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【事例あり】D2C事業を支えるブランドストーリーの創り方を解説!

【事例あり】D2C事業を支えるブランドストーリーの創り方を解説!

  • 2021/09/16
  • 2024/04/12
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ブランドストーリーとは、そのブランドにしかない独自の価値を、展開するブランドの誕生背景・経歴・思想をもとにストーリーになぞらえて訴求するためのコンテンツです。

D2Cで事業を立ち上げる際にはブランドストーリーが重要という情報を目にしたことはないでしょうか?

新たにブランドを立ち上げ事業をスタートするためには、事業計画、宣伝物、物流と準備するものが多く、大変なことだらけで何から手を付けてよいか分からない状況に陥ることも少なくないでしょう。そして金銭面について先立つものが必要で、先を予測しつつ着実に予算投下をしていかないといけません。

もし予算さえ潤沢にあれば思い付く施策に投下できますが、とはいえ立ち上げ期のコストを考えるとあらゆる施策に闇雲に手を出すこともできないでしょう。あるいは既に展開しているブランドに予算を掛けて何とか軌道に乗せたいが、何をしたらいいか分からないという場合もあるかと思います。

そんなとき、予算を投下した施策を実施する前に準備できることがあるのです。その施策というのは、ユーザーに自社の魅力を訴えかける情報資産としてのブランドストーリーを作成することです。

パーソナライズがマーケティングの中核に移り変わる今、唯一無二のブランドストーリーを打ち立てることができれば、誰も真似することのできない価値が自社のブランドに付与されるのです。

このコラムではそんなブランドストーリーとは何たるかという概説を、活用方法と共に解説しつつ、さらに事例を交えてご紹介することで、自社オリジナルな最高のブランドストーリーを創る方法を伝授していこうと思います。

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ブランドストーリー概説

本項目ではブランドストーリーについて基礎的な部分を解説していきます。

ブランドストーリーの生まれた背景

インターネット技術の発展に伴いECサイトで展開するブランド、D2C(Direct to Consumer)の形態において、市場の中でユーザーの眼に止まることを目指して、機能以外の主観メインに訴求していく方法が編み出されました。その訴求方法の一つがブランドストーリーです。

ブランドストーリーはユーザーが求める「主観」のニーズを感じ取り、先んじて自社から提示する自社の物語です。さらにこの物語をユーザーに発信した後、使用感や実感などユーザーから得られるフィードバックを吸い上げて再度ブランドに組み込んでいく、そんなブランドとユーザー相互の目線で創造される情報資産として利用することができるのです。

特に今の時代というのはブログ・SNSなどで個人での情報発信が容易な状況にあります。商品・サービスの情報についても消費者たちから発信されたユーザー目線の情報を受け取り、購買の意思決定をする方向へシフトしていく潮流となっています。

その結果として、大多数のユーザーが受け取る情報というのが、「使用後」を焦点として語られる各個人の主観をベースとした目線の集積となったのです。

その際、社会に発信される主観のクオリティを上げ、拡散させたくなるようなユーザーのマインドを導くためにブランドストーリーは役割を担います。

独自の顧客体験を提供する世界観

ユーザーに届けるブランドストーリーを魅力あるユニークなものとするためには、そのブランドを取り入れることでしか得られない独自体験ができるという「世界観」をプレゼンテーションできているかという点が最重要事項になります。

ユーザーたちの生活の憧れになる地点を示し、商品・サービスを通じてのライフスタイルの提案、最終的には一つの人生の指針を示してくれるようなストーリーが求められるのです。

そのための軸として必要なのは唯一無二性です。

「なぜこのブランドでなければいけないのか」

この点を明確にする顧客体験価値を含んだ世界観をブランドストーリーに乗せて発信することで、万人ではなく各個のユーザーの心を鷲掴みにします。

とりわけ現代のマーケティングでは購買行動を通じての体験が重視されます。そのためにも何か特別なものを提供できることをアピールし続ける情報資産、すなわち独自の世界観を帯びたブランドストーリーこそが長期的に自社価値を底上げする資材となるのです。

ここまでブランドストーリーの概説を行ってきましたが、それだけでは自作をすることはまだ困難かと思います。次項では実際にオリジナリティを持ったブランドストーリーの創り方についてユーザーの視点に重きを置いて解説してまいります。

