企業にとって広告コピーは、商品やサービスの購入を促したり、ブランドイメージをつくりあげるために欠かせないものです。
広告コピーと聞くと、キャッチコピーを思い浮かべる方も多いはずですが、WEB広告には、他にもさまざまなコピーが存在します。それぞれの役割を確認し、ターゲットや目的によって適切なコピーをつくることで、売上や認知向上に絶大な効果をもたらすのが、広告コピーです。
今回のコラムでは、広告コピーの種類や特徴、事例、そして刺さるキャッチコピーのつくり方まで、まとめて解説します。
クリックされやすいバナーや広告をつくるヒントとして、ぜひご活用ください。
広告コピーとは?
そもそも広告におけるコピーとは、広告を目にした人たちとの接点をつくって商品やサービスの理解を促すための言葉や文章のことを指します。
WEB広告においては、例えば次のようなものです。
- バナー広告のグラフィックデザインに記載する文言
- ランディングページ(LP)における、すべての文章
- リスティング広告のタイトル など
これらは、広告を見た人の目を引きつけ、商品やサービスに興味を持ってもらうものでなければなりません。広告の目的やランディングページ内の記載箇所によって、マーケティング系のコピーとブランディング系のコピーを使い分けましょう。
マーケティング系コピーとブランディング系コピーの事例については「成果につながる、キャッチコピー事例」にて、詳しく説明していきます。
先に刺さるコピーをつくるための考え方や手順について知りたい方は、本コラム内「刺さるコピーをつくるための手順」を参考にしてください。
広告コピーが重要な理由
では、どうして広告コピーが重要なのか、改めて考えてみましょう。
広告コピーは、商品の売上に影響する
良質な広告コピーは、見た人にインパクトを与え、確実に興味を持ってもらうことにつながります。
現代モノやサービスが多様化し、ユーザーにとって、選択肢が非常に多くなりました。高機能なモノや低価格でも質のよいサービスも増え、機能やスペックだけでモノを選ぶのは難しくなっています。
そこで、ユーザーにとって自分ごとだと思える、つまり自分のための製品だと思えるような工夫が、製品の売れ行きを左右します。広告コピーは、その最たるものと言えるかもしれません。
広告コピーは、製品の価値はもちろん、実現できることやなりたい自分などを想起させ、製品の本質を表す役割を持ちます。心を打つコピーで認知されることで、人々が関心や親近感を覚え、手に取る可能性を高めることができます。
広告コピーは、ユーザーに選んでもらうための、重要なツールなのです。
広告コピーがあることで、伝わりやすくなる
アートやデザインの作品であればコピーがなくても問題ありませんが、広告では商品やサービスの魅力がしっかりと伝わることが最優先です。イラストや写真だけのグラフィックでは、視覚的にメリハリがなく、内容がよくわからないため、読まれづらくなります。コピーを入れると、内容をより正確に伝わりやすくする役割があります。
一方で、説明文が長いだけの文章も読まれづらいため、イラストや写真とテキストのバランスを意識することが大切です。要所要所で効果的にコピーを使い分けることが伝わりやすさのポイントです。
主な広告コピー5種類を紹介
広告のコピーには、主にキャッチコピー、サブコピー、リードコピー、ボディコピー、見出しコピーの5つが挙げられます。
キャッチコピー
- 目的
- 簡潔でインパクトのある言葉によって、心をつかむ
- 伝える内容
- 一番のセールスポイント、解決したい悩みなど
- 文字数
- 13〜25文字以内
キャッチコピーは、広告のメインとなるコピーです。キャッチという言葉の意味からも伝わるように、わかりやすく簡潔でインパクトのある言葉によって、心をつかむ役割を担います。
多くのユーザーが、キャッチコピーを見て商品やサービスのイメージを構築します。そして、イメージしたものが自分にとって必要なものであるか、興味が持てるかなどを瞬時に判断します。キャッチコピーで心をつかめば、詳細ページをじっくり見てもらうことができるでしょう。
また、問い合わせや購入、お店へ足を運ぶなどのアクションを促す効果もあります。キャッチコピーを改善したことによって売上が一気にあがるケースも少なくありません。
キャッチコピーの文字数は、13〜25文字以内が適しているとされています。最初のタイミングで心をつかむことが大切であるため、バナー広告やリスティング広告のタイトル、ランディングページのメイン画像内などに記載しましょう。
サブコピー
- 目的
- キャッチコピーだけでは伝えきれない情報を伝える
- 伝える内容
