「うちの商品はすごく自信のある商品なのになぜか売れない」
「他社よりも差別化したサービスをリリースしたのにユーザーが増えない」
といった経験をしたことはありませんか?
商品やサービスの販売はトライアンドエラーとはいえ、せっかく時間とコストをかけてやっと生み出した商品が売れないことはできるだけ避けたいものです。
そんなマーケティングにおいて、頻繁に使われる言葉が「商品力」です。
なんとなく「商品としての強み」という意味は分かっていても、どんな要素があるのか知らない方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは「商品力」の基本情報から強化の仕方、商品力を顧客に伝える方法をまとめてご紹介します。
競合他社に追い抜かれないよう、自社商品の商品力を底上げしたい方はぜひご覧ください。
商品力の基本的な考え方
商品力とは
まず商品力について振り返ってみましょう。
Weblio辞典によると、商品力は下記のように定義されています。
- 商品力
- 読み方:しょうひんりょく
「商品そのものの持つ価値・魅力。多く「販売力」や「競争力」などとの対比で用いられる。」
※引用元 :「商品力(しょうひんりょく)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書」 (参照 2023-02-10)
「価値」「魅力」と表現されているように、商品力そのものに明確な定義はなく、顧客がものを購入するための要素の1つです。
そのため商品力を分解するにあたっては、パッケージデザインや原材料といったプロダクト単位に焦点を当てた【ミクロ視点】のものや、商品を購入するメリットや他社製品との違いといった大きな枠で捉える【マクロ視点】の解釈もあり、いずれも商品力の内に含まれます。
今回のコラムでは、マクロ視点を中心にご紹介します。
商品力がないと起きること
商品力のない商品は、企業にとってどのようなデメリットがあるのでしょうか。
- 商品力がない場合に起こりうる事象
- そもそも顧客の購入検討の選択肢に上がらない
- 商品が購入しにくく、他社商品に流れてしまう
- 商品の良さが伝わらず、リピーターに繋がらない
- 顧客の「ファン化」が進まず、口コミが広がらない
このように商品力がないままに販売を進めることは非常に難しく、その状態が長く続くほど企業側の赤字が拡大するだけ、ということにもなりかねません。商品力の強化はできるだけ早めに着手しましょう。
商品価値の4要素
ではその商品力はどのように構成されているのでしょうか。
慶應義塾大学名誉教授の和田充夫氏によると、商品における価値は「基本価値」「便宜価値」「感覚価値」「観念価値」の4つの要素に分けられると提唱されています。
基本価値を始めとして、逆ピラミッドの上部ほど顧客にとっての重要度が高くなります。
基本価値
基本価値とは、「その商品に最低限備わっていなければならない価値」を指します。携帯電話であれば電話ができること、テレビであれば映像が映ることなどが該当します。
基本価値はまずその商品が属するカテゴリーとしての機能を有していることが前提のため、基本価値がなければ別商品として認識されてしまう可能性もあります。
便宜価値
便宜価値とは、「その商品を便利、あるいは簡単に購入・使用できる価値」を指します。具体的には便宜価値は「製品入手容易度」と「製品使用容易度」の2つで構成されています。
- 製品入手容易度
- 商品として買いやすい値段、お手頃感のある値段
- 製品使用容易度
- 商品の小型化、コードレス化など
企業の商品開発では、この便宜価値において他社との差別化を計るケースが多くあります。しかしその一方で、便宜価値での競争が飽和すると差別化するポイントが同一になってしまい、結果的に顧客が違いを見いだせなくなるコモディティ化という現象が起きることもあります。
感覚価値
感覚価値とは、「その商品を購入・使用することで顧客に楽しさを与える価値や、顧客の五感に訴えかける価値」を指します。携帯電話であればシンプルなデザイン性や、テレビであれば臨場感のある音などが該当します。楽しさの他にも美しさ、可愛らしさ、心地よさ、新鮮さなど、顧客に訴えかける様々な感覚に連動します。
現在のスマホブームを牽引したApple社のiPhoneは、発売当時「ガラケー」と呼ばれたボタン式の操作とデザインを刷新し、最小限のボタンとタッチパネルメインの操作を提唱しました。これまでの携帯電話の常識を覆し、感覚価値で一大ブームを起こした好例です。
観念価値
観念価値とは「その商品のブランド理念やブランドが発するストーリー、歴史などにおける価値」を指します。顧客は商品そのものの品質や機能というよりも、その商品の意味やシナリオ性、ノスタルジーなどに共感し、購買に至ります。いわば意味論や解釈論に近い価値と言えます。
例えば先程のApple社でいえば、Appleの製品を持っているだけでどこかミニマルで洗練されたイメージがあり、そういった印象付けを求めて購入するケースも観念価値に該当します。
基本価値と便宜価値は顧客の信頼を構成する価値、感覚価値と観念価値はブランドを構成する価値となり、観念価値・感覚価値に共感した顧客はファンとなりやすく、企業にとっても貴重な存在になります。
商品力を強化する4C分析
中身を理解したところで、実際に自社製品の商品力を強化できるポイントを探してみましょう。前述の4要素も含め、より総合的に商品力を強化するには「4C分析」というフレームワークを使うのがおすすめです。
そもそも「4C分析」って?
