昨今のコロナ禍によって、私たちの働く環境は大きく変わりつつあります。
このコラムをご覧いただいている方の中にも、テレワーク化・ペーパーレス化の推進など、会社や取引先の方針が変更となったケースなどは少なくないかと思います。
またその一方で、転職や新卒採用などにおける人材市場も今後活況が見込まれています。
実は人材サービスはアフィリエイト広告では非常に需要の高いジャンルです。
このコラムは人材サービスを取り扱うマーケティング担当者向けに、掲載されるメディアの特徴、人材ジャンルでのアフィリエイト広告成功の秘訣を紹介しています。
「人材ジャンルにおけるアフィリエイト広告の運用方法を知りたい」
「アフィリエイト広告では自社の人材サービスはどのように掲載されるのか」
といった点が気になる方はぜひご覧ください。
人材ジャンルとアフィリエイト広告の関係性
アフィリエイト広告とは
アフィリエイト広告とは、WEB広告と言われるプロモーション方法の1種です。
メディア(=媒体、アフィリエイター)が作成したブログや比較サイト、SNSなどに掲載されている広告をクリックしたのち、広告主サイトのサービス・商品に対し申込み・購入といった特定のアクションを行うことで成果が発生します。広告主はその成果に応じてASP経由でメディアに報酬を支払う流れとなっています。
アフィリエイト広告は、「成果報酬型」で「第三者訴求」ができるインターネット広告です。
広告の表示やクリックではなく成果報酬型の課金形態となるため、コストをコントロールした運用が可能です。そのため知名度の高い大手企業のサービスから、リリースして間もない新サービスまで、幅広い広告主にとって導入しやすい広告といえます。
人材ジャンルにおけるアフィリエイト広告
アフィリエイト広告では現在様々な人材サービスが出稿されており、弊社A8.netでも300以上のプログラムが稼働しています(2022年10月時点)。
サービスの種類も多岐にわたっており、例として下記のようなプログラムが展開されています。
- 転職サイト
- 企業の求人が集約し掲載されているWEBサイト
- 新卒就活
- 新卒採用の求職者向けに求人紹介や面接のコツなどをアドバイスする
- エージェント
- 求職者に対し専任のアドバイザーがつき、個人にあった求人を紹介する
- スカウト
- 求職者が情報を登録することで企業側から面接などのオファーが届く
- 案件紹介
- 主にフリーランスの個人などに対し、案件単位で仕事を紹介する
- 人材派遣紹介
- 非正規社員の派遣先求人を紹介する
上記はあくまで一例ですが、エージェントと転職サイトを兼ね備えていたり、スカウト機能を持った新卒就活サイトがあったりと、複合的にサービスを展開している企業も多く存在します。
人材サービスの場合、アフィリエイト広告の成果報酬は下記のように設定されることが多く見られます。
よくあるケース
- 成果地点
- サービスへの会員登録
カウンセリング予約
面談の実施など
- 成果報酬金額
- 会員登録(1,000円前後)
面談実施(5,000円~15,000円前後)など
(2022年10月時点のA8.net掲載プログラム参照)
有力メディアであれば1.5~2倍ほどの特別報酬が適用されるケースもあり
特別報酬 :一部の有力なメディアに対し、通常の成果報酬よりもさらに上乗せした金額を設定すること。「特別単価」「特単」とも呼ばれる。
人材ジャンルがアフィリエイト広告と相性がよい理由
前段で人材ジャンルはアフィリエイト広告で非常に需要が高いとお伝えしましたが、ではなぜそう考えられるのでしょうか。ここではその理由をご紹介します。
掲載面が多い
アフィリエイト広告は第三者であるメディアが記事を作成するため、掲載メディアの母数は広告効果に大きく影響する要素となります。
