大企業からスタートアップ企業までマーケティングに採用するインフルエンサーですが、実行するまでどのようなメリット・デメリットが存在しているかは窺い知れないところです。
- 「なぜインフルエンサーが注目されてるのか?」
- 「インフルエンサーのメリット・デメリットって何?」
- 「インフルエンサーを起用する際に注意点はあるのか?」
そこで今回のコラムでは、インフルエンサーの起用を検討している方々に向けて、インフルエンサーマーケティングのメリット・デメリットを解説しています。
インフルエンサーとは
インフルエンサー(influencer)とは、英語の“influence”「影響する」から由来しており、発言・行動が社会一般に対して強く影響を及ぼす人物のことを指します。
以前はテレビタレント、スポーツ選手、専門家などを指す言葉でしたが、SNSが発達したことによってInstagram、YouTubeなどで活躍する一般ユーザーもインフルエンサーと呼ばれるようになりました。
インフルエンサーが注目されている背景
SNSが普及した現代では、消費者の多くがGoogle/Yahooでの検索のみならず、SNSでも情報収集を活発に行うようになりました。
特にインターネット上でショッピングすることが一般的になった現代において、消費者目線での口コミを信頼する傾向が強まってきています。
ULSSAS(ウルサス)というSNS時代の購買行動モデルでは、ユーザーがSNS上に投稿したコンテンツ(UGC)を起点に、商品の興味関心、購買を喚起するというサイクルを表しています。
このような背景を受けて消費者目線の情報で、かつ発信元が信頼できるインフルエンサーがユーザーに支持されるようになりました。
また、ユーザーとの接点が多いSNSで、影響力のあるインフルエンサーを起用することで認知を拡大したいと考える企業が増えており、インフルエンサーマーケティングが注目を集めています。
インフルエンサーのクラス分け
インフルエンサーにはフォロワー数に応じたクラスが存在しており、大まかに次の4つへ分類することができます。
- 有名人:100万人以上
- トップ・インフルエンサー:10万~100万人
- マイクロ・インフルエンサー:1万~10万人
- ナノ・インフルエンサー:1000~1万人
インフルエンサーはクラスによってユーザーにリーチできる範囲やエンゲージメント率の傾向があります。また起用料金やユーザーコミュニティの在り方も異なるため、実施するマーケティング施策に応じて活用するインフルエンサーのクラスを検討していくのが有効です。
インフルエンサーの宣伝方法
インフルエンサーに依頼した場合、基本的にはSNSが商品・サービスの宣伝場所となります。
それぞれ活躍するプラットフォームによってインフルエンサーの呼称は下記のように変化します。
- Instagram:インスタグラマー
- Tiktok:ティックトッカー
- Youtube:ユーチューバー
また、SNS上での投稿のフォーマットとしては写真・動画・紹介文がメインです。
例えばInstagramなら商品の写真とともに使用感レビューの投稿、TikTokであればテンポよくショート動画で商品情報を紹介、Youtubeであれば1本の動画で実際の使用シーンとスペックを紹介するなど、各プラットフォームごとで宣伝方法は変わってきます。
下記記事ではインフルエンサーマーケティングについての概要をまとめています。
インフルエンサーのメリット・デメリット
このコラムの本題であるインフルエンサーマーケティングのメリットとデメリットについて解説していきます。
インフルエンサーマーケティングのメリットとは?
