近年、さまざまなWEB広告を目にするようになりました。動画やアニメーションはもちろん、アンケートに答えられるものやゲームを体験できるものもあります。このような動的なWEB広告を、リッチメディアと呼びます。
これからのマーケティングや広告施策において、リッチメディアの活用は不可欠と言われます。
そこで今回は、リッチメディアの定義、リッチメディアが主流となった背景、メリット・デメリットなどをご紹介します。
リッチメディアの基本を知り、ぜひ活用してみてください。
リッチメディアとは
リッチメディアの定義
リッチメディアとは、WEB上で情報やメッセージをより魅力的かつ効果的に伝えるデジタルメディア形式のことを指します。テキストや画像はもちろん、音声や動画、アニメーションなどを組み合わせて表現することで、伝えたいことをより伝えやすくするのが、リッチメディアです。
日本においては、基本的にリッチメディアというとリッチメディア広告を意味します。場合によってはWEBサイトやWEBページ自体を指すこともあります。
Googleでは、リッチメディアの定義を「閲覧者がコンテンツに関心を持ち、操作するように促す高度な機能(動画や音声などの要素)を含んだ広告を指すデジタル広告」としています。
リッチメディアが増加した背景
WEB広告は、登場してから長らく、文字や静止画などの静的要素でできているものが主流でした。リッチメディアも1996年ごろから存在しているという説があるものの、あまり普及してきませんでした。
近年になって、ようやく音声や動画を駆使した広告が一般化しつつあります。その背景には、テクノロジーの発展によるインターネット通信回線の容量増加とパソコンやスマートフォンの処理性能の向上があります。
リッチメディアはJavaやDynamic HTMLなどを用いて製作・配信されるため、通信に大きく負荷がかかるものです。その負荷に耐えられる技術の開発によって、2020年代に入り、多用されるようになりました。
さらに、日本では2016年ごろから動画コンテンツや配信コンテンツが流行・定着し、動的なコンテンツに慣れ親しむユーザーが増えました。このような時流も後押しし、リッチメディアは一気に広まりました。
SNSプラットフォームでも動画や音声を活用したWEB広告の配信を推奨されるようになり、FacebookとInstagramでは、2018年から動画広告を簡単に作成できる編集システムを提供しています。動画やテキストのテンプレートが用意されており、手軽にリッチメディアを配信できるようになりました。
リッチメディアの進化は目覚ましく、現在では、まるでテレビCMのようなWEB広告も配信可能となり、企業のブランディングにも寄与しています。
リッチメディアの種類
リッチメディアにはいくつかの種類があります。ここでは、パターン別と広告タイプ別に分けてご紹介します。
パターン別
リッチメディアの手法としては、主に動画パターンとアクションパターンがあります。
動画パターン
リッチメディアの定番は、動画やアニメーションが自動再生されるWEB広告です。今や、そのような動的な広告を見たことがない人の方が、少ないかもしれません。動画パターンの中にも、以下のような種類があります。
- ページを開いている間、動きが止まらないもの
- 再生後、バナーに変化するもの
- オンマウスになると大画面で動画が再生されるもの
アクションパターン
ユーザーに、何らかのアクションを促すリッチメディアも増えています。例えば、次のようなものがあります。
- バナー広告にアンケートが表示されるもの
- ボタンをクリックするとメッセージが表示されるもの
- マウスを乗せて動かすと動きが変化するもの
- ゲームを体験することができるもの
広告タイプ別
リッチメディアとして配信できる広告のタイプは多岐に渡ります。今回はなかでも多く使用されている4つのタイプをご紹介します。
ストリーミング広告:ストリーミング方式を利用して動画を再生
ストリーミング広告はリッチメディアの定番です。ストリーミング方式で動画を配信し、広告として再生させます。ユーザーが動画をダウンロードせずに、データを受信しながら同時に再生するため、データ受信量は膨大です。