4C分析とは、商品やサービスの強み・弱みを理解するための分析方法です。顧客価値(Customer Value)、コスト(Cost)、利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の4つの要素で自社の立ち位置を理解することで顧客に求められているものが明確になります。新商品の開発、既存商品の見直し、競合他社との分析など総合的に活用できます。
4Pとの違い
4Cのフレームワークに似たもので「4P」という言葉のほうが耳馴染みのある方も多いのではないでしょうか。4Cと4Pは類似した意味を持っていますが、観点に違いがあります。
4Pは製品・サービス(Product)、価格(Price)、流通経路(Place)、販売促進(Promotion)の4要素となっています。4Pは企業が顧客に売るための方法であり、いわば「売り手側の観点」で考えられているのに対し、4Cは顧客に選ばれるための「買い手側の観点」で構成されています。
様々な商品やサービスが生まれ市場競争が激化している昨今において、顧客が多くの選択肢の中から自社製品を選んでもらうためには、4Pよりも4Cを中心に商品力を向上していく必要があります。以下に注目して顧客が求める要素を洗い出しましょう。
顧客価値(Customer Value)
顧客価値はその名の通り、顧客がその商品やサービスを利用することで得られるあらゆる価値を指しています。前段で紹介した4つの商品価値を総合したものと考えてよいでしょう。
顧客にとって価値があるかどうかは、言い換えれば顧客が商品やサービスに抱いている期待にどれだけ応えられているか、満足感を与えられているかということになります。そのためには徹底的に顧客のことを知り、解像度を高める必要があります。
- 顧客の解像度を高める
- 顧客がどんなことに課題や不満、コスト、時間をかけているのか
- 上記に対して何を行っているのか
- 今の状況に対して、顧客はどうしていきたいと考えているのか
実際にターゲットとしているユーザーに直接インタビューをしたり、調査会社にWEBアンケートを依頼し統計的な情報を得るなどして、顧客のニーズを抽出しましょう。
コスト(Cost)
コストは顧客が商品やサービスを実際に購入する際の価格を指します。前述した顧客価値に対し、納得感のある金額設定を行うことで購買に繋がりやすくなります。
多くの顧客に選ばれる価格設定にするには、会社の利益を考慮しつつ、顧客がその商品に感じる価値に対して納得感のある価格設定にする必要があります。
価格設定には、商品原価に利益率をかけ合わせる方法や、競合他社の相場感を考慮して設定する方法など様々なケースがあるので、ターゲットとなる顧客や商品の特性、ビジネスモデルなどを総合的に踏まえて判断しましょう。
利便性(Convenience)
利便性は顧客が商品やサービスを購入する方法や購入体験そのものが簡便かどうかを指します。例えばコンビニが駅近だったり、公共料金の支払いができることも利便性の一種です。
企業の商品販売においても、ECサイトの活用や各種キャッシュレス決裁の対応など、オンライン・オフラインいずれも顧客側の負担が少なく購入できる最短工数を設計しましょう。
オンライン上の利便性では、「検索での見つかりやすさ」「WEBサイトの操作性」なども重要です。例えば「Google ビジネスプロフィール」では、マップや検索などのGoogle系列のサービス上に店舗情報などを表示できる機能があります。無料で登録できるため自店舗がある企業などであればぜひ利用してみましょう。
コミュニケーション(Communication)
コミュニケーションとは顧客と企業が接点を持てる場所を指します。
メルマガやオウンドメディアといった(企業→顧客)の発信はもちろん、お問い合わせフォームやカスタマーサービスの設置といった(顧客→企業)の双方のやり取りが行える形が理想です。