その点、「仕事」に関するコンテンツはほとんどの人が何かしらの経験を積んでおり、法人の大型メディアから個人メディアまで誰もが書き手になれるジャンルです。そのため取り組むメディアが非常に多く、掲載面が多いことが非常に大きなメリットです。アフィリエイト広告は検索流入からの集客を得意としているので、多数の掲載面を確保できれば情報の網を張ることができるでしょう。
検索ニーズが高い
人材サービスをいち商材として捉えたとき、一般的に就職や転職に関する商材は他商材と比べて頻繁に利用するものではありません。ユーザーは最も自分に合った会社を見つけるために入念に情報収集を行っており、検索ニーズが高いジャンルであるといえます。
メディア側としても経験に基づくリアルな声を届けることは記事を書きやすく、ユーザーが知りたい情報とメディアが届けたい情報が合致しやすい点が挙げられます。
訴求の切り口が豊富
人材サービスは、企業と求職者をマッチングさせるという大元の目的は同じになりますが、エージェントやスカウトなど繋げる方法が分かれていたり、年齢やハイクラス向けなどターゲットが異なるケース、特定の職種に特化しているケースなど様々に枝分かれしています。
そのため各サービス間の差別化が図りやすく、訴求の切り口も多方面から紹介ができます。上記の点はメディアの記事化しやすさに繋がる要素のため、掲載に取り組んでもらいやすくなるでしょう。
人材系ジャンルで主に掲載されるメディア
では具体的にアフィリエイト広告ではどのように人材ジャンルが掲載されているのでしょうか。ここでは主な掲載メディアをまとめています。
大手キュレーションサイト
キュレーションサイトとは特定のテーマに絞った上で、1つのサイトに複数のカテゴリ情報をまとめて整理したサイトです。「まとめサイト」とも呼ばれます。人材ジャンルでは特に転職関連のキュレーションサイトが多く見られます。
人材ジャンルに関する様々なカテゴリを幅広く取り扱っていることが特徴で、「転職サイト◯選」「転職エージェント◯選」といった特徴や職種別、年代別など整理された情報を幅広く手に入れることができます。
また、エージェントの具体的な活用方法や採用後の流れなど、応募から入社までに必要な情報をコラム記事として用意しているケースも見られます。
「転職サイト おすすめ」のような、ビッグキーワードでの上位表示による圧倒的な検索流入数がキュレーションサイトの特徴で、キーワードやサイト内の掲載位置によっては数百件規模の獲得に繋がる可能性も秘めています。法人企業がいち事業としてサイト運営していることも珍しくありません。
記事も非常に見やすく整理されており、実際に転職コンサルタントやエージェントがライターとなって記事を執筆しているメディアも存在します。自社サービスのブランディング向上も期待できるでしょう。独自の厳しい掲載基準を設けているメディアも多いためハードルは高いですが、ぜひ掲載を狙っていきたいメディアです。
新卒就活比較サイト
新卒就活比較サイトは、新卒就活を行う学生向けに情報をまとめている比較サイトです。こちらも大手キュレーションサイトと同様に新卒就活に関する比較情報やランキングなどを広く取り扱っていますが、面接のマナーや服装、エントリーシートの書き方など初歩的な情報も盛り込んでいます。第二新卒に関する情報を扱っているサイトもあります。
メディアの中には、質問に回答することで適正のある職種とおすすめの人材サービスを紹介する診断コンテンツなどを持ったサイトなどもあります。こちらも法人が運営していることが多く、コンテンツの情報量や見やすさから、多くの集客が期待できるでしょう。
キーワードとしては「新卒就活 おすすめ」や「新卒 エージェント」などのビッグキーワード系に加え、「就活 やめたい」「就活 内定ない」などややネガティブな切り口から学生の不安をフォローする記事で集客しているのも特徴的です。
職種特化サイト
職種特化サイトは看護師や医師、エンジニアなど特定の職種にテーマを絞って情報発信しているサイトです。こちらも法人運営が多いですが、個人で運営しているサイトもしばしば見受けられます。