- キャッチコピーの補足
- 文字数
- 25文字以内
サブコピーはキャッチコピーの補足としての役割を持ちます。キャッチコピーの上下や横に配置し、キャッチコピーより小さめの文字サイズにするのが一般的です。
25字以内が適切とされるキャッチコピーでは、多くの情報を伝えることができません。そのため、キャッチコピーだけでは十分な情報を伝えられない際は、サブコピーで補足しましょう。
あくまでも補足的な役割であるため、広告コピーをつくる際にサブコピーは必須ではありません。
リードコピー
- 目的
- 本文を読みたくなるよう、リードする
- 伝える内容
- キャッチコピーから本文への興味喚起、橋渡し
- 文字数
- 100〜200文字
記事コンテンツでいう導入文にあたる部分が、リードコピーです。キャッチコピーを見た人が、本文を読みたくなるようにリードする役割を担います。
リードコピーを読んだあとに本文を読み進めるかどうかを判断するユーザーも多く、リードコピーはキャッチコピーと本文の橋渡しとして非常に重要な要素といえます。
スムーズに本文を読んでもらうためには、キャッチコピーやサブコピーをさらに補足した内容であり、本文を要約したものでもあるリードコピーが理想的です。
キャッチコピーやサブコピーよりは目立たず、本文よりは目立つような文字サイズや太字で記載するのが一般的です。
ボディコピー
- 目的
- 商品・サービスについて、余すことなく知ってもらう
- 伝える内容
- 商品・サービスの特徴、購入メリットなど
- 文字数
- 800〜2,000文字以内
いわゆる本文のことを、WEB広告においてはボディコピーと呼びます。商品やサービスの紹介や説明を詳しく書いていく部分です。ユーザーに深い理解を促す読み物としての役割を持ちます。
文字サイズはキャッチコピーや見出しよりも小さく設定し、広告としてはあまり目立たせないようなデザインで構成されるのが一般的です。
文章の長さは自由で、記事のように長文で伝えるものもあれば、少ない字数で要点だけを伝えるものもあり、理想的な文字数は広告の種類や内容によって異なります。
ターゲット層に合わせることも重要です。例えば、新聞などでニュースをよく読むようなタイプの層や、勤勉な人に向けては、文字量が多い広告でも受け入れられやすく読まれやすいでしょう。一方で、SNSや動画を好む層には、じっくりボディコピーで伝える形式は向いていません。
いずれにしても、なるべくムダを省き、読み手が知りたい内容を記載することが大切です。
見出しコピー
- 目的
- 段落ごとの内容を、魅力的に表現する
- 伝える内容
- 文章のまとまりごとの内容やポイント
- 文字数
- 13〜25文字以内
本文が長い場合は、ひとまとまりの文章を段落として分け、本文を要約した見出しコピーをつけると読まれやすくなります。
本文の内容をすべてくまなく読むユーザーはそう多くありません。ほとんどのユーザーは素早くスクロールをしながら、自分に必要な情報だけをうまく仕分けて受け取っています。見出しコピーだけを読み、ほとんど読み飛ばすこともあります。
そのため、見出しコピーを読めば、本文の該当段落の内容がわかる文言にするのが理想です。見出しコピー自体が見づらくなってしまわないよう、なるべく少ない文字数で本文を要約しましょう。
見出しコピーは、SEOでいうh1〜h3タグと考えるとよいでしょう。本文よりも文字サイズを少し大きくしたり、太字にしたり、文字色を変えて、目立つようにするのが一般的です。
見出しコピーをうまく活用して、商品やサービスへのより深い興味や理解を促しましょう。
目的別のキャッチコピー事例
広告コピーのなかでも、最初の接点として重要な役割を果たすのが、キャッチコピーです。ここではキャッチコピー事例をいくつか見てみましょう。
広告のゴールによって、適したコピーは異なります。主にマーケティング系キャッチコピーとブランディング系キャッチコピーに分けてご紹介します。
マーケティング系キャッチコピーの事例
ユーザーに対して、問い合わせや購入を促すのがマーケティング系のキャッチコピーです。具体的なアクションを促すため、具体的な数値を用いたり、直感的に伝わるよう心理的アプローチができる文言で作成するのがよいでしょう。
特にバナーやリスティング広告など、ユーザーと出会う段階ではマーケティング系コピーを活用するのが効果的です。
数字を訴求:「365日、子どもが自分から勉強したくなる!?」
「365日、子どもが自分から勉強したくなる!?」や「1万人が買ってよかったと絶賛!」など、数字を記載することで説得力や信頼感も高まります。
