近年注目を集め続けるサブスクリプションビジネス。様々な企業が参入しています。動画配信サービス以外に家具や家電など商品のレンタルサービスも広まってきていますが、「どんなサブスクリプションビジネスを導入し、マネタイズしていけばいいの?」と、疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、以下の内容について分かりやすく解説していきます。
サブスクリプションとは
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、サブスクリプションについておさらいです。
サブスクリプションとは、直訳すると「定期購読」「会費」という意味です。
Adobeのソフトウェアがサブスクリプションの始まりだとされており、現在は音楽配信サービスのPrime Music、Apple music、Spotifyなどでも採用されているビジネスモデルです。以下にそれぞれの視点でサブスクリプションについて書いてみました。
- 消費者
- 配信視聴や雑誌の購読などを一定期間利用できる「権利」に対して支払うビジネスモデル。
- 企業側
- 商品やサービスを定額で提供し、連続的に収益を得るビジネスモデル。
お気づきかもしれませんが、定期購読(新聞や雑誌)もサブスクリプションと近しいビジネスモデルです。
ですので、サブスクリプションはここ2、3年で出てきたビジネスではなく、かなり昔から存在しているモデルということが分かります。
拡大するサブスクリプションビジネス(成功事例の紹介)
当社が提供している【アフィリエイトA8.net】では、様々な領域でサブスクリプションビジネスの導入があります。ここでは、成功している企業の事例を3つご紹介します。
- 家具・家電のサブスク|CLAS(クラス)
- サプライズのサブスク|My Little Box(マイリトルボックス)
- 電動歯ブラシのサブスク|GALLEIDO DENTAL MEMBER(ガレイドデンタルメンバー)
- 家具・家電のサブスク|CLAS(クラス)
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CLASは、家具・家電を定額でレンタルできるサブスクリプションビジネスです。
月々440円でレンタルできる製品があるので、初期費用を抑えて、新しい生活を開始できます(初期費用不要)。また、スマホで注文から返却を行うことができたり、いつでも家具や家電の交換をすることが可能です。
短期間の単身赴任をする方や、20~40代のユーザーをターゲットにしています。
- サプライズのサブスク|My Little Box(マイリトルボックス)
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My Little Boxは、サプライズボックスのサブスクリプションビジネスです。
ボックスの中身は話題のコスメブランド、雑貨(アクセサリーや小物など)が入っています。ボックスの中身は1カ月毎に変わり、約3,000円から利用することができます。パリで2011年からスタートし、日本では2013年からリリースされました。
いつもお世話になっている方に対してのプレゼントだったり、自分へのご褒美用だったりと用途は様々なサービスです。 - 電動歯ブラシのサブスク|GALLEIDO DENTAL MEMBER(ガレイドデンタルメンバー)
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GALLEIDO DENTAL MEMBERは、電動歯ブラシのサブスクリプションビジネスです。
ありそうでなかったサブスクリプションですよね。本体価格は0円。月額280円(業界最安値水準)で始めることができます。送料が無料だったり、本体の永久保証、GALLEIDO製品を会員価格で購入することができたり、至れり尽くせりなサブスクリプションです。
機能面でこだわりたい方、替え歯ブラシや電動歯ブラシの本体が高くて購入に踏み出せない方などをターゲットにしています。
サブスクリプションビジネスが台頭した背景
サブスクリプションビジネスが台頭した背景は2つあります。
- 消費者の意識の変遷
- SaaSの普及およびICT環境の保守
- 消費者の意識の変遷
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従来の消費者はモノを持つことに固執していたイメージですが、近年では「経験」を大切にしています。そのことから、「所有」することよりも「好きなサービスをとことん利用する」というビジネスモデルが好まれるようになりました。
近年では、所有することに高い価値を感じる人は少なくなっていることが分かります。
また、消費者は利用開始までの費用を抑止することができ、モノを持つ必要がなくなります。企業側は連続的な売上を確保できたり、新規顧客の獲得が簡単になったりなど、双方にメリットがあります。
- SaaSの普及およびICT環境の保守
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サブスクリプションビジネスが台頭した背景として、SaaSの普及およびICT環境整備が簡単になったことが挙げられます。
SaaS(アプリをクラウド形態で利用すること)を利用すれば、インターネット経由で使用するため、アップデートやアプリの管理いらずになりました。そのため、たくさんの企業で、サブスクリプションを基本に利用することが増加しました。
サブスクリプションビジネスを導入した企業のメリット
ビジネスモデルとしてサブスクリプションを導入するメリットは以下の内容になります。ぜひ現状のビジネス課題と照らし合わせてみてはいかがでしょうか!