インフルエンサーマーケティングのメリットを下記3点に分けて紹介していきます。
- ターゲットへの情報拡散力
- 広告を嫌がるユーザーにも広告感なく宣伝
- ユーザー目線での紹介が発信される
ターゲットへの情報拡散力
インフルエンサーマーケティングの最大のメリットの一つが情報拡散力です。
インフルエンサーはそれぞれのSNSでフォロワーというファンを抱えています。
フォロワーに対してリーチが出来るという点でも情報拡散につながりますが、特にフォロワーへのリーチだけでなく、投稿に対してコメントやシェアなどのアクションを取ることで更なる拡散につながるといった、瞬発的な情報拡散力が大きな特徴の一つです。
広告を嫌がるユーザーにも広告感なく宣伝
通常の投稿の形式でユーザーに届けられる点で広告忌避感が払拭されやすいこともインフルエンサーマーケティングのメリットです。
広告は「うっとおしい」とユーザーから嫌厭されがちな存在です。
ユーザーは自らフォローするインフルエンサーを選択しているので、広告ではなく「自分の好きなひと/興味のあるひと」が紹介している商品という見せ方で訴求することができます。
また二次拡散された際も、ある程度権威性のあるインフルエンサーの発信が情報ソースとなるため宣伝を受け入れるマインドが形成されやすくなります。
ユーザー目線での紹介が発信される
インフルエンサーを起用することでユーザー目線での商品・サービス情報を発信されます。
インフルエンサーは企業発信の情報と異なり、実際に製品やサービスの良し悪しを「消費者目線で」丁寧にレビューしてくれます。
説得力が高く、見ているユーザーの興味関心や共感の獲得に貢献してくれるのは大きなメリットです。
ここでは実際にインフルエンサーから商品・サービスがどのように紹介されているのか、SNSでの事例を確認しましょう。
- Twitter事例 ふるえるとり(@torikaworks)さん
-
想い出がいっぱい!スマホの容量を空けるために消せる我が子の写真なんて、無いんですよね…#iXpandFlip #アイエクスパンド #PR pic.twitter.com/bRgUJJ9LyV
— ふるえるとり (@torikaworks) December 16, 2021
Twitterの事例ではふるえるとりさんの事例を紹介します。ふるえるとりさんはご自身を鳥に見立てた育児日記や、かわいらしい生き物の日常のイラストを届ける作家インフルエンサーです。
紹介する事例ではふるえるとりさんの強みをフルに生かし、子育てあるあるの文脈でWestern Digital Corporationのフラッシュドライブ「iXpandFlip」をかわいいネコ家族のイラストマンガでPRしています。
リアルタイム性高く拡散しやすい機能が備わったTwitterで元々のフォロワー数も多いふるえるとりさんに依頼することで、PRであったとしても思わず見た人がリアクションしたくなるような宣伝効果を得ています。
- Youtube事例 トバログさん(https://www.youtube.com/channel/UCM6SJb18voXy12YI0WWvcWQ)
Youtubeの事例ではトバログさんを紹介します。トバログさんはガジェットや暮らし道具を紹介しているインフルエンサーです。
本動画ではアイロボットジャパン合同会社の「ルンバ i7+」にて新たに追加された機能や実際の使用中の映像までユーザーが気になる点を網羅的にレビューしているため、商品のメリットが伝わりやすいです。
商品と連動しているアプリの実画面まで動画内に表示させており、動画でしか訴求できない内容となっています。
インフルエンサーのデメリットとは?
インフルエンサーのデメリットを下記3点に分けて紹介していきます。
炎上のリスクをはらんでいる
インフルエンサーは影響力が大きく、かつSNSは拡散力がある一方で、投稿に対して好意的ではない反応として「炎上」のリスクをはらんでいます。
ブランドや企業が社会的信用を失う重大な事態に陥る可能性もあるため、注意が必要です。
また、依頼企業とインフルエンサーがSNSの規約を知らずに、PRである旨を明示せずに投稿してしまうことによってステルスマーケティング(以下ステマ)と捉えられる場合があります。
インフルエンサー依頼時にはPR投稿とわかる内容で作成する旨を伝えるなどして、ステマ疑惑のリスクには細心の注意を払いましょう。
効果的なインフルエンサーを自力で選ぶのは難しい
SNSでは多くのインフルエンサーが活動しており、自社の宣伝にとって効果的なインフルエンサーを自力で選定する難しさがあります。
特に初めての取り組みの場合は選定基準が曖昧なことが多く、自社にマッチしていないインフルエンサーと提携してしまうという危険性があります。
自社のターゲットや、予算等、事前に条件を明確にしたうえで選定を行う必要があります。
成果のコントロールが難しい