セールやキャンペーンをしているときには「50%オフ」や「3000円キャッシュバック」など、具体的な数字を記載するのがおすすめです。
ユーザーと接点を持つためには、瞬時に目に留まりやすくすることが大切です。漢字・ひらがな・カタカナ・数字をバランスよく使うことで、それぞれの文字が独立して目に飛び込むため直感的に理解されやすくなります。
数字や英語を入れることもあるため一概にはいえませんが、広告コピーにおいては「漢字:ひらがな:カタカナ」の割合が「2:7:1」だと、最もバランスがよいとされています。
驚きを提供する:「食べるだけでお肌がツヤツヤに!?」
「食べるだけでお肌がツヤツヤに!?」や「こんなに早く、ネイティブ並みに話せるように!?」など、通常ではなかなか考えられないような驚きを与えることで、興味を持ってもらいやすくなります。
自社の商品やサービスが著しく他社よりも優れている点があれば、それを驚きにつながる表現でコピー化してみましょう。ただし、誇大広告や法令違反にならないよう注意しましょう。
感情に訴えかける:「ほんとうは仕事に行きたくない…」
「ほんとうは仕事に行きたくない…」や「なりたい自分がもう一度見つかる」など、感情に訴えかけるキャッチコピーは目に留まりやすく興味を持たれやすいとされています。
ネガティブな感情とポジティブな感情、どちらに働きかけるコピーが適切かについては、さまざまな研究結果がありますが、どちらであっても有効性が実証されています。
商品やサービスの特性、ターゲット層、ゴールなどによって適切な訴求を選びましょう。
答えを知りたくなる:「あのお店の売上が倍増した理由は…」
「あのお店の売上が倍増した理由は…」や「なぜ、あの人の髪はいつもサラサラなの?」など、答えを知りたくなるような文言も成果が出やすいキャッチコピーの定番です。
あえて商品やサービスの全容をつかめないように隠しながら、詳細ページへ誘導しましょう。
ブランディング系キャッチコピーの事例
ブランドイメージを伝え、印象や記憶に残すのに効果的なのがブランディング系のキャッチコピーです。商品やサービスのメリットなどを具体的に打ち出すのではなく、想像力や親近感を与えることを重視します。
接点や入口となるバナー広告などではなく、ランディングページなど詳細ページにたどり着いたあとに記載するほうがより効果的です。
ここでは、著名な企業のキャッチコピーを紹介します。
- お得感やメリット訴求
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「お、ねだん以上。」ニトリ
「ごはんがおいしくなるスーパー」ダイエー
「すぐおいしい、すごくおいしい」チキンラーメン
- 英語でスタイリッシュ訴求
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「NO MUSIC, NO LIFE」タワーレコード
「JUST DO IT. 」ナイキ
「make it possible with canon」キヤノン
- 親近感訴求
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「あなたと、コンビに、ファミリーマート」ファミリーマート
「お口の恋人」ロッテ
- エモーショナル訴求
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「ココロも満タンに」コスモ石油
「わたしらしくをあたらしく」ルミネ
「明日は変えられる。」アステラス製薬
広告コピーをつくるための手順
では、実際にコピーをつくるには、どのような考え方と手順で進めればよいのでしょうか。ここからは、基本的なコピーのつくり方を解説していきます。
- まずは、相手を知る
- 改めて、自社を知る
- 相手と自社とを、結びつける
詳しく見ていきましょう。
1.まずは、相手を知る
はじめに、誰に売るべきなのか?というターゲット像を細かく設定することが大切です。ターゲット設定は、広告やマーケティングにおいては、どんな施策をするときにも欠かせない工程です。
その後、その相手の課題はなにか?を探るべく、ターゲットのインサイトを考えましょう。インサイトとは、商品やサービスを購入するユーザーの行動心理や動機のことを指します。インサイトを分析することが、刺さる広告コピーへの第1歩です。そのためにSNSをリサーチしたり、商品のレビューコメントを確認するのが効果的です。
ターゲット像を詳細に設定し、より適切な相手に情報を届けやすくする方法については、「ペルソナをマーケティングに活かすには?メリットと作り方について解説」の記事でもお伝えしています。ぜひご覧ください。