ブランドストーリーの創り方

ここではブランドストーリーについて、自社でオリジナルの物語を作れるようになるコツについて記載しています。

ユーザーのキャッチアップ

ストーリーを創造するにあたって何よりも大切な視点は「ユーザーを意識すること」です。

その一歩目として、最初に正確なユーザー像を知る作業から始めましょう。

現在自社にはどのようなユーザーが付いているのか、本来はどんなユーザーをターゲットにしているのか、将来的にはどんなユーザーがついて欲しいのか、というユーザーの「個」を明確にすることから始め、そこから逆算して彼らに刺さるストーリーを構成していくことが必要です。

そんなユーザー像をうまくキャッチアップして優れたストーリーを構成した具体的な例として「GREEN SPOON」、「DINETTE」の手法をご紹介します。

・GREEN SPOON "たのしい食のセルフケア文化を創る"

パーソナルスムージー・スープを提供するGREEN SPOONは代表取締役の田邊友則さんが実際に海外滞在中に出会ったセルフケアの文化を軸に、ご自身の多忙な経験から健康維持を、簡単に、そして楽しく継続できるサービスを目指して立ち上げられたサービスです。

GREEN SPOONは田邊さんの周りにいらっしゃる同年代の方々の生活にスポットを当て、仕事や子育てなど忙しい日々を暮らす方々のニーズを満たすサービスを届けていくという方針でブランドのペルソナイメージを膨らませることにより、精度の高い訴求内容となるブランドストーリー作りに成功しました。

・DINETTE “Believe In The Power Of Girls”

コスメブランドと美容メディアを運営するDINETTEは、元来CEO尾崎美紀さんがプロメイクを受けた経験から起業した、メイクをメインコンテンツとした動画やSNSを運用するメディア企業でした。

そんなメディアを運営していく中でユーザーとの接点を築き続け、日ごろからSNSなどに寄せられる声を汲み上げて、その意見をもとにプライベートブランド「PHOEBE BEAUTY UP」にて自社コスメ開発まで可能とし、現在ではより多くの商品開発を目標としてPBブランドを拡大させ続けています。

ブランドを取り入れることでユーザー・社会に対してどのような利益還元ができるのか、羨望の対象として持つこと自体がステータスになるのか、あるいは誰も成し遂げたことのない便利機能を実現しているのか、その点を明らかにするようなメッセージこそがユーザーの心に引っ掛かるフックとなり、WEB上での拡散のきっかけになります。

ユーザーが求める世界観を発信すると共に、背景を共有することも有効です。そのブランドがどんな経歴を持っているのか、どのようなバックグラウンドがあるのか、という物語を知ったユーザーはその世界観の中で動的に作用し続けるストーリーに惹き込まれていきます。

感情と論理に訴えかけるストーリー

ユーザー像を掴み、設定したペルソナに対して自社の価値を宣伝していくためには見る人の心を掴むコンセプトを軸として打ち立てる必要があります。

そして打ち立てたコンセプトをガイドラインとして「感情」と「論理」どちらの琴線にも触れるブランドストーリーを作成していきましょう。

まず人間の感情を動かすにはストーリーが必要です。人間は多くの場合、小説や映画、ドラマなど物語性を持つものに心動かされます。

この点をマーケティングに応用するために設計できるのがブランドストーリーの存在意義です。

人間は生きるにあたって感情とは切り離せない生き物です。実際に多くの人は日常の中で本を読んだりテレビを見たり、家族の小さな成長や幸せを喜んだりと、毎日の生活において感情を動かしています。

先述にもありますが、現代における宣伝方法において従来通りの機能面・価格面のみでの働きかけでは、競合も情報も溢れる中で差別化を図ることは難しい状況です。

そういったある種無味乾燥に見えてしまう訴求点を打ち破るためにブランドに物語性を持たせるのです。

また、もう一面、揺さぶられた感情を合理的に解釈できるよう裏付ける根拠が必要となります。いくら気持ちが動いたとしてもそれがユーザーにとって買う理由のないもの、あるいは必要が無いと判断されてしまうものであったら、どれだけ感動的なストーリーを抱えていたとしても購入に至らせることは叶いません。

多くの人を決断に至らせる大きな判断材料として、感情と同時に根拠が必要です。

ユーザーが購入に至る根拠とは、どれだけ納得感を持たせるかに懸かっています。

これからの時代に適合する素材の商品なのか、今までにないユーザビリティを持ったサービスなのか、他社では変えの利かない独自の利用体系を持っているなど、ブランドを通じて得られるメリットについて、事実をもとにした情報データとして感情面と並立させてブランドストーリーに組み込むのです。

自社が提供する価値に感化されたユーザーが共感を呼び、受け取ったメリットをユーザーに伝え、その共感がまた別の共感を生んでいく。完成度の高いブランドストーリーは、そんな自律的な情報資産として活用することができるのです。

