2020年「コロナ禍」「外出自粛」「三密」という言葉が世間に溢れ、私たちの生活様式は大きく変化しました。
そしてスマートフォンが普及してからの約10年間で目まぐるしく変化してきた消費者の行動も、さらに変化し、幅広い年代でのECシフトの加速が見られます。
こうした状況の中、一層インターネットを活かした集客(マーケティング施策)に注目が集まっています。
「インターネットを活かした集客をしたことがない」
「どんな施策に予算を投下すればいいか分からない」
そんな方に、インターネット広告と予算投資についてご紹介します。
適切な予算投資が難しいのは、新規顧客獲得のハードルが上がっているから
事業の継続的な成長・拡大のために、新規顧客の獲得は避けては通れません。
一方で、数年前まで獲得できていたのに、最近は獲得数が減ってしまった。新規獲得のために予算を増やしたのに、いまいち効果に表れていないと感じたことのある方もいるのではないでしょうか。
その理由は、この10年ほどで、新規顧客獲得のハードルが上がっているからです。そしてその背景には、スマートフォンの普及により、私たちを含む消費者の取り巻く環境が変化し、それが消費者の行動に大きな影響を与えていることが挙げられます。
私たちはいつでもどこにいてもインターネットにアクセスでき、自分の欲しい情報だけを知ることができます。SNS、ウェブサイト、アプリ、テレビなどのマスメディア、時にはリアル店舗など、消費者が購入に至るまでのプロセスが多様化し、複雑化したことで、企業は消費者と接点を持つことが難しくなり、以前よりも新規獲得が困難になりました。
消費者行動が多様化したことにより、企業の新規獲得にもたらした変化は大きく3つ挙げられます。
- 従来の広告媒体とのミスマッチ
- ブランディングが困難
- 継続的な顧客コミュニケーションが必要に
新規顧客獲得にもたらした変化
- 従来の広告媒体とのミスマッチ
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これまでテレビやラジオの視聴時間やユーザー層の傾向を把握し、時間帯や地域などに応じて大々的に広告を打っていました。
※電通 2020年日本の広告費より
しかし消費者がテレビやラジオ、雑誌などに充てていた時間を、スマートフォンが徐々に奪っています。内閣府の調査では、スマホの1日の平均使用時間が4時間という結果が出ており、20代を中心に、最近ではテレビを持っていないという人も珍しくありません。
そもそもテレビやラジオを視聴しない、視聴していてもスマホを触りながらという生活が当たり前となり、従来のマスメディアを通したプロモーションは消費者に届きにくくなっています。
実際に、2020年におけるマスメディアの広告費用は前年日86.4%(※)と減少しています。 - ブランディングが困難
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これまでの集客方法は、マスメディアや広告を通して企業側から一方通行で発信されるモノでした。その為、企業側が発信する情報やブランドに対する印象をコントロールしやすいという特徴がありました。
一方で現在では、口コミサイトやSNSを使って誰でも簡単に情報を発信することができ、第三者の投稿に対してリアクションやコメントを他の消費者が行うといった、双方向的なやり取りが行われています。
それによって企業が発信する良い面だけでなく、消費者視点のリアルな意見やマイナス面の情報も知ることができるようになり、企業都合のメッセージが受け取られにくくなっています。 - 継続的な顧客コミュニケーションが必要に
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スマートフォンの普及により、消費者の購買プロセスが多様化・複雑化したことで、一つの広告媒体やプロモーションでのアプローチは限定的なものになってしまいます。
企業は消費者の行動を細かく把握し、認知から購入に至るまでのプロセスの中で、いかに多くの接点を持ち、継続できるかが重要になっています。
こうした状況の中、多くの企業が予算を投資しているのがインターネット広告です。
企業の広告担当も選ぶ「インターネット広告」
株式会社サイカが企業の広告担当者213人に、投資を強化していきたい広告の種類を聞いたところ、8割が「インターネット広告」を選択しました。
※新型コロナウイルス感染拡大の収束後も消費者の生活様式の変化が残ると回答した広告宣伝担当者のうち、消費者の生活様式の変化に合わせて今後の広告出稿戦略を見直すと思うと回答した広告宣伝担当者に聞いたカテゴリ。
費用対効果が高い
マス広告の場合、広告の出稿に対して高い費用がかかります。インターネット広告の場合、広告の表示回数やクリックに対して広告費が発生することが一般的です。