職種特化サイトは情報を届けるターゲットが絞られている分、前述したキュレーションサイトや大手キュレーションサイトよりもさらに細かいテーマでの記事が作成されています。
例えば看護師であれば「大学病院と小規模な病院に転職した場合の違い」や「地方で働く場合の病院の探し方」などになります。エンジニアであれば「客先常駐に向いている人の特徴」、「フリーランスと会社勤めどちらがいいのか」といった記事からも集客しています。
前述したキュレーションサイトなどよりも流入数は劣るものの、より深い視点で比較検討しているユーザーに対して情報を届けられるため比較的CV率が高く、送客の質も安定している傾向にあります。無料カウンセリングや無料会員登録を成果地点としている場合、送客の質は本申込への転換率に影響するため、ぜひ見ておきたいポイントです。
個人ブログ
個人ブログはその名の通り、記事作成しているメディア個人が管理人となり情報発信しているサイトです。TOPページの右側にプロフィールが書いてあるようなサイトをイメージするとよいでしょう。
個人ブログはメディア本人の実体験を元に記事作成するケースが多いため、記事内容に非常に説得力があります。また「ブラック企業からホワイト企業に就職」、「資格なしからの転職」など様々な経歴を持ったメディアがいるので、ユーザーは自分自身と近い立ち位置のメディアの第三者訴求が後押しとなりCVに繋がりやすくなります。
個人ブログは「(職業名) ホワイト」のようなミドルキーワードやスモールキーワードでの集客にSNSを活用して集客しているケースも多くなっています。複数の集客経路を持っているメディアはGoogleのコアアップデートといった外部影響へのリスクヘッジとして機能するため、掲載したいメディアなどがあればASP担当者に相談してみましょう。
リスティングメディア
リスティングメディアはGoogleやYahoo!の検索結果に表示されるリスティング広告に出稿し、自サイトへの集客を行うメディアです。
リスティング広告の広告単価はキーワードによって変動し、競合性の高いキーワードほど入札単価が高くなります。有力なキーワードであれば短期間で数十件以上の獲得になることもあるため、即効性の高い集客力が強みと言えます。
一方で検索流入やSNS流入を主としたメディアと違い、メディアが費用を掛けて集客しているため、長期的な集客はあまり向いていません。そのため、有力なリスティングメディアに対しては広告主が特別報酬を適用したり、発生成果をすぐに承認することで出稿をサポートすることもあります。
一見広告主が直接リスティング広告に出稿したほうが簡潔にも見えますが、リスティング広告のノウハウを熟知したメディアに集客を任せたほうが効率がよいケースもあるため、状況に応じて検討しましょう。
人材アフィリエイト成功の秘訣
最後に人材系サービスにおいてアフィリエイト広告を実施する場合の成功ポイントを5つに分けてご紹介します。
ターゲットユーザーを明確にする
人材系サービスのアフィリエイト広告においては「正社員登用の応募者を集めたい」「関東地域のみの応募者を集めたい」といった求めるユーザー(=求職者)像を定めておき、あらかじめ定義付けしておきましょう。
アフィリエイト広告は成果発生のみではメディアに収益は発生せず、発生成果を広告主が「承認」することで収益となります。アフィリエイト広告のプログラムでは以下のような条件を設定して広告成果となる注文を指定することができます。
- 成果条件
発生成果のうち、成果対象となる条件
例:「正社員登用として登録された方が対象」- 否認条件
発生成果のうち、成果対象外となる条件
例:「パート・アルバイト登用希望の方は成果対象外」成果条件と否認条件どちらもクリアすることで成果承認となる
注文が発生しただけではメディアの収益にはならない!