ブランドストーリーを示す素材

さらに作成したブランドストーリーは、商品自体のパッケージ、ブランドを展開するECサイトの設計をイメージに沿ったカラーやデザインに仕上げることや、あるいはSNSや広告素材の特性を生かし、ブランドイメージを画像・動画などのビジュアル面で訴求することができます。

またビジュアル面だけでなく、ユーザーから見つけてもらうためにコピーライトにこだわることも大変重要です。

優れたコピーライトを作るには、シンプルな短文によって、ユーザーに一瞬でブランドのメリットと独自のコンセプトを伝え、ターゲットの興味関心を惹く文言を使用したものが理想となります。

ブランドをキャッチコピー作成のコツとしては下記のような点が挙げられます。

  • 訴求するターゲットを明確化
  • 人間の心理・感情に訴えかける
  • 内容理解しやすいリズムのある文章
  • 独自性を持った文言

また D2Cの中でも優れたキャッチコピーの例を以下にご紹介いたします。

“ワクワクおやつの定期便”

―snaq.me―
https://snaq.me/

~おやつのサブスクサービスであることがリズムよく一目で理解できます。

“プロが提案する、あなたらしさ。”

―SOÉJU―
https://soeju.com/

~スタイリストがパーソナルコーディネートをするサービスとしてユーザーへ訴えかけてきます。

“「あったらいいな」を叶える”

―PHOEBE BEAUTY UP―
https://phoebebeautyup.com/

~女性たちの要望に応えて立ち上がったプライベートコスメブランドであるという独自の背景が短文で表現されています。

上記のようなプロセスで物語を作成した後、ユーザーを惹き付ける長期的計画として多くの企業が独自のブランドストーリーを掲げ広範なユーザーに宣伝をしていますが、実際にはどのようなブランドストーリーが人々に受け入れられているのかを知ればきっと自社の企画の強い味方になってくれるはずです。

D2Cブランドストーリー事例

最後に数ある企業の中でも、特に優れたD2Cのブランドストーリーに目を向けてみましょう。

例1)ヘアケア・スキンケア「BOTANIST」

植物と共に生きるボタニカルライフスタイル。
モノにあふれ、目まぐるしく変化する現代に植物と共に生きること。

それは、本当に必要なものとシンプルに生きること。
植物を育てるように、心と身体をいたわり、毎日をほんの少していねいに過ごすこと。

植物の恵みが、いつもそばにある暮らしを届ける。
BOTANISTと、ボタニカルライフスタイルを今日から。

最初にご紹介するのは、ナチュラルとテクノロジーを両立させたヘアケア・スキンケア商品を取り扱う「BOTANIST」です。

ブランドに冠する通り、商品開発において植物由来成分の研究に力を入れることにより、人間・環境共に癒しを届けることを主眼に置きつつ、その品質の高さを担保しています。

サイト設計やメッセージにおいてもその独自の姿勢が表れており、非常にモダンでオーガニックなUIがまさにbotanical(植物的)なブランドイメージを印象付けてくれます。その他にもイメージを表象したパッケージやボトルのデザインにもユーザビリティ溢れる工夫が凝らしてあり、ストーリーから来る思想のみならず商品設計自体にも洗練されたブランドであることを感じさせてくれます。

他にも保全団体との森の支援や環境配慮の容器、廃棄ロス宣言など、このような地球の環境にも配慮を持ったメッセージを発信することにより、ブランドイメージをより一層強化することと共に、現代的なテーマにも挑戦する、このブランドにしかないと思えるような世界観の提示にも成功している事例といえるでしょう。

例2)レディースファッション「COHINA」

“あなたに陽が当たる服”というコンセプトで小柄な女性をターゲットに展開するレディースファッションのブランドです。

便利になったこの時代、洋服は山のようにある。なのに、小柄な私のための服はない。 可愛い服に胸を踊らせて試着室に入り、サイズが合わずに落胆することもしばしば。 平均よりも身長が低いというだけで、「好き」か「ぴったり」のどちらかを諦めなくてはいけないことが多かった。

「それなら本当に欲しいと思う素敵な服を、低身長でも美しく着こなせるサイズで作ろう。」 そんな当事者の想いから生まれたのがCOHINAです。

小柄女性を綺麗に見せる服を通して、自分らしく居られる時間をお届けします。

トップページから【About】のページへ遷移すると、上記のような想いが込められた文章とともに、商品のポイントを細かにビジュアルで教えてくれます。

小柄な方をメインユーザーとしているだけあり、サイト上にて着用写真に起用するモデルの方も155cmまでという宣言をしており、さらに細かく身長別コーデなどもサイト内に用意されています。写真には身長を明示しており、自社のブランドコンセプトに沿った設計となっています。

