・ITPって何?基本から教えてほしい
・ITPがWEB広告にどう影響するか知りたい
本記事は上記のような悩みを抱えている方に向けた記事となっております。
近年WEB広告業界を揺るがしている「ITP」。最近、耳にすることも多いかと思います。
ITPはWEB広告を運用する中で知っておくべき情報ですので、今回はITPの概要やWEB広告に与える影響について解説させていただきます。
企業のマーケティング担当者様、プロモーション担当者様は是非ご覧頂ければと思います。
【ITPとは】基礎から解説
まずは「ITPを初めて聞いた」という方向けに、ITPの概要や歴史など基礎的な部分から解説していきたいと思います。
ITPの概要
ITPとは(Intelligent Tracking Prevention)、iPhoneやMacでおなじみのApple社が開発したプログラムです。
ユーザーの個人情報保護を目的としたトラッキング防止機能でiPhoneなどのデフォルトブラウザとして設定されている「Safari」に搭載されています。
ITPは主にcookieを無効化・削除する役割を担っています。
※cookie=インターネット上のユーザー情報を一時的に保存する仕組み
cookieは、サイトログインの為のIDやパスワードを保存したり、通販サイトでのカート情報を引き継ぐといった役割を果たしており、サイトの利便性を高めてくれます。
一方その反面で、どのサイトを閲覧したか、どんな商品に興味を持っているかなど、ユーザーにとってパーソナルな情報までも含まれているケースがあります。
普段ネットサーフィンを行っていて、何度も同じ商品の広告バナーが表示されるという経験はありませんか?
上記のように、ユーザーの動きを追跡して、過去に閲覧したサイトの広告を再度表示させるというトラッキングの仕組みも、実はcookieを用いて行われています。
ユーザーからすると、自分のサイト閲覧履歴が監視されている(個人情報が漏れている)ような気持ちになりブラウザの利用頻度が低下してしまう恐れがあります。
このような背景からApple社がユーザーを守ることを目的として開発したプログラムが、ITP(Intelligent Tracking Prevention)となります。
ITPの歴史
ITPはOS(Operating System)のように、年々新しいバージョンが発表され、アップデートを繰り返しています。
ユーザーにとってはメリットが多いITPですが、GoogleやMeta(旧Facebook)などのWEB広告(cookieによるトラッキング)を主として収益を得ている企業にとっては大変大きな痛手となります。
各社、ITPのバージョンが更新されるたびに回避策を打ち出してくるため、Appleも負けじとITPのアップデートを繰り返しているという背景となります。
言わば、Apple対WEB広告事業者の攻防戦といったイメージです。
以下がこれまでのITPの変遷です。
2017年のITP1.0が発表されてから、2022年1月現在ではITP2.3が最新のバージョンとなっています。
- 3rd party cookie:
第三者が発行しているcookie
- 1st party cookie:
ウェブサイトの運営元が発行しているcookie
- local Storage:
cookieとは別の保存手法、cookieよりも保存できるデータ容量や通信回数が多い
ITPは今後もアップデートを繰り返していくと予想されています。
WEB広告事業者がどのような対応を取っていくかによって、ユーザーと広告への影響度も変わってくるといえるでしょう。
ITPがWEB広告に与える影響
次に、ITPによってWEB広告がどのような影響を受けるのか解説していきたいと思います。
これからWEB広告に取り組んでいきたいと考えている方は、WEB広告事業者がITPの影響についてどのように対応しているかも重要になりますので、ITPの影響についても簡単に理解しておきましょう。
①コンバージョンが計測されなくなる
WEB広告経由のコンバージョン(購入や申込)が計測されなくなることが、最も大きな影響といえるでしょう。
上記図の通り、ユーザーが広告をクリックするとユーザーに対してcookieが付与されます。
cookieを持った状態で、コンバージョンに至れば広告経由の注文として計測がされるという仕組みです。
しかし、ITPによってcookieが削除されてしまった場合、注文はされているもののコンバージョンは計測されないということが起こりえます。
その結果、広告効果を正しく判断できないまま広告運用を続けてしまうなど、広告主にとっては好ましくない状況となりますので、ITPの影響は大きいといえます。
②リターゲティング広告の配信量が減少する可能性がある
リターゲティング広告もITPの影響を大きく受けているWEB広告の一つです。
リターゲティング広告は一度サイトへ訪れたユーザーが離脱した後に、別サイトにて広告を表示する手法となります。
cookieが付与されているユーザーに対して広告を配信するのですが、ITPによってcookieの保存期間が制限されてしまうと、ユーザーへの配信量が減少してしまいます。
コンバージョンまで平均30日ほどのリードタイムを要する商材などは、時間をかけて広告配信する必要があります。
もし24時間で配信が終了してしまうとなると、ユーザーの購入につながらずリターゲティング広告の効果が充分に得られないという結果になることも考えられます。
このように、ITPによるWEB広告への影響は非常に大きく、WEB広告事業者側もITPを回避するべく開発を行っているといった状況です。
A8.netが行っているITP対策
最後に弊社が運営しているアフィリエイトサービス「A8.net」がITPに対してどのように対策を行っているか解説させていただきます。
アフィリエイト広告もITPの影響を大きく受ける広告になりますので、ITP対策は必須となっています。
DNSトラッキング
Javascriptではなく、DNS(Domain Name System)の仕組みを利用し、サーバーからcookieを付与するトラッキング方式です。
※ITP2.2以降、Javascriptによって発行されたcookieは24時間で削除となりました。
広告主は任意のサブドメインを取得し、CNAMEを設定することでA8.netと広告主のドメインを紐づけることが可能となり、ユーザーがサブドメインを経由することでcookieを付与する仕組みです。
1st party cookieとしてサーバー側からユーザーに付与されることでITPを回避し、正しくトラッキングを行うことができるようになります。
なおDNSトラッキング方式は2019年に特許取得済みの計測方法となり、システム担当向けの仕様書を用意しております。
FLY-ECトラッキング
ユーザーのセッション(サーバー接続から接続終了までの行動・流れ)を利用してトラッキングを行う手法となります。
A8.netの広告を経由した際にURLの末尾に付与されるパラメータをデータベースやサーバーにて保存し、コンバージョンに到達した時点で成果通知を行って頂く方法です。
cookieを使わずにトラッキングを行うことができるので、最新のITPにも対応しているトラッキング方法となります。
A8.netでは主に上記のDNS・FLY-ECトラッキングを活用してITPを回避しております。
まとめ:ITPを理解して、効果的なWEB広告を選びましょう
本記事ではITPの概要やアップデートの歴史、A8.netでのITP対策について解説させていただきました。
AppleによるITPの発表で、WEB広告業界に大きな変革が起こっています。
ITPに対応している広告とそうでない広告では、実施した際の効果も大きく変わっていきます。
ITPの知識をつけておくだけでも、自社にとって良い広告選定ができますので、本記事を通して少しでもITPについてご理解頂けたら嬉しく思います。
A8.netでも、日々広告主様からのお問い合わせを募集しています。
下記リンクから資料請求を行うことができますので、お気軽にお問い合わせください。