消費者の広告に対するアクションに対して広告費を支払うことができ、費用対効果が高いことが特徴です。
効果計測が可能
テレビCMや新聞、電車広告などは、掲載した広告が何人の消費者の目に留まり、その広告をきっかけに何人が購入したのかを把握することはできません。
一方でインターネット広告は、これらの効果を計測できる特徴があります。具体的には、CV(申込数)やクリック数、広告の表示回数などの数値を取得することが可能です。
インターネット広告を選ぶ際の指標3点
インターネット広告にも様々な種類があり、特性や費用が異なります。
適切に予算投資を行うには、それぞれの広告の種類を知るだけでなく、ビジネスモデルや事業フェーズに応じた、広告施策における正しい目標設定、評価基準設定が必要です。
インターネット広告を選ぶ際の指標を3つ紹介します。
- CPA
- CPO
- LTV
CPA
「CPA」(Cost Per Action/Cost Per Acquisition)とは、成果獲得(CV/コンバージョン)1件にかかった費用のことを指します。日本語では顧客獲得単価とも呼ばれます。
CPAは下記の計算方法で算出できます。
広告費用÷コンバージョン数=CPA
CPO
CPAと1文字違いのCPOは、「Cost per Order」の略で、「顧客獲得費用」と呼ばれています。
計算式は以下になります。
獲得にかかった費用÷注文数=CPO
例えば、100万円の広告費に対して、受注件数が50件だった場合、CPOは2万円になります。CPOが低いほど、獲得1件あたりの費用が安いことを意味し、効率よく顧客の獲得ができていることを表しています。
LTV
LTVとは「Life Time Value」の略称で、直訳をすると、「顧客生涯価値」になります。
1人の顧客が企業に対してどれだけ利益をもたらしてくれるかを示したものです。
計算式は以下になります。
購買頻度×継続購買期間×平均購買単価=LTV
なお、LTVを算出すると、1件の成果を獲得するために掛かった金額(CPA)、1人が商品購入にかかったコストを導き出すことができます。
LTV×粗利率(粗利÷売上)=目標CPA
LTV-広告費以外の販売年間費用÷総顧客数=目標CPO
LTVを算出することで、長期的な利益の見通しを立てることができ、新規顧客獲得に対して費用を投下することができます。
アトリビューション分析とは
ここでは、広告施策に対して最適な予算投資を行ううえで必要な考え方である「アトリビューション分析」を紹介します。
アトリビューション分析とは、ユーザーが購入に至るまでに接点を持った広告を評価するという考え⽅です。(広告の間接効果とも言います。)
先ほど、消費者の購買プロセスが多様化していると紹介しました。消費者が商品を認知して購入に至る間に、ウェブサイト、SNS、リアル店舗など様々なところで接点が生まれています。
最終的な購入だけではなく、途中の認知の役割を果たした広告を評価することで、適切な予算投資につながります。
アトリビューション分析のモデル
アトリビューション分析のモデルは5つあります。
- ①ラストクリックモデル
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最後のタッチポイント(購入)のみ評価
- ②減退モデル
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購入に近いタッチポイントを評価
- ③線形モデル
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全てのタッチポイントを評価
- ④接点ベース
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最初と最後のタッチポイントに比重を置き評価
- ⑤ファーストクリック
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最初のタッチポイントのみ評価
事業の初期段階やサービス規模が小さい段階では、収益基盤をつくることが優先されます。しかし、最終の購入地点のみではユーザー母数に限りがあり、頭打ちになっていきます。
売上げの土台ができると広告に投資する予算も徐々に増えてくるため、認知を目的とした広告施策に広げ、潜在層となる顧客を増やしていく動きにつながります。
その為、広告効果においても売上げに直接関わるラストクリックモデルを採用し、事業規模拡大に応じて徐々に①から⑤に移行していくという流れが一般的です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
消費者の変化に合わせて、企業側の新規顧客獲得における状況や広告施策も変化してきました。
目標や目的に応じて集客施策を選択し、予算投資の最適化につなげましょう。