ベンチマークする企業を絞る
前段でターゲットユーザーを明確にして条件設定を行うことをご紹介しましたが、実際にどのように条件設定を行うかイメージがつきにくい場合は競合他社のプログラムを参考にするのもよいでしょう。
その上で気をつけておきたいのが、「どの企業のプログラムをベンチマークするか」という点です。
メディアは各プログラムの比較をする際、主にサービスの特徴や求人数などを比較して掲載位置を考えていきます。そのため広告主側でも近い領域のサービスがないか探してみることがおすすめです。「エージェントによる紹介」や「女性限定」「〇〇職の求人多数」など自社サービスの強みであるポイントを洗い出し、同様のサービスがないか探しましょう。
ベンチマークする他社プログラムの(成果報酬・成果条件・否認条件)を最低限押さえた上で自社に優位性のある成果報酬を設定することで、メディアに掲載してもらいやすくなります。
例えば、競合他社プログラムの成果報酬が来社を伴う面談であれば、WEB上でのオンライン面談を成果報酬にするだけで差別化でき、メディアからの引き合いも高くなります。後発であることの地の利を存分に活かしましょう。
特別報酬を付与する
人材系はアフィリエイト広告のジャンルの中でも参入企業が多く、メディアの掲載内容の移り変わりが大きいジャンルです。今まで自社サービスを掲載してくれていた有力メディアが他の広告に変更されていることも珍しくありません。
こういった状況を極力避けるためには、有力メディアに対して積極的に特別報酬を適用し、メディアを確保しておく必要があります。
基本的に人材ジャンルでは全国よりもエリア限定、一般転職よりも専門職、第一新卒よりも第二新卒の方が特別報酬は高くなる傾向にあります。これは「ターゲットがより絞られる程メディアへ提供する条件が高騰しやすい」ためです。
例えば、下記のように同じく新卒を主なターゲットとしているプログラムA・Bがあるとします。
- プログラムA
-
成果報酬:転職面談5,000円
成果条件:全国エリア対象
→ターゲット【多】 - プログラムB
-
成果報酬:転職面談5,000円
成果条件:関東エリアのみ対象
→ターゲット【少】
どちらも成果報酬は転職面談5,000円、しかしAは全国エリア対象・Bは関東のみの場合、メディアとしてはAを優先した方がマネタイズしやすいので、Bは掲載を後回しにされがちです。その際に単価を上げることでメディアに優先的に紹介してもらいやすい状況を作ることが求められます。
ASPの広告主管理画面では、各メディアごとのクリック数やCV数といった掲載状況を確認できます。獲得数の多いメディアや送客の質の高いメディアには特別報酬をフックに掲載強化の交渉を行いましょう。特別報酬と掲載強化交渉をセットで提案することで、獲得数の向上が期待できます。
掲載強化の他にも、ASP経由であれば自社サービスが未掲載のメディアに新規掲載交渉を行うことも可能です。交渉自体はASPの担当者が実施するので、掲載したいメディアと特別報酬金額をASP側に共有して掲載面を拡大していきましょう。
被リンクを与える
有力メディアに対しての施策として特別報酬と合わせて押さえておきたいのが被リンク施策です。
被リンクとは広告主側のサービスサイトやオウンドメディアなどに、メディアサイトへ遷移するリンクを掲載することです。「(WEBサイト名)で紹介されました!」といった文言でテキストリンクが設置されているのをみなさんも見たことがあるのではないでしょうか。
被リンクはGoogleからのSEO評価にも繋がる要素のため、メディアの中でも非常に重要視されており、特別報酬よりも被リンク付与を希望条件に掲載交渉を受けるメディアも少なくありません。それとは逆に、広告主がメディアに強化施策を依頼する際、特別報酬のみでは交渉が進まない場合に被リンクも条件に追加するというケースもあります。重要なのは、メディアが何を求めているかを見極めることです。
実際にどの程度の影響があるかは不明ですが、被リンクは広告主側のサービスサイトのSEO影響も考えられるため、有力メディアに対して実施する施策の1つとして検討しておくのがよいでしょう。
プログラム稼働は余裕を持って
アフィリエイト広告は、新入社員の入社や人事異動の時期が多くなる1~3月や10月前後に人材ジャンルの獲得数が伸びていく傾向があります。
メディアは需要期に合わせて新規記事作成やランキングの見直しなどの仕込みを行っているため、需要期に入る2、3ヶ月前にはプログラムを稼働できるように準備しておくことがおすすめです。
例えば弊社A8.netにご出稿いただく場合、お申込み書を頂いてからプログラム稼働までは最短で2週間程度、概ね1ヶ月前後となるケースが多く見られます。年始の需要期であれば10月頃、秋の需要期であれば7、8月頃には稼働開始できるように準備を進めておくとスムーズに需要期を迎えることができます。
もちろん準備期間があるほど多くの掲載メディアを確保できる可能性があるため、プログラム稼働は余裕をもってASPに相談しておくことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本コラムでは、「人材」のジャンルにスポットライトを当てて、アフィリエイト広告の運用方法を紹介させていただきました。
A8.netでは転職サイト様や人材紹介会社様にご登録いただいており、運用事例も含めたご紹介や、個別でのご相談も受け付けております。
まだ導入に迷っている、という方もぜひお気軽に資料請求ください