インフルエンサーマーケティングでは、SNS媒体・クラス・フォロワー・施策内容・時期など、様々な要素が絡み合い宣伝効果を生み出します。そのため他Web広告と比べると成果のコントロールが難しい点もデメリットの一つとなっています。
インフルエンサーマーケティングを実施する場合はフォロワー数やエンゲージメント率、動画再生回数などが指標となりますが、投稿するコンテンツによっても効果は大きく左右されるという点は予め念頭に置いておきましょう。
最後にデメリットを解説しましたが、いずれもインフルエンサーマーケティングについて調査後できちんと知識を持っていれば先手を打って対処できる事項です。
各種SNSのインフルエンサー起用におけるガイドラインやインフルエンサーサービスの比較検討を行えばデメリットについてはリスクを低減できます。
インフルエンサー起用の一般的な効果
ここではまず、効果を測る指標と確認項目、メリット・デメリット、費用対効果を高める方法といった、インフルエンサーマーケティングにおける一般的な効果について解説していきます。
効果を測る指標・確認項目
インフルエンサーの起用において一般的に重視される指標としてはコンバージョン、リーチ・インプレッション、エンゲージメントがよく用いられます。
- コンバージョン(conversion)
- CV、成約数などとも呼ばれ、インフルエンサーマーケティングにおいてはインフルエンサーの投稿経由で自社の商品が購入される数のことです。実際の購入数を目標として施策を立てるのであればこちらをKPIに組み込むことになります。
- インプレッション(impression)
- インフルエンサーの投稿がどれだけユーザーに表示されたかという数のことで、インフルエンサーが得意とするブランドの認知拡大を意図した施策の際に重要なKPIとして設定されます。
- エンゲージメント(engagement)
- 投稿に対して何かしらのリアクション(いいね!、リポストなど)をした数や、インフルエンサー自身や投稿にどれだけ好感を持って受け入れられているかを計る指標となります。継続的にインフルエンサーマーケティングを行うにあたってインフルエンサー選定のために確認すべきKPIとして役に立ってくれます。
このうち、コンバージョンとエンゲージメントに関しては率として計測算出することも数値を活用するうえで大切な数字となってくれます。
一般的な計算式はそれぞれ以下の通りです。
- コンバージョン率:コンバージョン数÷クリック数 ×100
- エンゲージメント率:エンゲージメント数÷インプレッション×100
また、上記と併せてインフルエンサーマーケティングにおいて起用するインフルエンサーを選定する際の最低限の確認項目として、次の3つを事前にチェックしておくことが望ましいです。
・インフルエンサーの抱えるフォロワーの属性
・稼働しているSNS上でのエンゲージメント
・投稿に際して寄せられるコメントの質
これらの項目を確認しておけば、リーチできるユーザーの男女比や地域分布を把握することができます。
また、そのリアクションから自社の施策に対して期待できるアクション・拡散力、対象となるインフルエンサーがフォロワーの売買をしていないかを窺い知ることができ、初動段階で当ての外れた施策を持ち出してしまうリスクが低下します。
メリット・デメリット
インフルエンサーマーケティングを実施するメリットとしては、インフルエンサー自体が持つ訴求力・知名度によりユーザーへの信頼感が得やすいということ、PRが通常の投稿として実施されるため広告に対する忌避感が払拭されやすいということ、潜在層へのリーチによる新規集客の拡大ができるということが挙げられます。
加えてインフルエンサーの活動領域と規模感から逆算することができるため、通常の広告と比べターゲットが絞りやすいということも魅力です。
さらに彼らの経験とクリエイティビティから来るアイデアにより、社内では思いもよらなかった宣伝方法を実行できるのはインフルエンサーマーケティングならではの広告効果と言えるでしょう。
しかしながらメリットの反面デメリットも存在します。
その主な点としては、フォロワー数の大小だけでなく普段の投稿活動やフォロワーの平均的なエンゲージメント率、さらにはインフルエンサーを取り巻く市場の変化速度など複合的な要因により、現出する効果に振り幅が出やすいことです。また、数多存在するインフルエンサーの中からマーケティングの方針とマッチするインフルエンサー選定の難しさがあるという点も挙げられます。
デメリットの面は、エンゲージメント率の確認や過去投稿内容等の綿密な調査と施策設計、そしてインフルエンサーについての詳細な知識があればカバーすることが可能です。もし自社だけでそこを賄いきれないのであれば代行運営会社に相談して市場を伺うことも一つの有効策でしょう。
費用対効果を高める方法
利益率や最終的な売上高といったKGIの達成に向けて、KPIの指標であるコンバージョン・インプレッション・エンゲージメントの数あるいは率の向上を目指していくことが、広告コストの最適化につながり、費用対効果を高める近道になります。