最近では、企業がSNSアカウントを作成し、そこからの情報発信を通じて顧客や見込み客とのコミュニケーションを積極的に行うケースも増えています。中にはSNS投稿が拡散されて商品が爆発的に売れたり、マスコミの取材に繋がることもあります。
商品力を顧客に伝える2つの方法
では最後に顧客に商品力を伝えるための方法をフロー型、ストック型の2種類に分けてご紹介します。素晴らしい商品やサービスを作っても、世間に認知されなければ埋もれてしまいます。ぜひ押さえておきましょう。
フロー型(メルマガ・LINE・SNSなど)
フロー型とは、短期的な集客を得意とした情報発信です。
メルマガ、LINE公式アカウント、SNS、プレスリリースなどが該当し、トレンド性の高い情報や、速報性のある情報などを発信することに向いています。
世間の関心をうまくキャッチアップできれば情報が拡散され、短期間で爆発的な集客に繋がる可能性もあります。これまで商品やサービスを知らなかった非認知層にも情報が届くことで新規顧客の獲得にも効果があります。
その一方で、情報の鮮度が落ちてしまうとユーザーが離れてしまうため、定期的に新しい情報を発信し続ける必要があるでしょう。
ストック型(ブログ、まとめサイトなど)
ストック型とは、長期的な集客を得意とした情報発信です。
自社ブログやnoteでの情報発信や動画投稿、まとめサイトへの掲載などが例として挙げられます。不変的なものや長く需要が続く情報発信に向いています。
フロー型とは対照的に1コンテンツの集客性は高くないものの、ストック型はコンテンツが蓄積していくことで安定した集客に繋がります。またコンテンツが増えれば増えるほど情報の網羅性が高まり、集客コンテンツとしての価値が長く継続します。
ストック型はコンテンツの量が重要となるため、ある程度まとまった効果が出るまでには時間がかかります。初めの数ヶ月は効果が出なくても根気よく更新していく必要があります。
2つを組み合わせることで集客につなげる
短期集中のフロー型と長期継続のストック型は、まとめると以下のようなメリット・デメリットが存在します。
- トレンド感のある情報による拡散性
- 短期間での集客効果
- 流行に左右されない安定した集客
- 記事が増えるほど効果大
- 情報鮮度に大きく影響を受ける
- 情報収集のスピードが必要
- すぐには効果が出ない
- 爆発的な集客効果は得にくい
このように、お互いのメリットとデメリットは相反していることがわかります。そのため見込み客となるユーザーにはフロー型とストック型を織り交ぜて情報発信を行うことで、効率的に商品力を伝えることができます。
例えば、SNSからセールや新商品発売の情報発信を行いつつ、商品の詳しい説明は自社ブログで発信するといったように行うことで継続的な顧客獲得に繋がりやすくなります。
とはいえ、「ブログは閲覧数が少ないし、記事作成はリソース的に難しい」といった場合もあるでしょう。その場合はアフィリエイト広告に掲載するという方法もあります。アフィリエイト広告はまとめサイトやSNSなどのメディアに商品の口コミや感想を書いてもらうWEB広告の一種で、自社でコンテンツを作成する工数をメディアが肩代わりしてくれます。
広告費は成果報酬型で費用対効果も高いため、WEB広告の経験がない場合や広告予算が少ない企業は1度アフィリエイト広告会社に相談してみるのもよいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本コラムでは、「商品力」というキーワードに着目し、その内容を分解して解説しました。
商品力と一口に言っても求められる要素は複雑に分岐しているため、予め整理した状態で顧客が求めているもの、自社商品に足りないものを強化していく必要があります。
もし、自社宣伝のみで外部メディアによる紹介や口コミが足りていない場合は、アフィリエイト広告を候補の1つにしてみてください。
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