企業のマーケティングに携わるみなさまの中には、次のようなお悩みを持つ方々が多いのではないでしょうか。
「なかなかサービスの認知度が上がらず、困っている」
「WEBサイトのPV数が伸びない」
「メールマガジンやソーシャルメディアの成果があまり出ていない」
今回は、これらを改善・解決に導くコンテンツマーケティングの特徴や手法を、特にBtoB(Business to Business=個人ではなく企業向けの商材やサービス)を扱う方々向けにご紹介します。
もちろん、BtoC(Business to Consumer/Customer)に活かせるポイントもたくさんあります。ぜひご一読ください。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとコンテンツ
コンテンツマーケティングとは、コンテンツ(=情報)を活用したマーケティング施策のことを言います。
コンテンツマーケティングにおける"コンテンツ"が指すのは、以下のようなものです。
- WEB上の1記事ずつ
- ソーシャルメディアの投稿1つひとつ
- 動画1本ずつ
- メールマガジンの1本ずつ
- ホワイトペーパー(資料)1つひとつ など
これらの質を高め、それぞれを組み合わせ、相乗効果を図りながらマーケティングを行うのが、コンテンツマーケティングなのです。
コンテンツマーケティング変遷
ここでは、コンテンツマーケティングの本質と、考え方の基本をご理解いただくために、少し歴史にも触れさせてください。
2010年代の中ごろまでは日本のマーケティング界において、WEB上の1記事ずつのみをコンテンツと呼んでいました。
その後2010年から2016年ごろにかけて、新たなWEBマーケティング手法として、企業が会社概要などを掲載する公式サイトつまりコーポレートサイトとは別に、さまざまな記事を公開するWEBメディアを立ち上げる企業が急増していきます。
さらにスマートフォンの急速な普及も相まって、人々がWEBに触れる時間が一気に増えました。検索者は通常、企業情報ではなく、自分が興味関心のある商品やサービスを探します。そのため商品やサービス以上に、自分たちにとって"役に立つ情報"や"隙間時間に読める記事"のニーズが高まりました。
そこで、さまざまな記事を公開するWEBメディアが重視され始めたのです。
さらにたくさん読んでもらうために、SEO(検索エンジン最適化)が注目を浴びました。検索結果で上位に表示されるために、あらゆる工夫や記事の質を高める動きがなされていきます。
検索エンジンに評価されるかどうかは、記事の"内容(=content)"がキーを握っています。このようなことから、徐々に記事の1本ずつを"コンテンツ"と呼ぶようになりました。
現在では、ソーシャルメディアの投稿1つひとつ、動画1本ずつなどもコンテンツと呼びます。時代とともにオフライン施策をも含むようになり、セミナー(の1回ずつの内容)やホワイトペーパー(資料の1つひとつ)などもコンテンツと捉えられています。
BtoBでコンテンツマーケティングが重要な理由
まずはBtoBにおいて、今、コンテンツマーケティングが重要である理由について考えてみましょう。
認知向上に欠かせないため
WEBメディアやソーシャルメディアを運用する企業はあまりにも多くなりました。そのため、業種によっては、コンテンツマーケティングを始めなければ競合他社の認知度に追いつけないというケースも少なくありません。
特にBtoB商材は、コンビニや雑貨屋に並んでいるものではないため、BtoC商材と比べて単純接触機会が少ないと言えます。だからこそ、まず認知を向上するためにコンテンツマーケティングが欠かせないのです。
BtoC以上に事前の信頼構築が重要であるため
BtoBにおいては、BtoC以上に事前の信頼構築が重要です。
BtoCであれば、個人の消費者が興味関心を持つことですぐに購買に繋がります。もちろん、高価な買い物の場合は検討期間や周囲の同意を要することもありますが、基本的には個人の趣向によって購買が決まります。
一方BtoBでは、導入までに多くのステークホルダーの了承を要します。社内会議や稟議であらゆる人々の合意を得るためには、多角的に情報を公開し、信頼される必要があります。
コンテンツマーケティングの情報量を増やすことは、認知向上のみならず、BtoBの契約段階にも大きく寄与するのです。
商談を受ける前に情報収集をする企業が増えたため