そのコスト最適化のために抑えるべきポイントとしては以下のようなものがあります。
・ターゲット層の一致
・自社商品とインフルエンサーの親和性
・コストを抑えすぎずある程度の予算を掛ける
・KGIに合致した施策
ターゲットとなるインフルエンサーのフォロワーと自社の商品・サービスのターゲットがマッチしていれば自ずと宣伝効果は上がっていき、費用を渋って格安で収めようとしなければ声を掛けられるインフルエンサーの幅は広がるため、数と質の利益衡量をしつつ起用選定して目標となる KGIに到達できるような予算組をする。
そして広告コスト最適化にはKPIとなる指標の向上が欠かせません。
上記に掲げた各指標の向上を目指すためにできる対策としては以下のようなポイントがあります。
- 現実的なハードルを設定する
- 実現性のある目標でなければ計測の意味は薄れてしまいます。無理を言って無謀なKPIを設定したのではそもそも改善の余地があるかないかも分からないままになってしまうため、施策内容と照らし合わせ現実的なラインの数字を設定しましょう。
- ある程度の予算を準備する
- 先立つものがあれば声を掛けられるインフルエンサーの選択肢は広がります。格安で済ませようと質・数ともにコストを抑えすぎてしまうと、思うような結果を出すことは困難であるため、社内の予算感と相談しながらきちんと予算組を行い施策に臨みましょう。
- ターゲットの確認
- インフルエンサーと商品・サービスのジャンルが合っているからといって必ずしもフォロワーとユーザーの層がマッチしているとは限りません。
例えば、フォロワー・エンゲージメントともに多い女性インストラクターが居たとして、その方に女性向けトレーニンググッズを依頼したところ思うような結果が出なかった。その理由は女性インストラクターのフォロワーのほとんどが実は男性だった……というようなことが起きてしまう可能性があるのです。
そういった事態を防ぐため、サンプルで起用検討中インフルエンサーのフォロワーのアカウントを確認して自社のターゲットとなるか検証してみることも各種KPIを適切に稼ぐためには必要なタスクとなってきます。
- インフルエンサーへの条件指定
- 施策効果をより適切なものにするためには投稿タイミングやタグの設定が欠かせません。その事情を鑑みインフルエンサーと投稿周りの打ち合わせをしておくことも実務上必要不可欠となることでしょう。
ただしここで注意したいのは、インフルエンサーのオリジナリティを尊重することを忘れないということです。このマーケティング手法はインフルエンサーの創造性、そしてインフルエンサーと自社との信頼関係によって成立しているため、あまり細か過ぎる条件設定はせず必要最小限の指定のみに留めておきましょう。
もしこれらを実行することができれば中長期的に見た際、たとえ現状は運営会社頼りだったとしても、データの蓄積と結果検証の繰り返しにより将来的に自社内でマーケティングを完結できるようになるかもしれません。そうなれば結果的に手数料が削減され広告コストの削減に繋がります。
また、ユーザーの購買フェーズに合わせた施策の設計も非常に重要となってきます。認知しているのか・興味があるのか・検索しているのか・購買後のリピートを検討しているのかなど、段階に応じたターゲットマーケティングによってタイミングにあったインフルエンサー戦略を実施していきましょう。
さらに自社内でのKGIを達成するため、インフルエンサーマーケティングにおいて同じ費用を投資した中で最大限効果を発揮するには、各施策における適切なKPIを設定することが必要となってきます。
効果測定をして初めて明らかになるデータの分析によって、次なる施策の一手を考えることはインフルエンサーマーケティングを実施する醍醐味の一つでもあるからです。
効果測定方法
各SNSでのKPI・KGI事情
現在インフルエンサーの主戦場はSNSとなっています。
そうなると効果測定方法として利用できるKPIについては各種SNSの特徴により自然と得手不得手が発生してきます。
そこで前述した効果測定の指標で紹介した3つ、コンバージョン、リーチ・インプレッション、エンゲージメントに対して、インフルエンサーマーケティングで主に利用されるSNS、Instagram、YouTube、X(旧Twitter)、TikTokをそれぞれ得意項目に沿って以下に分類してみました。
それぞれを項目立ててご紹介していきます。
コンバージョンとなる場合
まず最初に、正直なところインフルエンサーマーケティングという施策は短期的・直接的な売上という点に関してはあまり得意ではありません。これは特定のSNSに限らずSNS全般において言えることです。コンバージョン獲得のみを施策の効果として見込むことはSNSを利用したマーケティングの性質上、あまり効果的な施策にはならないことが大半です。