また、ページ下部にはユーザーの声を汲み取るべく、積極的にInstagram Liveでの意見交換を行っていることが確認できます。

さらにオウンドメディアとしてのブログの運用で実際の着こなしや、シチュエーションや人に合わせたコーディネート方法なども紹介しているため、ブランドストーリーを後押しするユーザーフレンドリーな戦略が実施されています。

木漏れ日のような色調で整えられた落ち着きのあるサイトデザインとなっていることもブランドストーリーに寄り添ったコンテンツであることを印象付けているポイントでしょう。

例3)メンズファッション「FABRIC TOKYO」

“Fit Your Life”

オーダースーツを取り扱うの「FABRIC TOKYO」。そう題されたブランドコンセプトと共に下記のような想いが語られています。

FABRICの語源は「構築する」
TOKYOの象徴は「ダイバーシティ=多様性」
FABRIC TOKYOは”自分らしさをかたちにする”ことに挑戦していきます。

すべての始まりは、創業者である森が長年感じていた
腕の長さによるスーツとシャツのサイズ選びの難しさの悩みからでした。
街のテーラーは若者には敷居があまりにも高く、価格も高すぎました。

FABRIC TOKYOはそんな背景から生まれました。

誰にでも開かれたインターネットで間口を広げ、
自社で製品をデザイン・企画し、中間流通を省きお客さまに直接届けることで、
より高品質でデザイン性の高いオーダースーツを低価格で届けることができます。

ブランドコンセプトは「Fit Your Life」。
サイズだけでなく生き方や価値観にフィットする、
そんな自分らしいビジネスウェアを提供していきます。

正解や不正解はなく、その違いが多様性であり自分らしさであると信じています。
あなたの自分らしさ。FABRIC TOKYOで、かたちにしてみてください。

FABRIC TOKYOはデジタル世代をターゲットにしており、一人一人の多様性や価値観を重視してオーダースーツに対する敷居を感じることないよう、デザイン性が高くかつ低価格でユーザーに商品を届けています。

サイト上でも上記のような創設のストーリーが語られており、創業者の森さんのオーダースーツに対する問題意識から端を発して、オーダースーツへの敷居を下げつつ、個人のスタイルに応じてデザインをフィットさせることができる商品・サービス設計を実現しています。

また、オーダースーツ以外のビジネスカジュアルな着こなしに合うラインナップや、ブランドのこだわりを前面に出したシーズン商品などもECサイトの中で重要な役割を担っており、そのポップなデザインとオーダーの容易さも、元来のミッションとして掲げられたオーダースーツに対するハードルを下げる役割を担っているといえるでしょう。

上記はいずれも成功しているブランドですので、こういった有名先行事例の優れた点を取り入れてはいかがでしょうか。

たとえ他業種であったとしても事業のヒントがあるはずです。

何であっても無からオリジナルを生み出すのは大変難しい作業ですが、ビジネスでは成功している企業の事例に学ぶことができますので積極的に情報収集していきましょう!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

自社ならではのブランドストーリーを作成する手立てについて見通しはつきましたでしょうか?

「商品の良し悪しの指標は数字である」という万人に共通の尺度である機能面の訴求を正とした環境から、個々のユーザーの心にマーケティングの焦点を当て、自社にしか持ち得ない背景事情・思想などを原資として紡ぐ物語。それがブランドストーリーです。

たとえ前例のないジャンルのD2Cだとしても、むしろ現代ではその刷新性に注目が集まる環境かもしれません。未来のそのチャンスをしかと掴むためにもブランドストーリーを一つの足掛けとして、長期的な施策を念頭に入れて各種SNS・ECサイト・インフルエンサー・WEB広告などのブランドを飛躍させるマーケティング手法についても日々研究してみてはいかがでしょうか!

なおA8.netでは、ブランドストーリーをはじめ、D2Cとしてビジネスを展開する企業様を訪問し、成功の秘訣をお伺いした取材記事を展開しております。下記の記事中では事例でも紹介した、株式会社Greenspoon 様について代表取締役田邊友則さんとマーケティング担当三原壮太郎さんにお話をお伺いしておりますので、ブランド戦略についてお悩みの方は、ぜひこの機会にご一読ください。

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この記事の執筆者

A8.netマーケティングチーム編集部

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