動画コンテンツを配信するプラットフォームで最も多く使用されますが、静的なWEBページにおいて導入する方がより目に留まりやすいため、近年ではあらゆるサイトやアプリで活用されています。
インタースティシャル広告:ページや画面を移動する合間に表示
WEBサイトやアプリでページを移動しようとするとき、合間に表示されるのがインタースティシャル広告です。テキストのみ・画像のみの静的な広告も出稿できます。画面を覆うように表示され、画面の半分以上の大きさのものや全画面を使うものも見受けられます。
ユーザーは、広告をクリックしてリンク先に飛ぶか、広告を閉じて元の画面に戻るかを選択します。引き続き記事や動画を閲覧するためには、いずれかのアクションが必要となります。確実に広告とユーザーが出会うため、広告主側から人気の高い広告タイプです。
エキスパンド広告:マウスやクリックに反応して拡大
オンマウスやユーザーがクリックすることで、一時的に拡大する広告をエキスパンド広告と言います。
多くのエキスパンド広告は、ユーザーが何もしなければ広告サイズは小さいままです。そのため、ユーザーが読みたいページを邪魔することが少なく、ユーザーにストレスを与えづらいのが特徴です。オンマウスやクリックによって拡大した際は、より多くの情報を伝えられます。
ユーザーにとっても広告主にとっても、バランスのよい広告と言えそうです。
フローティング広告:WEBページやアプリ上を浮遊
リッチメディアの活用も進んでいますが、現在もフローティング広告では、静止画のみの静的なクリエイティブで、資料請求やお問合せを促す広告として使用されやすい傾向があります。
資料請求やお問合せという項目は、ユーザーによってタイミングは違うものの、アクションを決めたユーザーにとって確実に必要な情報であるため、いつでも目に入るようにしておくのが効果的です。このような類の情報には、フローティング広告が最も適しています。
リッチメディアのメリットとデメリット
それでは、リッチメディアには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
デメリットについては、解決法も一緒にご紹介します。
リッチメディアのメリット
リッチメディアのメリットは主に以下の4つのメリットが考えられます。
- 記憶に残りやすい
- インタラクティブ性がある
- エンゲージメントが向上しやすい
- コンバージョンしやすい
順番に解説します。
記憶に残りやすい
リッチメディアは動きによって視覚に訴えるため、静的な広告よりもユーザーの関心を惹きます。
スマートフォンの普及で、瞬時に画面をスクロールして情報を探すことに慣れた多くのWEBユーザーは、自分に必要な情報だけを素早く精査し、それ以外のものには注意を払わないことも少なくありません。説明なしに静的な広告を貼るだけでは、興味を持たれないどころか、気づかれないことすらあるのです。
その点、視覚的・聴覚的に表現された情報なら、確実にユーザーの目に留まります。インパクトがあり、商品の情報も記憶に残りやすくなります。
さらに、動画に没入するようなクリエイティブ要素や、ボタンを押してもらったり、アンケートに答えてもらうような体験的な要素を取り入れれば、より一層ユーザーの記憶に残るでしょう。
インタラクティブ性がある
一方的に情報を与えるだけの広告ではなく、インタラクティブ(=双方向)性を持たせることができるのがリッチメディアの魅力です。
アクションパターンのWEB広告なら、ボタンやアンケート項目でユーザーの行動を促すことができます。ボタンを押したりアンケートに答えることで、ユーザーは広告コンテンツに参加することになります。ユーザーにとって、WEB広告のほとんどは受動的に受け取るしかないものです。しかし、リッチメディアであれば能動的アクションを起こすことができるのです。
ユーザー側からもアクションでき、相互に反応できることをインタラクティブ性と言います。マーケティングにおいて、インタラクティブであることは顧客満足度を高める重要な要素だと考えられています。インタラクティブなリッチメディアを活用すれば、ユーザーに好印象を与えられるでしょう。