もちろん自社の商品・サービスによっては直のコンバージョンを稼ぐことも不可能とは言い切れないですが、どのSNSにおいても購入に至る率は1~2%前後ほどとなっています。
そのため基本的なKPI・KGIの設定としてはインプレッションやエンゲージメントを中心に効果測定し、LTV(Life Time Value)で最終的な成果を見ていくことがインフルエンサーマーケティングにおける有効な施策の設計となっていきます。
ただ、ここでコンバージョン獲得において一番期待できるSNSは、写真・動画の美しさで訴求することが可能なInstagramです。
美容用品やファッショングッズなどインフルエンサーの持つ影響力を用いて、あるいは適切なハッシュタグやクーポンコードの使用によって実際の投稿を通じて商品の魅力を紹介し購入まで導線を繋ぐことが可能となっています。
インプレッションとなる場合
各SNS間においても獲得できるインプレッション数に大きな差はなく、安定して数字を計上できるKPIです。
というのもインプレッションのように、認知拡大をはじめブランディングを主眼とし、一度検索離脱したユーザーを再度購入フェーズへと向かわせることを志向した施策についてはインフルエンサーマーケティングの得意とする領域だからです。
特にSNSはユーザーの目に入ることがまず第一歩であるため、数字が全てではないですが、その母数を測定することで自然にKGIに繋がる見込み新規集客を得る確率は高まっていきます。その大本としてインプレッションをKPIとすることは、走らせているマーケティングが有効な施策かどうか判別するための一歩目となります。
現行のSNSでは投稿に対するインプレッション数はすぐに確認できるため、インフルエンサーの投稿がきちんとユーザーに届いているのかをチェックするに持ってこいの指標となります。
エンゲージメントとなる場合
こちらも比較的どのSNSでも利用しやすい測定方法です。
この数値はいわばリアクション値のため、インフルエンサーがフォロワーに持つ影響力・説得力の指標とすることができます。リアクションとしてこういった数・率が上昇すればそれだけフォロワーのフォロワーにまで、あるいは昨今のSNSの仕組みによって、アルゴリズム上おすすめとしてフォロワー外にも拡散される可能性があります。
特にいいね、コメント、リポスト、シェアなど、あるいは画像・動画・リンクのクリックなどをエンゲージメントとして扱えるため、その率により有効な施策なのか、力のあるインフルエンサーなのかなど、最も測定に利用しやすいということができるでしょう。
フォロワーからフォロワーへと繋がるSNSの拡散力を以てすれば、この数字を主なKPIとして設定して上方改善を続けれることで想定よりも大きな効果を期待できます。
なお、インフルエンサーの単価の相場感としては、
- 「フォロワー×2~6円」
- 「エンゲージメント×1~3円」
- 「再生数×3~20円」
- 「動画制作登録者数×3~30円」
のような形態が多いです。
上記は簡単な例示にすぎませんが、これら相場感と予算感を鑑みた際に、自社が期待するエンゲージメント等の効果にどこまで費用を掛けられるのか一度秤にかけてみるとよいでしょう。
もっと具体的な費用感についての詳細解説は以下の記事でご参照ください。
ここまででSNS上で効果測定の向き不向きに特性があることは認識することができても、実際どのような施策が効果を出すのか事例を知りたいことでしょう。
そこで、最後は各メディアごとにインフルエンサーマーケティングの成功事例についてご紹介していきたいと思います。
メディア別施策成功事例
Instagram施策の成功事例
●オハヨー乳業株式会社 BRULEE(ブリュレ)
各種の乳製品を取り扱う扱う食品会社「オハヨー乳業株式会社」におけるインフルエンサーマーケティング事例を紹介しましょう。
こちらの事例で起用されているインフルエンサーは「アイス部(icebu.jp)」さんです。
アイス部さんは現在市販されている様々なアイスについてレビューしているインフルエンサーであり、雑誌にも取り上げられるほどの人気インスタグラマーです。
このPR投稿では乳製品を扱う食品会社オハヨー乳業株式会社の主力商品「BRULEE(ブリュレ)」のリニューアルに際してどのような点がブラッシュアップされたのかを紹介しています。
ターゲットがアイス好きのユーザーということでユーザー属性も分かりやすく、コメントの数も多く、実際に買った報告をする購入CVまで至ったフォロワーが続出しており、施策の内容も相まってその影響力は非常に大きいようです。
また、スプーンを入れる瞬間の実演動画やIGTVライブ配信での視聴者参加型キャンペーンなども精力的に行っており、いいねや再生回数を合わせると実に5万を超えるエンゲージメントをこのプロモーションで獲得しています。
YouTube施策の成功事例
●熊本県×脱獄ごっこ
人気オンライン対戦ゲームアプリ「脱獄ごっこ」と熊本県がコラボしたインフルエンサーマーケティング事例です。
