新商品や新サービスの発売にあたって、活用したいのがプレスリリースです。プレスリリースは、従来より企業の広報部が担当してきました。
しかし、WEBマーケティングが主流になったことで、近年は広報担当者がいない企業も多く、広報施策についてよくわからないという声も少なくありません。
今回は「プレスリリースを打ちたいけれど、何からすべきかわからない」「どんな風に書けばいいのかわからない」という方々に向けて、プレスリリースの基礎知識や書き方、多くの人に届けるコツをお伝えします。
プレスリリースの基本
プレスリリースとは
プレスリリースの"プレス"というのは、メディアや記者のことを指しています。
現在のようにインターネットが普及する以前、企業がお客さまに情報を届ける方法は限られていました。主な情報発信の場は、新聞・ラジオ・テレビなどのマスメディアでした。新しい商品を売り出す際などにマスメディアの力を借りることで、より多くのお客さまに情報を届けることが企業の売上や成長に不可欠だったのです。
そこで、マスメディアに対して、自社の新商品や新たな試みについて案内を送っていました。それがプレスリリースです。マスメディアはその情報をもとに、独自の記事や番組の中で商品やサービスを紹介します。
近年のプレスリリース
プレスリリースの送付方法はメールが主流になりましたが、もともとはFAXで送信していました。老舗の大手マスメディアの中には、今もFAXのみで受け付けているところが少なからずあります。
送付先は各メディアのWEBサイトから確認することができます。送付先が記載されていない場合は問い合わせましょう。メディアリストをまとめた書籍が発売されているので、購入するのもおすすめです。
2016年ごろからは、プレスリリース配信サービスの利用も活発になりました。詳しくは本コラム内の「さらにプレスリリースの効果を上げるために」でご紹介します。
そもそもはマスメディアに届けるものであったプレスリリースですが、インターネットの台頭に伴いWEBメディアにも届けるようになりました。また、インフルエンサーが高い発信力を持つ近年においては、個人ブロガー宛にプレスリリースを送付することも珍しくありません。
従来プレスリリースはメディアが参照する情報でしたが、今ではプレスリリース配信サービスのWEBメディアなどを通して一般の人々もプレスリリースの原文を読む機会が増えています。
プレスリリースを出す目的とメリット
メディアやインフルエンサーの影響による認知・売上アップ
プレスリリースを出す最大のメリットは、メディアに取り上げてもらうことで認知が広がることです。
近年はメディアの多様化によって、企業が自社HPで情報発信をしても届くユーザーは限定的になりがちです。自社のSNSなどで情報発信をしても、フォロワーが少ないうちはあまり効果を得ることができません。
そこで、ファンが多い情報発信系WEBメディアやインフルエンサーに紹介してもらうためにプレスリリースが有効なのです。
また、インターネットでの情報収集が主流な昨今においても、やはりマスメディアへのプレスリリース送付は重要と言えます。特に、テレビからの情報収集が中心である年配の方々、新聞を欠かさず読んでいるビジネスマン、ラジオ好きな学生など、ターゲットによっては大きな影響を及ぼすことができるためです。
自社の顧客層がマスメディア利用者層ではない場合であっても、マスメディアでの露出は有効です。例えばテレビ番組で取り上げられたことをSNSでお知らせすることで、信頼をアップすることに繋がるのです。
一次情報として、信頼性が高い情報と認識される
プレスリリースは基本的に、自社の担当者が自社の情報について書くものです。近年はプレスリリースの執筆代行が増えていますが、あくまでもライティングスキルの代行であり、必ず社内の担当者によるチェックは入るでしょう。つまり、人づての噂話ではなく、正真正銘、企業からの一次情報として発信されるものです。
メディアは誤情報を流すことを避けるため、一次情報を重視します。インフルエンサーも一般の人々も情報リテラシーが年々高くなっているため、一次情報には大きな価値があります。