また、どんなボタンなら押されるのかというユーザーの動向の分析もでき、アンケートに回答するタイプであれば定量調査にもつながります。
エンゲージメントが向上しやすい
前述のような視覚的魅力やインタラクティブ性があることで、リッチメディアには、ユーザーのエンゲージメントを高める効果があるとも言われます。
マーケティングにおいて、エンゲージメントとは企業と顧客のつながりや絆を意味します。エンゲージメントを高めることが、商品やサービスへの愛着や愛用に結びつくため、エンゲージメントの向上は企業の重要な役割です。
リッチメディアだからこその動的な表現による伝わりやすさや、ただ情報を受け取るのではなく“参加する”という性質は、エンゲージメントを高める一助となります。
コンバージョンしやすい
静的な広告は、ユーザーが興味を抱かなければ、気づかれないことや無視されてしまうことが多くあります。しかしリッチメディアなら目に留まりやすく、ユーザーがリンク先に遷移しやすいと言えるでしょう。
思わず操作したくなるクリエイティブを作成し、アクションを引き出すことで、リンク先への遷移に対するハードルも低くなります。動画や音声を通じて、すでに情報がよく伝わっている場合やエンゲージメントが高まっている場合には、遷移先での商品購入やお問い合わせにつながりやすくなります。
このように、操作やアクションを促すことや、情報をしっかりと伝え、興味関心やエンゲージメントを高めることで、コンバージョンへの道も近くなります。
リッチメディアのデメリット
ここでリッチメディアのデメリットも理解しておきましょう。
- データ量が多く、処理に負荷がかかる
- 興味がなければ、邪魔に感じてしまうユーザーもいる
それぞれ解説します。
データ量が多く、処理に負荷がかかる
通信技術が発展したとは言っても、やはりデータ量は膨大です。そのため、回線状況やデバイスのスペックによっては負荷がかかりすぎて、うまく表示されなかったり、表示されるまでに時間を要することもあります。広告部分のみならず、データ量が重いためにページ全体を開くのに時間がかかるケースもあり、ユーザーにストレスを与えてしまう可能性があります。そのような事態を避けるためには、データ量に配慮して制作することが大切です。
また、データ量が重いリッチメディアは、YouTubeやInstagramなどの動的コンテンツが多いSNSプラットフォームを中心に出稿することをおすすめします。データ処理に負荷がかかることを承知の上、Wi-Fi環境が整った場所でページを開くユーザーが多いため、ストレスをかけづらいと言えます。
興味がなければ、邪魔に感じてしまうユーザーもいる
動きがあることで確実にユーザーの目に留まるリッチメディアですが、その分、興味がなければ邪魔だと感じるユーザーもいます。とくに画面の大部分を覆うタイプのWEB広告は大きなストレスを与える可能性があるため、慎重に活用しましょう。
デメリットへの対処法
さいごに、今回の記事でご紹介した各広告タイプにおける、対処法の一例をご紹介します。
- ストリーミング広告:動画を停止しやすいボタンを設置する
- インタースティシャル広告:本来のWEBページに遷移しやすいUIを心がける
- エキスパンド広告:動きの多すぎるクリエイティブを避ける
- フローティング広告:非表示にしやすいボタンを設置する
また、データ量対策と同じく、こちらも動的コンテンツが多いSNSなどで出稿することがおすすめです。動きがあるコンテンツを前提としてWEBサイトやアプリを使用しているため、リッチメディアの動きに対しても不快感を持たないユーザーが多いと言えます。
まとめ:リッチメディアと親和性の高いSNS・インフルエンサー資料を配布中!
通信回線やデバイスの進化、動的コンテンツの日常化によって、これからますますリッチメディアの活用は進んでいくでしょう。また、リッチメディアと親和性の高い、動的コンテンツ中心のSNSも、ますますマーケティングの定番として発展していくはずです。
リッチメディアの活用はもちろん、リッチメディアとかけ合わせ、SNSにおける口コミやインフルエンサーの活用も、検討すべき要素です。
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