- 長期的な収益を確立できる
- 新規ユーザーが参入しやすい
- 顧客との間に長いスパンで関係構築が可能
- 多種多様な利用者情報を収集し、サービスのブラッシュアップへ速やかに活かせる
- プロダクトを販売する場合、的確な出荷日および出荷する個数を、より的確に推測でき、在庫と人員配置をより効率的に準備することができる
ユーザー当たりのサービス利用期間が長いサブスクリプションビジネスは、利益だけでなく、顧客との関係や在庫管理リソースなど様々な側面でメリットをもたらします。
サブスクリプションビジネスを導入した企業のデメリット
逆にデメリットは以下の内容になります。メリットを活かすことができなければ、企業にとってのデメリットが生まれてしまいます。
- 顧客が簡単に解約できる
- 解約が収益源に直結する(解約率が高いと、利益回収が困難)
- 売り切りビジネスとは異なり、販売後のカスタマーサポート必須
- コストおよびリソースがかかる(新規顧客獲得、サービス改善、新しいコンテンツ提供など)
- プロダクト販売の場合、仕入れ先や在庫に問題が生じた時、商品やサービスが停止する恐れがある
ユーザーのサポートをおざなりにせず、サービスを継続してもらうことで、サブスクリプションビジネスは成功の一歩を踏み出すことができます。
サブスクリプションビジネスに関係する重要な指標と単語
サブスクリプションビジネスを成功へ導くうえで、重要な指標と単語を説明します。
サブスクリプションの理解を深めることに繋がるので、必読です!
- Churn Rate(解約率)
- RPM(定期利益率)
- ARPU(ユーザー平均単価)
- LTV(顧客生涯価値)
- バイヤージャーニー(カスタマージャーニー)
Churn Rate(解約率)
Churn Rate(チャーンレート)は、「解約率」を表す指標になります。
毎月安定した新規顧客を獲得が出来ていたとしても、解約が多いと安定した収益を得続けることはできません。
サブスクリプションビジネス以外でも解約の防止策を講じることは必要です。そのために、サービスの改善や新しいコンテンツを提供していくことが重要になります。
なお、サービスによっては退会率や離脱率と表現されることもあります。
また、Churn Rateは【月間の合計解約ユーザー数÷月初のユーザー数】で算出され、月初にいる利用者のうち、月末までにどれくらい解約してしまったのかを表します。
- 業界別チャーンレート
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アメリカの調査によると、デジタル関係業界のアベレージは6.63%、業界全体のチャーンレートのアベレージは7.02%です。
産業ごとだと、SaaSのアベレージは4.90%。BtoBのSaaSビジネスにおけるチャーンレートの理想は、3.0%未満であるとされています。
ユーザーのサポートをおざなりにせず、サービスを継続してもらうことで、サブスクリプションビジネスは成功の一歩を踏み出すことができます。
RPM(定期利益率)
RPM(Recurring Profit Margin)は、「定期利益率」です。
1年間の収益(ARR)や月の収益(MRR)から解約により無くなる売上と定期費用を引き、売上に占める利益の割合を算出します。
売り切り型のビジネスは、売上に連動する変動費(商品原価)、連動しない固定費(管理部門の人件費や賃料など)として区別しますが、サブスクリプションビジネスにおいては、定期利益しかないため、区別することができません。ですので、研究開発費も既存ユーザー保持のために使われるので、定期(費用)として計上します。利益率向上が重要です。
算出方法は以下になります。
RPM= ( ARR – ( Churn + 売上原価 + 研究開発費 + 一般管理費 )) ÷ ARR
ARPU(ユーザー平均単価)
ARPU(Average Revenue Per User)は、ユーザー1人あたりの平均収益を表す指標です。