2. 改めて、自社を知る
次に、商品の特徴やセールスポイントを整理しましょう。自社の商品やサービスをじっくり観察し、チームで意見を出し合ったり、マーケティングリサーチを行うことで、ユーザーにとってのメリットなどを洗い出します。
他社製品にはない独自の強みは、アピールポイントとしてキャッチコピーに活かすべき重要な要素となります。
また、大きな差別化が難しい商品やサービスである場合には、競合他社の類似製品のキャッチコピーを参考にするのもよいでしょう。
3. 相手と自社とを、結びつける
キャッチコピーを届けたいユーザーが持つ悩みや課題に対して、自社のアピールポイントによって改善・解決に導くことができれば、購入確率は格段にアップするでしょう。
よいキャッチコピーを生み出すには、とにかく多くのコピーを書くことです。ターゲットインサイトと商品を結びつけることを意識して、多くのキャッチコピーを考えていきましょう。
“刺さる”コピーライティング能力を磨く方法
コピーライティング能力をあげる、基礎テクニック
ユーザーに刺さるコピーをつくるテクニックとしては、次のようなものがあります。
- 字数が長くならないよう心がける
- リズムをつける
- ネガティブ訴求をする
まずは字数が長くならないよう心がけることが大切です。キャッチコピーは13〜25字以内が適切であると前述しましたが、有名なキャッチコピーには13〜15字程度のものが多いようです。そのため、できる限り短くしていくことで刺さりやすくなるでしょう。
また、似たような響きの言葉を繰り返したり、3〜4文字程度ずつのリズムをつけたり、「ね。」「あ!」「ん?」などの感動詞を活用するのもよいでしょう。
また、刺さるキャッチコピーのテクニックとしてよく紹介されるのが、ネガティブ訴求です。「あなたは大丈夫?」や「後悔しない〇〇」といった表現でユーザーの負の感情を刺激し、購買を促します。ただし、過度なネガティブ訴求は企業や商品にも影響してしまうこともあるため、具体的な解決策やメリットを示し、必ずポジティブな着地になるようにしましょう。
日常生活でも、コピー力を磨く方法
私たちの日常生活のなかにも、コピー力を引き出すヒントが隠れています。
日常生活でもコピー力を磨く方法を3つ、ご紹介します。
多くの広告コピーを見る
地道ではありますが、上達への近道ともいえるのが、とにかくさまざまな広告コピーを見ることです。
多くの企業がWEBサイト上にキャッチコピーを掲載しています。また、街に出ると、電車の吊り広告やサイネージなど、日常生活に溶け込んでいるもののなかからも、多様なコピーを発見することができます。
さらに、キャッチコピーまとめサイトも多数存在しますし、広告コピーの紹介のみならず、そのコピーが生まれた背景や意図が解説されている書籍などもあります。多くの人の心を動かすさまざまなコピーを読みましょう。
似た言葉で言い換える
多くのコピーを生み出すためには、似たような言葉を少しずつ言い換えてみるのが有効です。同じニュアンスを伝えるにも、ちょっとした音の響きや言葉の持つ印象によって、人の心に刺さるかどうか大きく異なります。
例えば、「今のままでは、痩せません」と「やり方を変えれば、痩せられます」とでは、大きく印象が変わります。あるいは、「新鮮」と「フレッシュ」と「活きがいい」では、同じことを表現していてもリズムも伝わり方も大きく異なります。
微調整を重ねれば重ねるほど、言葉選びが上達し、もっと刺さるコピーを生み出しやすくなります。
何度も寝かせ、思考を整理する
似たような言葉を言い換えるとはいえ、それほど多くの言葉を出せるわけではないという方もいるのではないでしょうか。その場合は、一気に考えてしまわず、時間をおいて再考するのがおすすめです。
何日もかけて何度も寝かせ、寝かせている間にインプットをしたり類語を調べるなどし、思考を整理してから検討を繰り返しましょう。凝り固まった思考で数を打つよりも、すっきりした思考で考え直すことで、新たな発想が生まれ、刺さるコピーが生まれやすくなります。
まとめ
刺さる広告コピーは、一朝一夕にできるものではないかもしれません。しかし、刺さる広告コピーを生み出すことができれば、たった一文で多くのファンやユーザーを獲得することにつながります。ぜひ、粘り強く考えてみてください。
また、広告コピーは、キャッチコピーからはじまり、見出しコピーなどを経て、ボディコピーへと読み込みが進められるにつれ、ユーザーの信頼度や購買意欲を上げるものであることが大切です。
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