こちらの事例で起用されているインフルエンサーは「HIMAWARIちゃんねる」さんです。
HIMAWARIちゃんねるさんは登録者260万以上の家族ユーチューバーで、この動画では一家の姉妹であるまーちゃんおーちゃんという小学生姉妹のお二方が出演しています。
自粛が続く中ゲームで全国の自治体を応援するというご当地観光キャンペーンプロジェクトの第一弾で、動画の内容としては実際にアプリ内で使用されるSE音声の収録風景と、あのゆるキャラ・くまもんとの共演が収められており、見ていて非常に微笑ましいコンテンツに仕上がっています
若い世代のユーザーが多い脱獄ごっこ×若い世代に人気のくまもん、そこに人気家族ユーチューバーの姉妹が携わるということで非常に相性の良い施策であり、エンゲージメントとして25万以上の再生数を稼ぎ、その後のアプリダウンロード累計600万突破に一役買った結果となりました。
X(旧Twitter)施策の成功事例
●全日本氷糖工業組合
材料を混ぜて一晩水切りするだけで、ふわっと濃厚なクレームダンジュができるんですけど「ここはお店か?」ってほど美味しい✨
— ぼく◓イラスト料理研究家 (@boku_5656) May 28, 2021
かけているシロップは、ブルーベリー+氷砂糖を保存袋に入れて、2週間じわじわ抽出したもの。めっっっちゃ贅沢なブルーベリーの香り〜‼️#PR pic.twitter.com/oYTOg187vZ
次に氷砂糖を扱う「全日本氷糖工業組合」によるインフルエンサーマーケティング事例を紹介します。
こちらの事例で起用されているのは「ぼく◓イラスト料理研究家(@boku_5656)」さんです。
ぼくさんは、X(旧Twitter)上で可愛らしく分かりやすいイラストとともに料理レシピを公開する活動を行っている方です。書籍も多数出版しており、フォロワーも料理に関心のあるファンの方が多く、固定ファンもいることからX(旧Twitter)で情報を拡散する発信力を持っています。
このPR投稿は全日本氷糖工業組合のメイン商品である氷砂糖のプレゼントキャンペーンと、ぼくさんのイラストとレシピ投稿を交えた形でX(旧Twitter)での伝播を狙った施策です。リポストによる拡散と共に実際にこのキャンペーンでの応募条件となるハッシュタグを付けたユーザーの投稿が多数寄せられています。
TikTok施策の成功事例
●ZONe
@tuckinshuichiro 大学生TikTokerの動画作成の裏側(学生必見)##ZONe ##PR
♬ HOT & SPICY SALSA - Jaycee Mante
エナジードリンク「ZONe」でのTikTokインフルエンサーマーケティング事例を確認してみましょう。
こちらの事例で起用されているのは「修一朗(tuckinshuichiro)」さんです。
修一朗さんは大学生TikTokerとして日常生活の中でキャッチーな動画を作成しているクリエイターで、活動開始わずか5ヶ月目にしてフォロワー100万人、現在ではその数は倍の200万人超となったほどの人気を誇ります。
またTikTokだけでなく、他YouTubeでの投稿や映画の試写会などにも招かれるなど、多方面に活動を広げ大学生をはじめ若年層からの支持も急上昇中のインフルエンサーです。
ここに挙げたZONeとのコラボでは、新商品となるカロリーオフ版ZONe発売にあたり、そのPRと併せてブランド全体の認知拡大をする旨のショート動画となっています。
エネルギッシュな没入感を求める10~20代をメインターゲットとしたドリンクのため、狙ったユーザーとマッチした結果、再生数・コメント数ともに爆発的な伸びを見せ大量のエンゲージメントを獲得しています。
本記事で列挙したこのような事例以外にも多くの企業がインフルエンサーマーケティングを実施した結果、新規集客による売上の上昇、リブランディングによる認知拡大、急激な知名度を得たなど様々マーケティング効果を上げている企業が山ほど存在しています。
また、インフルエンサーマーケティングでは、一人のみに焦点を当ててキャスティングしているわけではなく、多くの場合一施策にあたり複数人での起用が基本となります。
そのため今回挙げた事例に関しても、多数のインフルエンサーや他広告との組み合わせの末の相乗効果として結果が表れており、きちんとインフルエンサー各人のKPIを設定して効果測定した施策の果てに生まれた成功体験に違いありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
インフルエンサーのメリット・デメリットについてご理解いただけたでしょうか。本コラムではインフルエンサーの基本を解説しつつ、メリット・デメリットの詳細それぞれを解説してきました。
A8.netでは成果報酬から交渉が可能なインフルエンサーから、有名インフルエンサーまで様々なクラス・ジャンルのインフルエンサーを抱えています。
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