近年リモートワークが一気に普及し、オンラインで完結する仕事が急増しました。
対面の会議も再開されつつあるとはいえ、導入前の商品やサービスについて検討するために実際に何度も他社の担当者と顔を合わせるという企業は、以前と比べて随分少なくなっています。
また、商談を受ける前にWEB上で情報収集をする企業も増えており、Google調べによるとBtoBにおいては57%の担当がオンラインでの情報収集により、営業担当者に会う前に購買や導入を決めているというデータもあります。(※)
だからこそ、多様な切り口からさまざまな情報をコンテンツとして準備・公開しておくことが大切なのです。
(※)出典元:Think with google 「The Digital Evolution in B2B Marketing」(参照 2023-03-20)
コンテンツマーケティングの具体的な手法
SEO
SEOはコンテンツマーケティングの根幹と言えます。
SEOとは、「Search Engine Optimization」の頭文字をとった略語です。日本語では、「検索エンジン最適化」と訳され、検索エンジンと呼ばれるGoogleやYahooなどを利用して検索した際、検索エンジンがページを検出・理解できるようにし、ユーザーが訪問しやすいようにするための対策のことを「SEO対策」と呼びます。
SEOに有効な方法として、ディレクトリ構造やタグの設定など裏側(読者から見えない部分)の設計があげられます。また、記事内にリンクを増やしたり、同じキーワードをたくさん盛り込むなどのテクニック論も展開されてきました。
そういった裏側の設計やテクニックについて、Googleは具体的な評価基準を示していません。むしろテクニック論を歓迎しない姿勢を貫いています。
しかし、"質の高いコンテンツをつくってください。それを評価します"という趣旨は、幾度となく発表されています。Googleが公開する"質の高いコンテンツ"の基準はとても抽象的なので、SEOのプロフェッショナルは日々研究を重ねています。
GoogleのSEOに関する方針を見てみましょう。Googleは以下のようなページを評価します。(一部抜粋)
- 独自の情報、レポート、研究または分析の結果を提示している
- 自明の事柄だけでなく、洞察に富んだ分析内容や興味深い情報が含まれている
- メインの見出しやページタイトルがコンテンツを誇張していない
- 自分でもブックマークしたり、友人にすすめたいと思えるページである
- トピックに関して十分な知識を持つことが明白な専門家や愛好家が書いている
- 読んだユーザーが有益な時間を過ごせる
出典元:Google公式サイト「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」(参照 2023-03-20)
WEBメディアの運用
SEOには、WEBメディアの運用が最も有効です。時折YouTubeの動画が表示されることもありますが、基本的にGoogle検索結果の多くは記事コンテンツです。また、ソーシャルメディアの投稿はほとんど検索結果に出てきません。そのため、WEBメディアの運用は必須であると言えます。
ここでのWEBメディアとは、企業が会社概要などを掲載する公式サイトつまりコーポレートサイトとは別に、さまざまな記事を公開するサイトを指します。ユーザーにとって有用な記事(=コンテンツ)を作成することが大切です。
例えば、以下のような記事が支持されます。
- 顧客層が困っているであろう問題を解決するような内容
- 顧客となりそうな企業の売上や社内環境が向上するような内容
- 新たな発見が企業をよりよくするような内容
商品・サービスの紹介ばかりでなく、さまざまな切り口でユーザーをサポートをするコンテンツを作成することが成功のポイントです。
プレスリリースの活用
自社でWEBメディアを作っても、SEOで結果を出すには時間がかかります。Googleは、信頼性の高いページを上位表示するため、運営されている年月が長く、記事本数が多く、PV数が高いページが評価されやすいという傾向があるからです。
そのため、WEBメディアを始めたばかりの頃はなかなか検索結果1ページ目に表示されません。そこで、WEBメディアの評価があがるまではSEOとしてプレスリリース配信サービスの活用が有効な一手です。