逆に言えば自社から正式な情報を出していなければ、いくら本当の情報であっても真偽を確かめることができず、素晴らしい商品であってもメディアで取り扱うことができないということもあります。特にSNSでの情報発信のみの場合、SNSの投稿は流れていってしまい、メディア側が過去の投稿を遡って確認するのに手間がかかるため、取り上げられずに終わってしまうことも少なくありません。
プレスリリースの決まり
プレスリリースには決まりがあります。慣習として定着している暗黙の了解も数多くあるため、しっかりリサーチしてから送付するのがおすすめです。
中でも、最も重要なのが"新規性"と"宣伝・広告NG"というルールです。
重要なルール1:新規性
まずは新規性についてお伝えします。プレスリリースは、新しい情報をお届けするものです。すでに公開している内容については送付できません。1年前に発売した商品を話題にすることはできないのです。
また、発売してすぐであっても、すでにプレスリリースとして送付しているものをもう1度プレスリリースすることはご法度とされています。これを知らなければ、取り上げられるまで何度も同じプレスリリースを送付することになってしまいかねません。
ルールを破っても罰則があるわけではありませんが、プレスリリースを受け取る側にとっては迷惑行為と判断され、メールを受信しないように設定されてしまったり、メディアからの苦情に繋がることもあります。
重要なルール2:宣伝・広告NG
次に"宣伝・広告NG"についてお伝えします。こちらも必ず知っておいてほしいルールです。プレスリリースは、従来より"ファクト(=事実)"を伝えるためのものであるとされています。キャッチフレーズや主観的な使用感などを含む宣伝であったり、記事掲載枠や番組枠を買い取る広告はプレスリリースの目的として不適切です。過度に売り込むような内容を書くことはタブーとされています。
プレスリリースを受け取ったメディア側から、広告掲載の案内が来ることはありますが、あくまでもプレスリリースを送る側は、
宣伝や広告の場ではないことを踏まえてプレスリリースのルールに則って作成しましょう。
気をつけるべきこと
公序良俗に反する内容などはいうまでもなく厳禁ですが、次のような内容もプレスリリースにしてはいけないとされています。
- 誇大表現
- 採用情報
- メディア掲載情報
- コラム
プレスリリースはあくまでも新商品や新サービスの"ファクト"をベースとしています。人材募集やメディア掲載情報などの自社のニュースは送付しないよう注意しましょう。また、コラムやインタビュー記事のようなものもプレスリリースには分類できず、プレスリリースとして送付するのは不適切です。
さらに、業種業態によっては特に厳しい基準をクリアしなければならず、以下の業種については配信サービスの利用ができないケースもあります。
配信サービスを使わず、メディアに直接送付したとしてもエビデンスや科学的根拠が薄いものは採用されないことが多いので、必ず研究結果やデータなどを記載しましょう。
- 医療や健康関連
- 美容、エステ、整体
- 結婚やお見合いの斡旋
- 古物商、リサイクル関連
- 投資、仮想通貨関連
- 探偵事務所、興信所 など
配信サービスを使わず、メディアに直接送付したとしてもエビデンスや科学的根拠が薄いものは採用されないことが多いので、必ず研究結果やデータなどを記載しましょう。
プレスリリースの書き方
プレスリリースの型
プレスリリースには型があります。例えば、文量です。
もともとFAXで送付していたため、情報が多すぎるとメディア側のFAX用紙を無駄遣いしてしまうことになります。そのため、A4サイズ1枚分くらいに収まる文量にするのが常識でした。メール送付が一般化してからも同程度の文量が推奨されています。
大まかな構成としては以下のようなものが推奨されます。
- タイトル、サブタイトル
- 日付、送信者
- 写真
- リード文
- 本文
- 企業情報、お問い合わせ先
この内、特に気をつけたいのがリード文です。リード文には型があります。例えば、新商品発売のケースでは次のようなリード文が基本となります。
株式会社〇〇〇(東京都〇〇区、代表取締役:〇〇〇〇)は、××年××月××日(×)新商品「□□□□」を発売します。
さらに、取り上げられやすいリード文として以下のような型も推奨されます。
△△事業を展開する株式会社〇〇〇(東京都〇〇区、代表取締役:〇〇〇〇)は、××年××月××日(×)、△△△△に関する新商品「□□□□」を発売します。