直訳すると、「ユーザー平均単価」です。
主に、サブスクリプションビジネスで使われているKPIですが、ゲーム事業の企業業績を評価する指標として行き渡っているようです。
算出方法は以下になります。
ARPU=月の収益(MRR) ÷ ユーザー数
また、似た指標で、ARPAとARPPUがあります。
- ARPA
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ARPA(Average Revenue per Account)は、1アカウントあたりの平均売上指標です。
ARPUとの違いは、1アカウントあたりの売上を求める部分です。ユーザー数より、アカウント数で課金することが多いSaaSモデルのビジネスにおいて、複数端末で利用されることが多いことから、事実に近い数値を把握することができます。
算出方法は以下になります。
ARPA=月の収益(MRR) ÷ アカウント数 - ARPPU
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ARPPU(Average Revenue per Paid User)は、課金ユーザー1人あたりの平均課金額指標です。ARPUとの違いは、課金1アカウントあたりの課金額を求める部分です。主に、無料プランがあるBtoB向けのSaaSビジネスで活用されています。
事実を正確に把握し、収益向上を図るために、課金ユーザーを対象としたARPPUの活用が効果的です。
算出方法は以下になります。
ARPPU=月の収益(MRR) ÷ 課金アカウント数
LTV(顧客生涯価値)
LTVとは「Life Time Value」の略称で、直訳をすると、「顧客生涯価値」になります。
顧客が、取引を開始してから終了するまでの間に、自社に対してどのくらい利益をもたらしたか、収益の総額を算出するための指標です。サービスや商品への愛着が高いほど、LTVは高まると言われています。
顧客がサブスクリプションを登録してから解約するまでの支払総額になるため、LTVが高い場合は、長い間サービスを利用してくれているという意味にもなります。
解約をせずにサービスを使い続けてもらうために、カスタマーサクセスの考えと合わせて重要視する企業は増加傾向にあります。
計算式は以下になります。
LTV=収益率×購買頻度×継続購買期間×平均購買単価
バイヤージャーニー(カスタマージャーニー)
バイヤージャーニー(カスタマージャーニー)とは、サービス購入の過程と意思決定までのストーリーを「見える化」する手法のことを指します(直訳すると、「顧客の旅」)。
「見える化」を行うことで、アップセルの推奨や適当なカスタマーサポートをすることができます。
なお、サブスクリプションビジネスに限らず、バイヤージャーニーは重要な指標になります。マーケティングオートメーションツールやテクノロジーの発達により、バイヤージャーニーへの注目は高まっている状況です。
成功したサブスクビジネスのポイント
成功したサブスクビジネスのポイントを紹介していきました。サブスクリプションビジネスで成功する一番のポイントは、「継続率向上」にあります。
継続率向上により、連続的な収益の獲得、投資家の評価が高くなることから、資金調達に繋がる可能性などがあります。
さらに、継続率向上には、お客様の「LTV」を高めることが必須です。
継続率向上のためには、ユーザーを想うことが大事です。施策としては、「カスタマーサクセスの設置」「サービスのブラッシュアップ」などになります。お客様の疑問点の解消、他社サービスに負けないようサービスの改善などが必要になると考えます。さらに、ユーザーファーストで行動することにより、チャーンレートを下げることができます。
筆者が成功事例から感じた成功のポイントは以上になりますが、まだまだ見つけられていないポイントがあるはずです。成功事例から成功するポイントを推測し、自社に導入してみてはいかがでしょうか。