プレスリリースをWEB上で公開できるプレスリリース配信サービスは、一定の審査をクリアした企業が利用でき、大手企業を始め、広く国民から信用される企業が多数利用しています。そのため、プレスリリース配信サービスで公開されているプレスリリース記事を、Googleは高く評価する傾向があるのです。
ただし、プレスリリース配信サービスは自社のWEBメディアではないため、サービスが終了されれば記事がなくなってしまうリスクが伴います。また、近年さまざまなサービスが登場し多様化しているため、サービス選びは慎重に行いましょう。
アフィリエイト活用
プレスリリース同様、コンテンツマーケティングの初期から利用したいのがアフィリエイト広告です。アフィリエイト広告は成果報酬型広告とも呼ばれます。記事内で、商品・サービスの購入やホワイトペーパー(資料)のダウンロードを促すことができ、購入やダウンロードが行われた際にのみ、紹介者に報酬が支払われる仕組みです。
特にWEBメディア運営をはじめた最初の段階でPV数も多くない時期には、すでにSEOに強い他メディアで自社製品を紹介してもらい、アフィリエイト広告での商品購入やホワイトペーパーのダウンロードなどを促しましょう。
もちろん、自社メディアのユーザーが増えた後も、アフィリエイト広告を活用して他メディアからの流入を促し続けることは重要です。初期段階でなくとも、さらに接触機会を増やしたり、自社メディアの力だけでは出会えなかった顧客層に出会うきっかけになります。
アフィリエイト広告について詳しくご紹介した記事も公開していますので、ぜひご覧ください。
メールマガジン
メールマガジン(メルマガ)も、コンテンツマーケティングに有効な手法です。メルマガ活用は20年以上もの歴史を持つため、幾度となくマーケティング手法として改善を重ねられてきました。成功法について多くの知見がWEB上に蓄積されているため、始めやすい施策と言えます。
しかし、WEBメディアと違って、作成すれば誰もが読めるという開かれたものではありません。読者登録が不可欠です。そのため、メルマガ登録を促すためのマーケティングも必要となり、多くの人に届けるには時間がかかります。
それでも、記事を読むだけでなく登録というアクションがなされている点で、興味関心がより高く、顧客化する可能性も高いと言えます。記事として広く公開している情報よりも踏み込んだコミュニケーションや深い情報を届けることが大切です。
ソーシャルメディア
Instagram・X(旧Twitter)・TikTokなどのSNSメディアも、今やコンテンツマーケティングの中核を担っています。
SEOはプル型の施策、ソーシャルメディアはプッシュ型の施策であると言われ、これらを組み合わせて活用するのはコンテンツマーケティングの基本です。プル型の由来はユーザーが自ら検索しにいく(=情報を引き出す)ことにあり、プッシュ型の由来はユーザーが検索せずとも情報が入ってくる(=情報が押し出されてくる)ことにあります。
SEOとして作った記事をソーシャルメディアのタイムラインに流すことで、プル型の施策がプッシュ型に変わり、相乗効果を生み出せます。
一方でソーシャルメディアの投稿はすぐに流れてしまい、古い情報を探し出すのは困難です。そのため、ソーシャルメディアで公開した情報を、より詳しい内容でWEBメディアにも掲載するといった連携も有効です。
動画プラットフォーム
YouTubeやTikTokなど動画プラットフォームを活用する企業も増えました。ライブ配信を行う企業も少なくありません。
YouTuberや芸能人をフォローする層も根強いですが、YouTubeには多くのアカデミックな情報や企業情報もアップされています。テレビを視聴する人々が減り、多くのニュース番組がYouTubeチャンネルを持つようになりました。テレビ局はもちろん新聞社や政府の省庁までもがYouTubeチャンネルを持つ時代です。BtoB商材やサービスを扱う企業も多数参画しています。
YouTube動画はソーシャルメディアとの相性がよく、SEOとしても有用で、WEBメディアにも埋め込むことができ、とても利便性の高いコンテンツと言えるでしょう。
ホワイトペーパー(資料)
ホワイトペーパーつまり資料を準備することも、大切です。紙の資料があればPDFなどWEB上でダウンロードできる形にしましょう。もちろん、WEB用に新たに作り直すことも重要です。
WEBメディアの記事と違って、ホワイトペーパーであれば、自由なレイアウトで図表やカラーを多く使用することができます。WEBページでは表現できない、より視覚的にわかりやすいものを作成するのがポイントです。
