発表→販売)のように段階的にシナリオを組んだ複数のメール送信(=ステップメール)も作成できるため、顧客と信頼関係を築きながら商品を販売できます。
ただし、メールを毎日確認するユーザーは多くなく、すぐに来店してもらったり、サービスに登録してもらったりなどの即効性は期待できません。そのため、週に一回など定期的に配信し、顧客の関心度を徐々に育成していく感覚で取り組むとよいでしょう。
紙を使ったDM
印刷・発送コストが高い
紙を使ったDMは、サンクスレターや地域限定クーポンなどの配布に多く使用されています。DMを受け取ったユーザーは高い確率で内容を確認するため、使い方によってはデジタルコミュニケーションよりも有効です。
印刷や発送にコストはかかりますが、あえてアナログな方法を用いることで、企業の想いが伝わりやすくなることもあります。特に信頼関係を構築している顧客には積極的に活用しましょう。
顧客コミュニケーションで効果を出す5つのコツ
最後に、顧客コミュニケーションで効果を出すポイントをお伝えします。顧客と信頼関係を築くためにも、以下のポイントは理解しておきましょう。
- 顧客にあったコミュニケーションの手法をとる
- 配信頻度に注意する
- 売り込み感を出さない
- 顧客コミュニケーションの必要性を社内共有する
- 顧客の感情を理解する
顧客にあったコミュニケーションの手法をとる
最適なコミュニケーション方法は、顧客によって異なります。
例えば、20〜30代の顧客とコミュニケーションであれば、SNSやLINEなどを頻繁に利用している可能性があります。したがって、デジタル上のコミュニケーションでも効果を期待できるでしょう。
一方で、50代以上の顧客には、デジタルツールに苦手意識をもっている方も多いでしょう。そのようなユーザーにはLINEやメルマガなどのデジタルツールよりも、電話や紙のDMなどの方が喜ばれる可能性があります。
また、顧客によって発信する文面や内容も工夫しましょう。例えば20代に新商品の情報を発信する場合、「モテ」や「〇〇ウケ」といった異性を意識した内容にすることで興味を持ってくれるかもしれません。50代以上の顧客には、「ゆったり」「やさしい」といった安心感を想起させる表現がよいでしょう。
つまり、顧客にとって最適なコミュニケーションは、顧客の属性によって異なるのです。自社の顧客と最適なコミュニケーションをとるためにも、顧客の年齢や住んでいる地域、生活習慣などは必ずリサーチしてください。
配信頻度に注意する
顧客とのコミュニケーションは重要ですが、連絡・配信の頻度が多すぎると、相手に不快感を与えます。
公式LINEやメールマガジンの配信が多すぎると、嫌悪感を感じるユーザーは少なくありません。このようなストレスを顧客に与えてしまうと、登録解除されてしまい、顧客コミュニケーション自体が取れなくなってしまいます。
顧客と良好な関係を作るためにも、配信する日程や週ごとの配信上限数を決めるなど、顧客にストレスを与えないペースで配信しましょう。
売り込み感を出さない
顧客コミュニケーションにおいて、売り込み感を出さないことは重要です。なぜなら、「商品を売り込まれている」と感じた顧客は不信感を抱き、情報を正しく受け取ってくれなくなる可能性があるためです。
顧客が企業とコミュニケーションをとる理由の多くは、自分にとって有益な情報が欲しいからです。
企業にとってメリットのある内容ばかり発信していると、顧客との信頼関係は構築できません。配信する内容には、顧客が求める内容を重点的に記載してください。
顧客コミュニケーションの必要性を社内共有する
顧客コミュニケーションの重要性を理解していない社員は意外にも多いです。
顧客への対応を疎かにした場合、クレームが入ったり、顧客からの信頼を失う可能性があります。
顧客コミュニケーションにおいて、現場での顧客対応は満足度を大きく左右します。各スタッフの対応水準を一定以上に引き上げるためには、社内研修の実施や顧客満足度の高いスタッフをヒアリングするなど、社内のノウハウを横展開することも重要です。
顧客の感情を理解する
適切なコミュニケーションをとるためには、顧客の感情を理解することが重要です。というのも、顧客一人ひとりの考えは異なります。
例えば、商品やサービスを長く利用している顧客と、新たに利用し始めた顧客とでは、企業に対する愛着度やイメージが違います。
感情を理解し、顧客が求める情報を提供することで、相手から信頼を得られます。 段階によって顧客の感情は異なるため、そのフェーズにあったコミュニケーション方法を活用しましょう。
まとめ:顧客コミュニケーションを最適化するには、顧客理解が大切
本コラムでは、顧客コミュニケーションのメリットや活用ツール、効果を出すポイントなどについて解説しました。
顧客と適切なコミュニケーションをとるためには、顧客理解がなにより大切です。性別や年齢、住んでいる地域などをリサーチして、顧客にとってストレスにならない方法を活用しましょう。
またA8.netでは、顧客理解をするうえで欠かせない「カスタマージャーニー」に関するお役立ち資料を無料でご提供しています。ご興味のある方は、ぜひ下記のリンクからダウンロードしてください。