現在、メディアによっては日々500通を超えるプレスリリースが届くと言われています。影響力の強いメディアほど大量のプレスリリースを受け取るため、担当者の目に留まることすら簡単なことではありません。
もちろん、自社の情報を取り上げてもらうためにはタイトル作りが最も重要なのですが、メールを開いた後に読み込んでもらえるかどうかはリード文にかかっています。社名が知られていない場合にはなおさら、事業領域や何に関する新商品なのかを記載することは不可欠です。
写真の添付は必須ではありませんが、添付した方がわかりやすい場合には掲載しましょう。また最後にお問い合わせ先を忘れずに記載しましょう。このとき、代表電話ではなく担当者への直通電話番号を掲載しておく方がよりよいと言われています。
本文構成のポイント
プレスリリースでは、結論や重要なこと、読み手が知りたいと思っていることを早めに伝えることが非常に重要です。
毎日大量の情報を受け取るメディア担当者に配慮し、重要なことが冒頭で伝わるような構成が適切です。隅から隅まで読まなければ内容が把握できないような文章は避け、簡潔に伝えましょう。
インターネットで情報収集をする人々は各記事をじっくり読むのではなく、スクロールして重要な情報を採取する傾向にあります。そのため、起承転結ではなく結論や重要なことを前半部分からしっかり伝えることが大切なのです。
さらにプレスリリースの効果を上げるために
配信サービスを活用する
プレスリリースは、各メディアに直接送付するのが一般的かつ取り上げられやすいとされています。しかし「どのようなメディアがあるのか」「どのメディアなら自社とマッチするか」「宛先はどこか」などをゼロからリサーチするのは難しいでしょう。
配信サービスを使えば、さらに同サービスがリスト化してくれているメディアリストにメール配信を一括送信することができます。それに加えて各配信サービスが運営するWEBメディアに掲載されるため誰でも見られる記事として公開することができます。
また、大手新聞社運営のWEBメディアなどへ転載保証を行っている配信サービスもあり、確実により多くの人に情報を届けることができます。
記者や情報発信者と繋がりを作っておく
プレスリリースを送付すれば、必ず自社の商品やサービスが紹介されるということはありません。メディアが求めている情報かどうかが掲載のポイントとなります。
さらに、たとえメディアが求めている類の情報であったとしても、競合が多ければ自社の情報を取り上げてもらえる確率は低くなります。そのため、担当者として挨拶に伺ったり、実際に製品を試してもらう機会をつくるなど、日ごろからのコミュニケーションは重要です。
マスメディアの人たちと接点を持つには、テレビ関係者が登壇する講演会に参加したり、新聞社や出版社主催のセミナーに足を運ぶなどの方法があります。また、近年は広報系の勉強会やオンラインイベントも増えているのでリサーチしてみるのもよいでしょう。WEBメディアの人たちと接点を持つには、WEBマーケティングやSEO系のイベントに参加するのがおすすめです。
口コミを重視する
個々の情報リテラシーの重要性が問われる昨今、ブロガーやインフルエンサーといった個人のWEBメディアの中にも、一次情報を重視してプレスリリースを探す人が増えています。
そのため、個人ブロガーやインフルエンサーへのプレスリリース送付もおすすめです。
アフィリエイト広告を活用することで一層ブロガーやインフルエンサーに取り上げられやすくなります。アフィリエイト広告の仕組みを使えば、購入に繋がった場合に成果報酬が入るためです。
マスメディアやWEBメディアで紹介されることはもちろん重要ですが、とくに個人向け商材の購買においては口コミの方が重視されやすいと言えます。個人ブロガーやインフルエンサーに取り上げられることで、口コミが増えることとなり、多くの人との信頼構築に繋がります。
まとめ
プレスリリースはとにかく送付するよりも、なるべくルールをリサーチして守り、適切な内容や方法で実施することが大切です。また、より多くの人に届くように配信サービスの活用や口コミマーケティングを取り入れるなど工夫しましょう。
口コミによる第三者訴求の効果については、詳しいお役立ち資料をご用意しています。こちらもぜひご覧ください。