コンテンツマーケティングのメリット・デメリット
メリット
長期目線で資産となる
WEBメディアを作ったり、ソーシャルメディアを始めたり、動画を公開しても、最初から多くの人に見てもらえるわけではないかもしれません。それでも、続けることでWEB上にコンテンツが増え、それらは資産となります。
特にGoogleはユーザーファーストを追求しているため、ユーザーが検索したワードに応える、もっとも有用なページを上位表示します。数年前に公開された記事でも、ユーザーが本当に求める情報であれば上位表示するものです。時間が経ち、自社の情報がWEB上に増えるほど、Googleから評価され上位表示されやすくなります。すると、多くの人が情報に触れるようになり、認知や購買の増加に繋がります。
オフライン施策についても、セミナー内容を動画化したり、ホワイトペーパーの一部をWEBメディアの記事として活用するなど、さまざまな活用法があります。コンテンツという資産は、組み合わせることでどんどん増やすことができるのです。
手法同士のシナジー効果が高い
すでにご紹介したように、WEBメディアとソーシャルメディアを相互活用するなど、手法同士を組み合わせることで大きな相乗効果を生み出します。
BtoBとはいえ、企業のなかにはいるのは"人"です。担当者のなかには、文章を読むことが苦手な人もいれば、動画をほとんど見ないという人もいます。図表やカラーの多い資料であれば読みやすいという人もいれば、ソーシャルメディアを毎時チェックするという人もいます。
「文章でも理解できたが、動画を視聴してより理解が深まった」というケースや「資料では堅苦しくとっつきにくいイメージだったが、ソーシャルメディアの柔らかい文章で信頼感が増した」というケースもあります。
あらゆるタイプの人にきちんと情報を伝えることができるのが、コンテンツマーケティングの意義なのです。
デメリット
時間や工数がかかる
コンテンツマーケティングを成功させるには時間や工数がかかります。
すでに認知度の高い企業ならすぐに結果に結びつけることも可能ですが、多くの企業がほとんど認知のないところから根気強くコンテンツマーケティングを続けて成果を出しています。
コンテンツマーケティングを担う人員の確保が必要なため、社内体制を見直すことも必要かもしれません。
このような負担を軽減するには、外部のプロフェッショナルを頼るのもよいでしょう。さまざまな企業のコンテンツマーケティングを支援している外部パートナーであれば多くのノウハウを持ち、最短で成果に結びつけることができます。社内体制も大きく変更する必要がありません。
良質なコンテンツを作るにはコストがかかる
コンテンツマーケティングでは、ただコンテンツを作ればよいというわけではありません。より質の高いコンテンツを作るには、ライターや動画制作者など細分化されたプロフェッショナルの力が必要です。
もちろん、自社内に文章を書くのが得意な社員や動画制作ができる社員がいれば任せるのもよいでしょう。しかし、コンテンツマーケティングにはコンテンツマーケティングに適した文章や動画があります。それらを熟知したライターや動画制作者に委託することで、一層成果に結びつきやすくなります。そういった観点から、質の高いコンテンツを作るにはコストがかかると言えます。
しかし、プロフェッショナルに依頼することできちんと成果が出れば、費用は回収することができます。予算のバランスを考え、費用対効果を想定して、コスト管理をすることが重要です。
コンテンツマーケティングを成功させるには
ここまでご覧いただいたように、コンテンツマーケティング成功のポイントは、手法を組み合わせることです。特にBtoBにおいてSEOは欠かせず、WEBメディアを起点として他の施策を組み合わせるのがよいでしょう。
しっかりターゲット設定をし、どのような施策を組み合わせ、どのような人に向けてどのような内容を届けるべきか、検討や改善を続けることが大切です。また、高い質のコンテンツを作ることが、コンテンツマーケティング最大のポイントと言えます。
A8.netは国内最大級のアフィリエイト広告プラットフォームとして、様々なBtoB企業様のSEOやコンテンツマーケティングのご相談を承っております。
個別でのお見積りなども可能ですので、お悩みや疑問をお持ちの企業様はいつでもご相談ください。